94回目 思わぬ協力
葦原艦隊の突撃。
危険極まるその行動に、各国の軍勢は驚いた。
「死ぬつもりか?」
そうとしか言えない暴挙に見えた。
だが、それしか道が無いのも確かだった。
侵略者は葦原の前まで来ている。
それを止めて侵略者を撃退するにはこれしかない。
敵中枢を破壊し、侵攻を止める。
これしかないのだと。
それは各国も同じだった。
ここで侵略者が止められなければ、次は自分たちが地獄を見る。
葦原星系が占領されたら、地球勢力圏に敵が侵入してくる。
その入り口を敵が抑える事になる。
それが分かってるから、各国も軍勢を出した。
ここで敵を止めるために。
葦原とそこは意見が一致する。
違いがあるとすれば、葦原の存亡はどうでもよいという事。
葦原が壊滅してもかまわないのが各国の意向だった。
生き残って今後も協力をしてくれるならありがたい。
しかし、滅亡してもそれはそれでかまわない。
侵略者を撃退するために必要なら、容赦なく葦原の滅亡を選択する。
そういった容赦のなさを各国は持っていた。
各国からしたら、葦原は所詮は外国。
滅亡したところで、各国の誰かが痛むわけではないのだ。
しかし、目の前で敵中枢に突撃する葦原艦隊がいる。
それを見て、各国の艦隊も動き出す。
絶好の好機だから。
向こう見ずな行動に出た葦原艦隊。
その無謀さ、そして勇気。
これらにほだされた、というのも確かにある。
だが、冷徹な計算として、この機会を逃すわけにもいかなかった。
今、侵略者艦隊は突撃してくる葦原艦隊に気を取られている。
艦隊中枢を狙ってくるのだ、無視するわけにはいかない。
その分だけ、他の方面への意識が手薄になる。
そこを各国の艦隊は狙っていく。
どうしても優先するしかない葦原艦隊と違い、各国の艦隊はそこまで意識されてない。
そこを突いたらどうなるか。
結果は明らかだ。
「攻撃、攻撃!」
余力のある艦隊から攻撃を開始する。
侵略者艦隊の外周部が削られていく。
もちろん、反撃はあるが、それほど大きなものではない。
内部に突入してる葦原艦隊の迎撃が優先されてるためだ。
だが、それを地球側の艦隊が慮ってやる理由は無い。
「一気に蹴散らせ」
容赦なく攻撃が続けられていく。
異星人の侵略者艦隊は次々に撃沈していく。
そうして撃沈した者達の代わりに、別の艦隊が地球側艦隊を迎撃する。
それが葦原艦隊への対応を薄くさせていく。
思わぬ相乗効果により、侵略者艦隊は次々に壊滅していく。
葦原艦隊も、より滑らかに敵の中枢へと向かっていく。
戦闘の推移は、地球側に有利に少しだけ傾いていった。
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