64回目 葦原攻略に向けて
瑞穂から更に地球よりにある星、葦原。
この葦原を、出澄・瑞穂の脱出者達は決戦の場と考えていた。
理由は、葦原が辺境にしてはそれなりに産業が発達してる事。
この生産力を確保出来れば、十分に抵抗可能な事。
ここから更に逃げるにしても、その先はさすがに防衛力が高いこと。
これらを考え、葦原を拠点にするしかないという事になった。
その準備を航海中に進めていく。
今回は瑞穂の時にように時間をかけたりしない。
一気に制圧して星を確保する。
少しでも早く迎撃態勢を作り上げるために。
出澄脱出の時と違い、多くの物資や機材を持ち出すことが出来た。
その分だけ、準備をととのえる事ができる。
それでも勝ち目はそれほど高くは無い。
最初の段階で優勢がとれなければ負ける。
だから、その一点に全てを賭けていく。
長期戦はそもそも出来ない。
そんな余裕は無い。
短期決戦で全てを終わらせていく。
そのつもりで脱出者達は準備を進めていった。
そうでなくても、異星人がやってくる。
それが到着するまでに葦原を確保せねばならない。
迎撃準備を作り上げて。
どっちみち、時間は無いのだ。
「なんか、チキンレースみたいだ」
相変わらず様々な作業にかり出されるカケルはそう呟いた。
限界ギリギリを責める、命がけのレース。
そんなものを嫌でも強いられてしまう。
戦争とはそんなものなのだろう。
それにしても、少しは余裕が欲しいものだった。
その余裕を得る為に、余裕の無い仕事をしなくてはならない。
矛盾の極みとしか言いようがない。
「なんでこうなってんだか」
ぼやき声は果てること無く出てくる。




