43回目 出澄脱出、船団護衛 8
「全部、上がったな?」
「はい、予定されてる船は全て宇宙にいます」
「よし、出発だ」
出澄脱出をはかる宇宙船団。
それらはマスドライバーによって宇宙にあがったこれらは、出澄から離れていく。
「それで、地上の方は?」
「予定通りです。
問題のある者達は残してあります」
「よし」
脱出にあたりもっとも大事な部分の確認をしていく。
出澄から脱出するにあたって問題が発生した。
宇宙船がどうしても足りない。
宇宙港まで非難してきた者達を全て救出するのは不可能だった。
その為、何人かは放置する事になった。
全てを救えないのだからどうしようもない。
だから乗せきれない者達は切り捨てる事になった。
そして、どういう物を切り捨てるのかに話がうつっていく。
とはいえ、ここはさほど悩む事はなかった。
「問題のある奴は切り捨てろ」
ミチオをはじめ、軍の生き残りはそう決めた。
「俺たちを殺そうとした奴等はいらん」
これが選別基準になった。
軍の邪魔をして何人もの軍人を殺した連中。
敵の攻撃を招き、数多くの一般人を殺した連中。
そんなのを生かしておくわけにはいかなかった。
「調べられる限りの過去の履歴を調べろ。
犯罪歴のある奴もそうだけど。
侵略を招いた連中は全員残せ」
生かしておくわけにはいかない連中だ。
このまま放置しておけば、またどこかで問題を起こす。
それを今のうちに排除していく事にした。
問題は出澄にだけ留める事にして。
様々な方法で選別が始められていく。
生き残ってる情報から過去の経歴を探り。
SNSなどでの発現も極力探り。
更に、避難所などでの会話も聞き取って情報を手に入れていく。
それをもとに、問題の有無を判定。
連れていく者と残す者を決めていく。
そうして選別された者達が宇宙にあがる。
宇宙船に乗せずに地上に残していく。
乗せて脱出させるだけの価値も無いと判断して。
実際、切り捨てるしかない。
ミチオ達からすれば、自分たちを殺そうとした連中である。
仲間を殺した連中である。
最悪の事態を考えもせず、邪魔にしかならない制度や装置を作ってた連中である。
生かしておく理由がない。
生きていれば、また再び悪事を働くのだから。
無駄にすらならない邪魔者達。
何もしないだけならまだ害は少なかったかもしれない。
だが、邪魔という障害になるのだから放置も出来ない。
どのみち、片付けておかねば今後にさしつかえる。
そうして選別された邪魔者達を地上に残していった。
こうする事で、救出する人間を絞る事ができた。
足りない宇宙船も間に合う事になる。
そうして最後の宇宙船が宇宙にあがってから。
最後の仕上げに入る。
「やれ」
「はい」
指示が出され、それに従って無線が飛ぶ。
地上に設置した機器がそれに従って作動していく。
無線をひろった機器が、次々に爆発していく。
それに伴って、宇宙港が破壊される。
万が一にも、地上に残った者達が宇宙に逃げないように。
そして、異星人が利用しないように。
同じ事は、生き残ってた生産設備などにも及ぶ。
さすがに出澄全土に施す事はできなかったが。
宇宙港近隣の設備は確実に破壊されていく。
再利用できないように。
その爆発を見届けて、宇宙船団は飛び立っていく。
隣接する日本領に。
敵が追ってこないよう願いながら。




