46回目 脱出、その先で待ち受ける事態を憂慮して 2
「そうなるよなあ」
伝えられた指示を聞いて、カケルは妙に納得してしまう。
これから向かう隣の星。
そこでやる事を聞いてだ。
やる事は決して穏健とはいえない。
だが、そうしなくてはならない理由も分かってしまう。
出澄から脱出する中で、そうなる原因をいやというほど見てきた。
国防軍の出撃に反発する者達。
爆撃による破壊を軍や政府のせいにする者達。
降伏して敵にすりよる者達。
カケルはそれらを実際に目にしてきた。
加えて、政府や軍上層部の事も耳に入ってきている。
戦闘にかり出された者達の攻撃を許さず、一方的に殺害された事を。
そんな状況から逃げ出し、どうにか戦えるようになっていった事も。
嘘だと思いたくなるような事実を伝えられた。
まさかと思うが、すぐに「それくらいやるだろうな」とも思った。
不思議な説得力を感じる。
そうした事実を見聞きしてきた。
確証がとれない事もあるが、そう間違ってはいないだろう。
同じ事は形を変えて隣の星で起こるだろう。
なにせ、同じ日本人だ。
似たような事を何かしらやらかす。
それらへの対策をするのは当然だ。
「殺されちゃかなわねえからなあ」
同じような状況になれば、同じような事をする。
そして得られ結果は同じようなものだ。
そうなったらたまらない。
一方的な異星人から蹂躙。
それへの対抗・抵抗の阻止。
増大する死体と瓦礫の山。
そんな事に巻き込まれたくはなかった。
そうならないように対策を考えるのは当然だ。
するべき事もせずに死ねという連中に従う必要は無い。
そんな連中こそが死ぬべきである。
悪法は法では無い。
法や取り決め、約束というのは、お互いに幸せになるために守るものだ。
だからこそ、お互いに制限をかけていく。
やってはいけない事を決めていく。
やるべき事を決めていく。
それが害しか生まないなら、もう役目を果たしてない。
利益を生むどころか損害しか出さないなら何の意味もない。
そんなもの、守るべきものではない。
すぐに無くすべき悪事でしかない。
そんな悪事を続けるのが法だというなら、そんな法はさっさと滅ぼさねばならない。
後生大事にそんなものを保持するというなら、そんな連中を滅ぼさねばならない。
出澄はそんな連中に破壊された。
同じ轍を踏むつもりは無い。
カケルにも、他の者達にも。
その為に指示に従っていく。
生き残る為に。
今後の為に。




