5回目 自業自得の破滅 4
瓦礫になっていく町。
その中を用心しながら歩いていく。
車もバイクもない、自転車すらもだ。
そんな状態では歩くしかない。
「せっかく作ったのに」
入植星である出澄。
その為に注ぎ込まれた資本は莫大なものになる。
惑星改造による環境構築。
それに続く入植と都市建設。
人類の科学は進歩したとはいえ、これらは多大な労力を求められる。
更に、数十年という歳月がかかる長大な事業だ。
星の発見から数えれば、もっと長い期間がかかっている。
それらの努力が全て無駄になっていく。
それをカケルは目の当たりにさせられている。
それでも、危険を感じて逃げ出したいとは思った。
他の星に引っ越した者達のように。
しかし、引っ越すのも簡単ではない。
同じ星の中ならばどうにかなる。
だが、避難となればそうはいかない。
最低でもすぐ隣の星に移住せねばならない。
そこまで余裕のある者達は多くは無い。
また、出澄にて広大な土地を手に入れた者達も多い。
開拓もなされてない場所がほとんどだが、それは利用できる場所が多いという事だ。
それらを開拓すれば、かなりの収益を得る事も出来る。
今は無理でも、将来は。
たとえ自分は無理でも何代か後の子孫は。
その可能性を簡単に手放す事は出来なかった。
そう考えて出澄に進出した企業もある。
そんな企業の駐在員は、自分の判断で勝手に帰る事は出来なかった。
何より、出澄政府が認めなかった。
危険が迫ってる事を。
それにより、人が散る事を。