40回目 出澄脱出、船団護衛 5
敵艦への肉薄、それによる至近距離からの攻撃。
ほぼ無誘導の対艦ミサイルは当たり、対象を破壊していく。
誘導性能はともかく、破壊力はそれなりにある。
当たればそれなりに大きな艦船でも無事ではいられない。
小型艦艇なら確実に撃沈。
大型艦艇でも、戦闘力を減退させていく。
浮遊砲台で倒しきれない敵を、こうして倒していく。
脱出船団に迫ろうとする敵は、すんでの所で撃退されていく。
だが、異星人艦隊も諦めたりはしない。
出澄各地から集まってきた艦隊は、損害をものともせずに突進していく。
浮遊砲台をなぎ払い、戦闘機を少しずつ撃墜しながら。
その動きを少しでも阻止するべく、ミチオ達戦闘機隊は再度攻撃を仕掛ける。
ほぼ直進するだけの対艦ミサイルを再び搭載し、異星人艦隊へと向かっていく。
その補給のために、補給艦が前線近くまで出てくる。
速度を落とした戦闘機は、その前に止まる。
そこに作業用ロボットが群がり、対艦ミサイルを戦闘機に取り付けていく。
「ミサイル、補充しました」
「機銃、砲身交換しました」
必要な措置が終了していくのを耳で確かめる。
操縦席の画像計器板にも、その旨が表示される。
「よし、出撃する。
機体から離れろ」
「了解」
「ご武運を」
声を聞きながら、ミチオは再び戦闘機を進めていく。
補給が終わった戦闘機と共に異星人艦隊へ。
再度の攻撃で、更に敵を撃沈する。
どれだけ出来るか分からないが、やらねばならない。
でなければ、自分を含めて多くが死ぬ。
今更、国民のためになどとは思わない。
だが、まともな判断をして逃げてきた者達まで死なせるのもしのびない。
選別を済ませて宇宙船に乗せた者達だ。
それらくらいは助けてやりたかった。
ミチオが憎んでるのは、まともな判断をしなかった連中である。
そのせいで殺される事になった。
その原因を作った加害者と、それに加担した共犯者に容赦するつもりはない。
だが、そうでない者達くらいは救ってやりかった。
だから今、必死になって異星人艦隊を撃退している。
その異星人艦隊との距離が縮む。
再び敵からの攻撃が放たれる。
事前に幾らか撃沈してるので、弾幕は薄くなっている。
それでも油断は出来ない。
味方も減っているので、戦力差はあまり縮んでない。
「不利なのは変わらないか」
やるせないが、引くわけにもいかない。
腹をくくって敵艦へと向かう。
対艦ミサイルをたたき込むために。
その後も何度か攻撃を仕掛け、異星人艦隊を退けていく。
それでも、少しずつ少しずつ異星人艦隊は進んでくる。
土台となる戦力が違うのだからどうしようもない。
侵攻を遅らせるので精一杯だ。
それでもミチオは仲間と共に敵に挑み続けていく。
一隻でも多くの敵を撃沈するために。




