88回目 集結させたもの
浮遊砲台は葦原太陽系の各方面に散らばっていた。
侵略者がどの方面からやってくるか分からなかったからだ。
その為、可能な限り広範囲に展開していた。
それらが移動を開始したのは、侵略者の侵攻路が確定した時だった。
それが分かるまで、どうしても時間がかかる。
また、移動を開始しても、すぐに現地に到着するわけではない。
どうしても時間がかかる。
その時間を稼ぐ必要があった。
地球側の艦隊はその為に敵の動きを阻止していた。
数を減らすのもそうだが、それ以上に動きを止めること。
さすがに本当に足留め出来るとは思わなかったが。
だが、時間を稼ぐためにも踏ん張って頑張っていた。
その甲斐あって、浮遊砲台が到着する事となった。
数だけは膨大はそれらは、ひとかたまりになって侵略者艦隊へと突っ込んでいく。
先頭にバリア展開の小型艇を揃えて。
命を持たない機械の塊は、ただただ侵略者艦隊に突入をしていった。
侵略者艦隊から迎撃の砲火があがる。
それらは浮遊砲台の先頭に立つバリア展開小型艇が遮る。
大量の砲弾はそこで防がれた。
だが、多勢に無勢。
バリアの許容量を超える一斉射撃は、バリアとバリア展開小型艇を粉砕していく。
更に侵略者艦隊の砲撃は、浮遊砲台を次々に撃ち抜いていく。
防御力のない浮遊砲台は、その一撃で戦闘力を失っていく。
しかし、命のない機械である。
浮遊砲台は臆す事なく進んでいく。
その勢いは、集中砲火ですら止める事は出来ない。
突進の勢いがついに侵略者艦隊に追いつく。
その先頭にいた浮遊砲台は、射程に入った侵略者艦隊に砲撃を行っていく。
狙われた敵艦は回避行動を行っていく。
そして、砲撃を終えた浮遊砲台は、そのまま侵略者艦隊へと突進していく。
僅かばかりの砲弾を撃ち終えた浮遊砲台に攻撃力は無い。
だが、その船体そのものが武器になる。
もとは小型艇だが、それでも何百トンという重さをもつ。
それが加速を続けて突進するのだ。
浮遊砲台そのものが、砲弾となっていく。
そんな砲弾化した浮遊砲台が、侵略者艦隊の内部に入って食い荒らしていく。
狙われた敵艦は迎撃を行っていく。
あるいは回避行動をとっていく。
それが侵略者艦隊に更なる混乱を生み出していく。
浮遊砲台が突入した方向で停滞が発生する。
その停滞によって、侵略者艦隊全体の動きが止まる。
突撃してくる浮遊砲台を迎撃しようと、侵略者艦隊が攻撃を続ける。
艦隊中枢も、そんな浮遊砲台から距離を取ろうとする。
自然と、葦原に向かう足が遅くなっていく。
侵略者艦隊も損害を拡大させていく。
勢いよく突入してくる浮遊砲台が、敵艦を撃沈していく。
あるものは砲撃によって、あるものは体当たりによって。
バカにならない損害を侵略者艦隊は受けていく。
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