17回目 生まれた隙間、生き残る道
「ん?」
頭上からの攻撃が幾らか止まった。
少なくとも、今までほど激しくは無い。
「なんだ?」
理由が分からず、カケルは不思議に思った。
物影に隠れていたカケルは、周囲の状況が分からない。
そもそも情報が入ってこない。
携帯電話で接続するネットからも、めぼしい情報は得られない。
テレビやラジオなども同じだ。
だが、確かに攻撃は減った。
絶好の機会である。
この隙にカケルは都市の外に、更に足を進める事にした。
その前に、町の中を巡っていく。
身を隠してる他の者達に声をかけるためだ。
爆撃からからくも命を守った者達は他にもいる。
それらは壊れた瓦礫の中に身を潜めている。
機を見て外に飛び出すために。
今、まさにその機会がやってきた。
そんな者達の所を巡り、声をかけていく。
「爆撃がおさまった。
逃げる機会だ」
そう告げてまわっていく。
もっとも、さすがに全ての場所をまわれるわけではない。
カケルが知ってる隠れ家は数カ所だけ。
たまたま遭遇した者達と少しだけ接点を得ただけだ。
誰がどこにいるのかなんて分かるわけがない。
なので、知ってるところだけ回っていく。
そうしてやる義理や義務はないのだが。
見殺しにするのもしのびなかった。
もっとも、ここで外に出るのが正解なのかどうか。
それも分からない。
もしかしたら、ここに残っていた方が良いのかもしれない。
その方が生き残る可能性があるかもしれない。
どちらがマシなのかは全く分からない。
それでも、声をかけていく。
知らないよりは良いだろうと思って。
ただのお節介でしかないのは承知しつつ。
そこから先については各自の判断だ。
責任も含めて。
「他人事じゃねえけど」
カケル自身も例外ではない。
進むか留まるか。
その結果は嫌でも受け入れなくてはならない。
ただ、ここに留まっていても良いことがあるとは思えない。
爆撃は相変わらず都市部に集中している。
そこから逃れるには、外に出るしかない。
そちらに向かって足を進めていく。
生き残れるよう願いながら。




