29回目 使えないものを使えるように、ありあわせの物で使えるものを用意しながら
避難を進める中で、別の作業も進められていく。
武器や兵器の改修だ。
とにかく、武装が使えない状態をどうにかしなてくはならない。
問題なのは、各電子機器である。
搭載されてるほとんどに、使用制限がかけられていた。
解除には、司令部の許可が必要なように。
それも、この星の司令部の許可ではない。
地球にある日本本国のだ。
つまり、日本政府の防衛省の、防衛大臣の許可がないと戦闘が出来ない。
言ってしまえば末端の、辺境の星での戦闘であってもだ。
戦闘をするために、わざわざ本国にお伺いを立てないといけない。
それでも許可がおりるなら良い。
しかし、実際に許可など決しておりない。
今、出澄で戦争が始まってるのに、全く戦闘が出来ない事が証明している。
日本政府は戦闘や戦争を決してみとめない。
その為に国防軍将兵がどれだけ無駄に死のうともだ。
そんな制限を取り外したかった。
このままでは何も出来ずに殺されるだけなのだから。
その為には各機器を交換しなければならない。
しかし、それすらもままならない。
交換するべきものがないのだから。
なので、代用品を急いで用意していく。
ありあわせの材料で作り、各機器の代わりに搭載する。
性能は本来の機器よりも落ちるが、こうするより仕方が無い。
動かないよりはマシなのだから。
それでも兵器そのものが足りない。
異星人の宇宙艦隊に対抗する戦力がない。
それらも用意しなくてはならない。
その為、これまた急ごしらえの兵器を用意していく。
作業用の宇宙艇などを改造する事で。
戦闘用ではないこれらに、武器や照準装置などを取り付けて戦えるようにする。
軍用のものほどの能力は期待出来ないが、無いよりマシだった。
ただ、そんな急ごしらえなものに人を乗せるわけにもいかない。
そこで、簡単な制御装置や自動操縦装置をのせて、無人で動かしていく。
複雑な作業は出来ないが、近づいてきた敵に向かって攻撃をするくらいは出来る。
軽作業用の宇宙艇を改造して、こうした簡易戦闘機を作っていく。
わかりやすく言えば、個人用のヨットやモーターボートなどに大砲や魚雷を取り付けたようなものだ。
自動車に機関銃を搭載しただけの、簡単な戦闘車両のようなものとも言える。
急場しのぎ以外の何物でも無い。
だが、早急に数を揃える事はできる。
それが今は最も大事な要素だった。
何をするにしても数が足りない。
なにせ、戦闘ともいえない戦闘で戦力を大きく失った。
それを少しでも補わなければならない。
質を求めてる状態ではないのだ。
そうしてとにかく数だけ確保して、宇宙港近隣の軌道上に展開していく。
これによって、異星人艦隊の接近を幾らか阻止できるようになった。
そうして時間と猶予を稼いで、兵器の改修を進めていく。
少しでも戦える状態にするために。




