4回目 自業自得の破滅 3
「さっさと引っ越しときゃ良かった……」
鳴り響く警報。
爆撃と、避難を呼びかける声。
それらを聞きながらカケルはぼやく。
既に引っ越した者達の事を思い出す。
彼らは賢明だったと今更ながら思う。
自分のおなじように逃げられれば良かったとも。
そうもいかない事情があったので仕方がないが。
その結果が、爆弾の中を逃げ回る事なのがつらい。
あちこちで破裂と破壊が行われている。
その爆音と爆風を避けながら、逃げ込める場所を求めていく。
幸い、カケルがいる都市は地下鉄が張り巡らされている。
それらが臨時の防空壕代わりになってくれる。
一応、何かあったらそこに避難するように言われていた。
それに従い、カケルも地下鉄を目指していった。
だが、駅に到着してすぐに駄目だと思った。
地下鉄が臨時の避難先だと知ってるのはカケルだけではない。
近隣にいる者達も逃げ込んできている。
その為、駅構内から人があふれている。
とても中に入れる状態ではない。
「あちゃあ……」
しくじった、遅かったと思った。
だが、無理してその中に割り込むのも難しい。
既に人があふれてるのだ。
分け入るのも難しい。
無理矢理入っても、はたしてどれだけ安全なのか。
爆弾の威力によっては、少しばかり地下に入ったところで意味がない。
可能な限り奥まで入れればいいが。
それは期待できそうに無い。
やむなくカケルはその場から立ち去る。
より安全な場所を目指して。
物影を伝い、町の外を目指す。
都市の破壊が目的なら、町の中にいる方が危険だ。
なんとかしてここから脱出しなければならない。
「さて」
あらためて携帯電話を引っ張り出す。
その画面に地図と現在地を表示させる。
都市の外への道も。
それに従い、カケルは歩き出す。