28回目 降伏希望者
「降伏すればいい」
避難を拒む者達はそう言う。
「確かに今は爆撃されてる。
でも、それは抵抗してるからだ。
それが無くなれば、問題なく占領される」
避難を拒む者達はそれを待っていた。
「占領すれば、住民に無体はしないだろう。
そりゃあ、今まで通りには生きていけないだろうが」
留まる事を選択する者達の考えはそういったものだった。
今まで通りでなくても、これ以上の被害は出ない。
ならば、大人しくしたがった方がまし。
抵抗してつらい思いをするだけ損だという。
「命あっての物種だ」
抵抗せずに降伏する。
そうして命を確保する。
だから避難はしない。
しても無事に宇宙港にたどり着けるかどうか。
その間に攻撃されたら、それこそ大変な事になる。
「だから、避難はしない。
ここに隠れてるよ」
幸か不幸か、地下鉄などの駅は無事だ。
異星人の爆弾も、ある程度の深さまでは破壊できない。
地上は大変な事になるが、それでも命までは失わずに済む。
残ることを選んだ者達は、そう告げていく。
「あんたらもこれ以上異星人を刺激しないでくれ」
こんな事も要求してくる。
変な抵抗をするから戦争になる。
攻撃をされる。
そうやって異星人を刺激しないでくれと。
「余計な面倒ばかり増やしやがって」
軍はそんな残留希望者の願いを受け入れていく。
そうしたいという意思を尊重していった。
一人一人の自由というものだ。
他人がとやかく言うべき事ではない。
それに、そういう者達が死んでも困りはしない。
ケチをつけたり文句を言ってくる連中と似たようなものだからだ。
表れ方が違うだけで、本質的な所は同じ。
反戦・無抵抗。
この部分は共通する。
そうした者達を助ける気など、生き残ってる軍人達にあるわけがなかった。
それに、別の問題もある。
避難させようにも移動手段がない。
バスやトラック、車などは限りがある。
全員を乗せる事はできない。
なので、避難しないというのはありがたいものだった。
その分だけ手間が減る。
その上で、残留希望者の名前などを確認していく。
誰が自分の意思で残ったのかをはっきりさせるために。
あとで責任問題にされてはたまらない。
証拠はしっかりと保全していく。
こうした問題に対処しながら避難は進んでいく。
どうしても遅れがちになるが、避難そのものは進められていった。




