52回目 到着、撃退、制圧 4
国防軍に限らず、日本人は外部の存在にはとことん甘い。
侵略されようが、不利な条件で契約されようが、強奪・強姦をされようが。
それが外部の者によってなされたら放置する。
容認する。
仕方ないといって受け入れる。
被害者が行動を起こそうとすれば、被害者を糾弾する。
訴訟や反撃を封じる。
やって当然のことを非難して否定する。
叩き潰して泣き寝入りさせる。
そんな卑しく浅ましい生き物が日本人だ。
こういった性分を持つ日本人が相手だ。
一応は身内であるはずの、同胞であるはずの出澄脱出者に容赦するわけがない。
命からがら逃げてきた者達に、
「なぜ現地で死ななかった!」
「なんで生き延びた!」
「どうして異星人に殺されなかった!」
などと罵るのが日本人である。
そんな日本が、日本人が迫るミチオ達への攻撃を躊躇うわけがなかった。
ミチオ達もそうなのだろうと覚悟している。
だから、対抗するための方法を2年の間に考えていた。
先行するミチオ達の戦闘機。
それらには、通常の武装の他に、特殊な装置を搭載している。
電子的な介入をするためのものだ。
いわゆるハッキングをするための機器である。
これによって、敵である日本軍の戦闘機・艦艇の電子装置に侵入していく。
電子戦。
通信にしろ探知にしろ、これらの効果が大きくなってる時代だ。
これらを阻害する事ができれば、それだけで大きな戦果となる。
それを出澄脱出者は出来るだけ強化していた。
正面から殴り合えば勝ち目は無い。
それははっきりしてる。
だから、少しでも勝ち目を高める事ができる方法を模索した。
その結果が電子戦だった。
可能な限り強化してきた電子戦装置。
それが敵戦闘機をとらえていく。
その瞬間、瑞穂側の戦闘機は攻撃不能となった。
先制攻撃禁止となって。




