85回目 多いからこそ脅威、多いからこその不利 2
侵略者の恐ろしいところは、その数だった。
日本国防軍はもとより、集結した各国の軍をも上回る数で襲いかかってくる。
普通に戦えば、その数に飲み込まれてる事だろう。
だが、質や性能はそれほど高いわけではない。
単体で艦艇や戦闘機などを見れば、それほど高性能ではない。
むしろ、地球側の方が上回っている。
一対一で戦えばほぼ勝てるほどだ。
だが、隔絶というほどに開いてるわけではない。
数があれば補える程度だ。
その数において侵略者は大きく上回っている。
今回の葦原への侵攻でもそれがあらわれた。
圧倒的な数による侵攻。
それは準備していた防衛手段を圧倒していく。
用意した多数の浮遊砲台も突破されようとしている。
他の方面に配置した砲台を移動させてるが、戦場に間に合うかどうか。
その前に、殺到した侵略者艦隊が、葦原の軌道を被って制圧するのではないかと思えた。
そうはさせじと各国の軍が動いていく。
数で圧倒する侵略者だが、数の多さのせいで統率が上手くいかない。
どこかで動きが止まると、それが全体に影響してしまう。
それを狙って、各国の軍が攻撃を仕掛ける。
撃破や撃退を狙ってのものではない。
とにかく動きを止める。
止めて混乱を発生させる。
動きを阻害していく。
侵略者艦隊の様々な部分に攻撃を仕掛けていく。
個別の能力では上回ってる地球側である。
部分的な戦闘では勝利を確実に手にしていく。
そして、敵の動きを少しずつ封じていく。
各所で起こる動きの停滞。
それは周囲に影響を及ぼしていく。
勢いが削がれていく。
先頭で発生した停滞は、その後ろにいる艦隊の動きを止める。
だが、前進しようという勢いが簡単に止まるわけもない。
衝突こそしないが、前を行く艦艇を避けようとする動きが発生する。
そうして動いた艦艇が、別の艦艇の動きの邪魔になる。
更にその動きをよけて、別の誰かの邪魔になる。
こうした事態にそなえて、互いに邪魔にならない陣形がとられている。
それでも混乱はどうしても発生する。
そこを地球側は突いたのだ。
混乱は更に拡大していく。
気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を




