32回目 作業ボランティア
ミチオが敵の撃退をしている頃。
宇宙港でも様々な作業が進められていた。
脱出の為の宇宙船、その準備が大急ぎで行われている。
動かせるものならば、新旧問わずに集められていた。
それらに人や物を割り振り、出発を待つ。
可能なら、準備が出来た宇宙船から発進させたいのだが。
そうすると、異星人に狙われる可能性が出てくる。
逃げ出す瞬間を慎重に見極める必要があった。
しかし、準備といえどもかなりの作業量になる。
この為に、正規の作業員以外にも、有志による協力が求められた。
金は出ないが、食事と寝床くらいはどうにか与えられる。
この状況では、それだけでもありがたいものだった。
何よりも、生き残るためである。
報酬は命。
これが欲しければ、少しでも何かをしておかねばならなかった。
生きて脱出するための努力を。
結果が伴うかどうかは分からないが、やらねば良い結果が出る事はない。
カケルもそんなボランティアの中にいた。
なんとか宇宙港まで来たのは良いが、食料なども持ってなかった。
金銭はこんな状況では役に立たない。
寝床も提供してくれるだけでも、応募する価値はあった。
それに、少しでも早く脱出したい。
その可能性を高める為でもある。
どれだけ役に立ってるかは分からなかったが。
少しは出発までの時間を短縮してると信じて動いていた。
作業用ロボットに乗り込み、荷物を運ぶ。
人の形をしたフォークリフトとも言うべきこれは、使用者の思考をなぞっていく。
腕を上げると意識すれば、ロボットの腕も上がり。
足を動かそうと思えば、同じようにロボットの足も動く。
体を動かすのと同じ感覚で動かせる。
操縦をおぼえる手間がそれほどかからない。
このロボットのおかげで、未経験の初心者もそれなりに働けるようになる。
カケルも重量物の運搬などを簡単にこなす事が出来る。
作業を少しでも進め
生き残る為の作業を続けていく。
少しでも早く脱出するために。
そんなカケルを含めた協力者達には、更なる提案もなされる。
より危険で、だが必要とされる作業。
「戦闘支援?」
思いもがけない事に、カケル達は驚く事になる。




