63回目 せめて、これくらいは
「とことん邪魔してきたんだ」
脱出する船の中でミチオは呟く。
「最後くらいは役に立ってもらわないと」
戦いの邪魔をして死ぬ確率を上げる。
そんな事ばかりされてきた。
その分の償いを少しはしてもらわねばならない。
「どんだけ時間が稼げるのかわかんないけど」
戦闘用に改造されたロボットの中でカケルはぼやく。
瑞穂を脱出したとはいえ、やるべき事は多い。
元が作業用機械である人型ロボットは、あちこちでそれに従事していた。
そうした中で思う。
自分たちはどれだけの時間を手に入れたんだろうと。
「少しは余裕があればいいけど」
様々な作業に忙殺される身としては、1秒でも長く余裕が生まれてる事を願ってしまう。
瑞穂に残した監視装置からの情報で答えが分かる。
やってきた異星人。
それらが制圧と占領にかける時間。
各地の生き残りの様子。
そうした情報が手に入るにつれ、残された時間がはっきりしていく。
瑞穂の制圧・占領はけっこう時間がかかってるようだ。
無人の浮き砲台をそれなりに設置したので、それらが邪魔になってるようだ。
もちろん、抵抗が長く続くわけもない。
なんだかんだで浮き砲台は次々に破壊されていく。
しかし、そうした浮き砲台の攻撃により、異星人も警戒する。
どこにどんな仕掛けがあるのかと。
その不安と心配、警戒が侵攻を遅らせる。
その遅れが、時間の猶予として脱出者達にもたらされる。
脱出者達が向かう先。
更に隣の星。
そこに異星人がやってくるまでの時間が稼げる。
その時間で脱出者達は準備が出来る。
異星人を迎撃出来る状態を。
出澄に異星人が侵攻してきてから4年。
瑞穂を脱出した者達は、これから向かう隣星で決戦を挑もうとしていた。




