75回目 不断の努力というブラック企業労働
葦原に次々と物資が送り込まれてくる。
それを受け取る脱出者達は、それらを次々に使っていった。
原料は工場に。
工作機械などは設置してすぐに稼働できるように。
武器類は防衛のために各所に設置していく。
人も当然動いていく。
可能な限り無人機械で作業は進めているのだが。
その無人機械が足りない。
増産を続けているが、それでも追いつかないほど忙しい。
それに、細かな部分の作業は人の判断が必要になる。
どこに何を置くのか。
実際においてみて、不具合や偏りはないか。
それらを決めるのは人だ。
機械に全てを委ねることは出来ない。
最終的な微調整。
これらを上手くプログラムすれば良いのだが、それもなかなか難しい。
人が指示をして、その都度プログラムを更新するしかない。
そうして作業は徐々に簡略化される。
最後は人が必要なくなる。
なのだが。
それまでは人が何かしら手をかけないといけない。
「…………こっちは終わった」
そうした作業に従事しながら、カケルは声を送る。
通信機によって指揮所に作業の結果が届く。
それを受け取って指揮所は、作業用プログラムを更新する。
加えて、次の指示を出していく。
「はいはい…………」
終わる事のない作業に、カケルはため息を吐いた。
星一つを守るという防衛体制。
その為に必要な作業量は膨大なものになる。
少ない人手と機械では完全なものにすることは出来ない。
各国からの支援があっても、それは変わらない。
無いよりは遙かに良いが、必要量に達してるわけではない。
それでも侵略者に対抗するために、カケル達は駆け巡っていく。
ここで負ければ後が無い。
その思いが不眠不休に等しい作業を続けさせていた。
やらねば、戦いになった時に自分が不利になる。
最悪、死ぬ事になる。
命が報酬なのだ。
生き残るためには、無理や無茶をしてでも働くしかない。
「きっついなあ…………」
ぼやき声も出ようというもの。
それでも防衛体制は築き上げられていく。
必要なものには全く足りなくても。
何も無いよりはマシである。
少しだけでも生き残る確率を上げることは出来る。
その確率を更に上げるために、過労死ギリギリの作業をこなしていく。
侵略者が来る前に作業員達が死にそうになる。
生死の境目の上を綱渡りしながら、カケル達は仕事をこなしていった。
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