30回目 逃げる準備と逃げるまでの努力
宇宙港周辺の安全は確保されていく。
だが、まだ脱出は出来ない。
とりあえず異星人をはねのけられるようなっただけなのだ。
脱出した宇宙船が追跡されたらどうにもならない。
迫る敵を確実に迎撃出来るようにしなければならなかった。
その為にも兵力を確保しなければならない。
脱出する船団を護衛出来るように。
その兵力確保が思わしくない。
兵器の改修は簡単にできるものではない。
急いではいるが、終わるまで時間がかかる。
それまで異星人が大人しくしてるわけもない。
その為、最低限の動作が出来るように。
戦闘力が極端に落ちない程度に。
その範囲で出来る改修に留めていく。
操作性や動作、動きの善し悪しは最低限に留める。
レーダーなどの探知や、自動照準などもある程度諦める。
万全な状態での戦闘は無理だと諦めるしかない。
その代わり、確実に動けるように。
武器の使用制限は確実に取り除けるように。
それだけは徹底していく。
これを出澄に残った研究所や工場で行っていく。
時間も道具も何もかもが足りないが、やるしかない。
やらねば脱出が出来ないのだ。
そうなれば、全員死ぬ事になる。
幸い、資源の備蓄は多少はある。
工場も自動化されてる部分が多い。
あとは設計図を作るだけだ。
それを工場の機械に読み込ませれば、必要な部品は作られていく。
設計図を作るのが難しいのだ。
本来、何年もかかるのが新規設計だ。
それをわずかな期間でやらねばならない。
無理や無茶にも程がある。
完全なる新規開発や新規設計でないのが救いだった。
既にあるものの改修なので、それほど時間はかからない。
性能もそれほど求められてないのも大きい。
これらによって、開発期間は数週間で終わる。
だが、数週間の間、防衛しきらねばならない。
迫る異星人の猛攻をしのぐ事を考えると、この時間はあまりにも長かった。
急造の兵器でなんとかしているのだが。
それも限界が見えてくる。
「それでもなんとかしないと」
宇宙において戦闘部隊を率いるミチオは、自分に言い聞かせていく。
宇宙港周辺が破壊されたら、もう脱出は出来ない。
ここだけはどうあっても守らねばならなかった。
その為に、とりあえず動くようになった宇宙戦闘機に乗り込む。
武装が使えるように、邪魔になるものは取り外されている。
その分、操作や制御が難しくなってしまった。
だが、いま使えるのはこれだけしかない。
改修された部品が届くまでは、なんとか持ちこたえるしかなかった。
何度目か分からない異星人艦隊の襲来。
それを迎え撃つために仲間と共に出撃する。
大量の無人戦闘艇が防衛戦を作っているが、それだけでは防衛しきれない。
必要なところに必要な補填をしていかねばならない。
それはミチオのような人間の役目だ。
「行くぞ、みんな」
戦闘に立って発信していく。
軌道上に残った数少ない宇宙基地から、ミチオとその仲間は飛び立っていった。




