20回目 生まれた隙間、生き残る道 4
日本国防軍基地。
それは都市の近隣に存在する。
何かあった場合に、即座に展開出来るように。
都市を防衛出来るように。
とはいえ、距離にして50キロは離れている。
やはり、直接的な脅威になるのが軍事基地だ。
攻撃目標として真っ先に狙われやすい。
なので、都市に攻撃の被害が及ばないように。
流れ弾が極力当たらないように。
その為に、ある程度距離を離してもいる。
軍隊による反乱を警戒して、という意味もあるが。
何にせよ、都市部からそれなりに離れて存在していた。
そこまで向かうには結構な労力が必要となる。
「行くしかないか……」
うんざりする。
荷物を背負って進むには長い距離だ。
だが、他にあてもない。
やむなく歩いていく事にする。
幸いにして、それほど歩く事もなく軍と出会う事になる。
基地の方向から、装甲車やトラック・ジープなどが走ってくる。
それらと接触し、カケルは色々と聞かれる事になった。
携帯型の嘘発見器などを使い、幾つかの質問をされる。
どこに、何をしにいくのかを。
また、抗議やデモなのかと。
それらに正直に答えていく。
爆撃から逃げるために都市から出たと。
他にあても無いから、軍隊の基地を目指したと。
抗議やデモなんてやるつもりはないと。
それを聞き、軍人も安心していく。
避難してきたという事にも同情していく。
その上で、このまま軍の基地を目指せとも言われた。
「我々も避難誘導の為に出動している。
役所や警察と連携して、生存者を案内する事になっている」
それを聞いてカケルも安心する。
少しは今後の展望が見えてきた。
「ただ、乗せていってやるわけにもいかん。
町に向かわねばならないからな」
これだけは聞いてがっかりしたが。
「分かりました」
仕方が無いので納得する。
目の前の軍人が悪いわけではないのだから。
そこで軍のジープと別れ、一人基地まで歩いて行く事になる。
50キロは長いが、進むしかない。
「まったく……」
とんでもない事になったとあらためて思う。
そして、そんなとんでもない事をしなくちゃならない状況だとも思い出す。
今は戦争の最中なんだと。




