23回目 どこに進むのか、進んだ先に安全はあるのか
展開した軍の部隊によって、邪魔が排除されていく。
この期に及んで、いまだに意味の無い事をわめく者。
現状打開の為に動かない者。
規約や規則を理由に協力を拒む者。
そういった者が死体となっていく。
そうして問題を片付け、ようやく全てが動いていく。
軍が避難を指示し、残った役所や警察の者達が動いていく。
処分が進んだ所はかなり迅速に動いていく。
役所も警察も避難誘導を開始していく。
今までは異星人の侵略など存在しないと言ってる連中が邪魔をしていた。
この攻撃は何かの間違いで、一過性のものだと。
そう言ってる者達は、実際の爆撃と破壊など全く見ていなかった。
そして、思い描いた空想と妄想を前提に行動をしていた。
そんな者達にとって、避難など必要の無いものだった。
だが、それらが消えて、現実が見えてる者達が動き出す。
軍におけるミチオのように、実際に起こってる事を見て動ける者達がまだ残っていた。
それらが民間人の避難に乗り出していく。
ただ、どうしても人が足りない。
道具や機材も爆撃で破壊された。
残ってるものを集めてなんとかするが、十分な活動は出来ない。
それは承知でやれる事をやっていく。
ただ、状況は絶望的ではある。
集中的に狙われてる都市から脱出をさせるにしても。
生存者がどこにいるか分からない。
まずはそれを探さなくてはならない。
道もふさがってる。
出来るだけ復旧させねばならない。
瓦礫だけでもどかして、移動できる通路を確保していく。
そうして生き残りを、残った数少ない車両で都市の外へと脱出させていく。
地下鉄なども利用していく。
電車を走らせるだけの余裕はないが。
線路を通路にして歩かせていく。
地表よりは幾らか安全なのが救いだ。
ただ、地下から地上に出たところは惨憺たる有様になっている。
異星人の爆撃でそこも攻撃されている。
地下に出入りしてる電車を見て何かを感じたのだろう。
その時走っていたであろう電車が、爆破されて横たわっている。
破壊された車両と、吹き飛んだ死体が周辺に散らばっている。
そこを通り抜けて避難者は進んでいく。
吐き気がこみ上げてくるが、止まるわけにはいかない。
止まれば後ろがつかえる。
それに、止まったところで攻撃されるかもしれない。
生き残る為には進むしか無かった。
爆撃により多くの者達が死んだ。
生き残った者達は、こうして少しずつ安全な場所を目指していく。
だが、本当に安全な場所はどこなのか?
誰もこの答えを持ってはいなかった。




