9回目 自分たちを殺す為に努力をして
そもそもとして、現地政府である出澄政府からの出動要請もない。
日本国防軍は、危機があると判断すれば独自に動く事はできる。
だが、それはそれとして、危機であると判断すれば出動要請をする。
その権限が現地政府にはある。
星をまたぐ広い領域を持つようになった結果である。
いちいち地球にある本国に指示をあおぐ余裕もない。
その為、各星の現地政府が非常時には独自に指示を出せるようになっている。
今回の場合、異星人が攻撃してきた時点で軍に出動要請をするべきであった。
だが、出澄政府はそれをしない。
「そのような非人道的な事はできない」
「倫理に反する」
「平和の破壊だ」
おおむねこれが出澄政府の見解である。
攻撃を仕掛けてくる異星人を殺す事になる。
それが平和の破壊で、人道に反するという事だという。
つまり、出澄に澄む人々が殺されてもかまわない。
出澄にて作り上げてきた町や生活が破壊されてもかまわない。
日本人は死ね。
そう言うわけである。
平和や人道の中に日本人は含まれてない。
それが出澄政府の出した答えだった。
同時にそれは、そんな状態を求めた出澄の人々による決定である。
出澄政府は出澄在住の日本人が選んだのだから。
そもそもだ。
侵略して攻撃を仕掛け、人々を殺しまくる。
そんな異星人を守る必要がどこにあるのか?
「相手と同じ事をするなんて、相手と同レベルに墜ちる事だ」
そう言って反撃を拒む者もいる。
つまり、一方的に殺戮・虐殺・破壊をされろという事である。
そういう考えに浸ってるのが、出澄の者達である。
ひいては日本人である。
出澄における異星人の破壊。
それを押しとどめる事ができないのは、他でもない日本人によるものだ。
日本国防軍の壊滅もこれによる。
別に何もおかしなところはない。
なるべくしてなった結果である。
疑問を抱く余地など何一つ無かった。




