56回目 敵への対処
制圧された瑞穂で最初にされたのは選別。
事前に用意されたプログラムをネットワークを通じて拡散。
それを通じて、脱出するべき人間を選別していく。
個別に質問・問答を行うのもそうだが。
その際の態度や口調、表情や脈拍・脳波の変化など。
それらを分析して、考えや思いを把握していく。
やってくる異星人との戦いを邪魔する者はいらない。
そういう要素は全て排除していく。
それが終わってから、宇宙への脱出を促していく。
瑞穂に残ってる宇宙船を使い、選んだ者達を脱出させる。
また、地上の設備を使って、脱出に必要な物も生産させていく。
出澄脱出の時よりは余裕があるので、今回はかなりの多くの者達を逃がす事ができる。
そう多くの人間が死んでるわけではない。
出澄脱出者達によって幾らかは死んではいる。
しかし、それも異星人による無差別爆撃の被害ほどではない。
なので、脱出に必要なものは出澄の時より多くなってしまう。
この為、準備には出澄の時よりも手間と時間がかかってしまう。
これはどうしよもないと諦めるしかない。
せめて異星人がやってくるのが遅れるよう願うしか無い。
それが無駄なものであると知りつつも。
「敵は確実にやってくる」
出澄脱出者達は瑞穂の者達にそう伝えていった。
「奴等は地球圏の事は把握している。
だから、確実にやってくる」
事実をありのままに伝えていく。
「奴等は出澄を制圧してる。
それは、俺たちが残してきた監視衛星とかではっきりしてる。
地球側の情報だって把握しただろうよ」
それを聞いて瑞穂の者達は恐怖をおぼえた。
だが、同時に疑問も抱いた。
地球側の領域、地球を中心とした勢力圏。
その宇宙地図が敵に渡ればどうなるかなど分かってるはずだ。
なぜ、それらを消しておかなかったのか?
それだけの時間はあったはずだと。
「わざと残してきたに決まってるだろ」
出澄脱出者達からの答えはこれだった。




