6回目 自業自得の破滅 5
辺境の星である出澄。
その開拓と開発には人手が必要不可欠だ。
この人材確保のために、出澄政府は安全性をことさら強調した。
発展の遅れは許されるものではなかったからだ。
異星人との接触という異常事態も考慮されなかった。
地球にある日本本国政府は計画の遅延を認めない。
作業が遅れることの損失を受け入れがたかったからだ。
経済的な理由だけではない。
むしろ、こちらがより大きな理由になるのだが。
計画遅延を失態とみなす体制。
それによる降格・失脚。
最悪、失職になる可能性もある。
それどころか、計画失敗が背任によるものとして、刑事罰を受ける可能性もある。
れっきとした犯罪者だ。
そうなる事を避けるために、日本本国と出澄の政府は共に安全性を強調した。
問題は無い、開拓を進める障害にはならないと。
そんな宣伝を信じない者もいたが。
大多数の日本人はそれを信じた。
信じて爆撃を受ける事になった。
「何やってんだよ」
出澄政府への文句が出る。
安全だと言ってたのは何だったのか、という意味で。
そして、こうなってしまったのは仕方ないとしてもだ。
その対応として何をしてるのかと。
その答えがどこで見られるのやら、と思いつつ歩く。
安全地帯を目指して。
向かう先が本当に安全かは分からなかったが。