74回目 世界の決定、侵略者の撃退と日本への制裁
実際、日本政府は葦原への攻撃を画策していた。
これを頓挫させられ、政府の者達は歯ぎしりをした。
政府や役人にとって、自分の思い通りにならない事ほど腹の立つ事は無い。
何より、自分達が定めたルールが損なわれるのを嫌う。
それがどれ程間違ってようと、法律として制定したものに背かれる事を。
また、どれ程無駄であろうとも、一度作ったルールや法律を潰されるのを嫌う。
そんな政府や役人にとって、思い通りにならない脱出者達の存在は憎しみの対象だ。
彼らが命からが逃げてきた事も、生き延びるために必死なことも関係がない。
自分達が決めたルール通りに動かない、それだけが問題だった。
なので、国防軍が法律通りに攻撃を一方的に受けて死なないことに。
開拓地の住民が指示や命令、通達を無視して勝手に脱出したことも。
脱出者という存在全てが憎しみの対象だった。
どうにかそれらを潰そうとしていたが。
それも各国によって封じ込まれてしまう。
手を出そうにも出せない。
「おのれ!」
そう叫んで怒り狂う者達が政府や各省庁にあふれていた。
彼らにとって、領土である開拓星がどうなろうと知ったことではなかった。
ただ、自分たちの決めた通りに動かない存在が邪魔だった。
憎たらしくて仕方がなかった。
その為の報復すら出来ないことに憤りを感じていた。
やり場のない怒りを抱えていった。
そんな日本政府の考えなど、脱出者と他国からすればどうでも良い事だ。
人類の存亡より自分たちの都合を優先してる日本。
そんな国をかえりみる者などいない。
建前のために死ぬ事を選ぶ愚か者など気にしていられない。
まずは迫る異星人を撃退しなくてはならない。
その為の準備に各国は邁進していく。
葦原への物資提供はその第一歩だ。
可能なら軍勢を送り込むつもりでいる。
その軍勢が動くのにも時間がかかる。
出撃準備だけで数ヶ月かかるのだ。
どうしても時間を稼がねばならなかった。
その為に、まずは脱出者達に足留めをしてもらわねばならない。
葦原を突破されたら後が無い。
そのまま異星人はなだれ込んでくる。
そうなれば、効果的な反撃も難しくなる。
それは避けねばならなかった。
日本の都合などくんでる場合ではなかった。
まずは日本を牽制。
その上で葦原にて防衛・反撃。
侵略者である異星人を撃退することになる。
それまで日本に邪魔をさせるわけにはいかなかった。
下手な動きをしないよう抑えつけておかねばならない。
葦原への、脱出者達への支援にはこうした思惑が働いていた。
また、更にその後の処置の前段階でもある。
今回、愚行を働いた日本。
その征伐も既に秘密裡に決まっていた。
侵略者に効果的な対抗をするでもなく、ひたすらに損害を拡大させた。
それが地球人類の危機に繋がるというにも関わらず。
そんな日本を世界は赦すつもりはなかった。
「侵略者を撃退したら、制裁を加える」
日本以外の各国はそう決めていた。
侵略者に迎合したとしか言えない日本。
そんな日本は、侵略者の手先であり、地球人類の敵でしかなかった。
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