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第14話 英明学園高校

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 英明学園高校の授業は英語、数学、現代国語等、高校の学習要領に沿って行われている。教室は各階、五部屋から六部屋ほどある。四階が一年生、五階が二年生、六階が三年生。そして七階、八階は各学年共有である。教室は仕切りで分けられている。普段は一部屋辺り、三十名程度の部屋だが、スクーリングや期末テストの際は、仕切りが取り払われる。百名程度収容できる広さになる。

 学年ごとにクラスもある。二年生はα、β、γ、θクラスの四つである。

 千尋たちはβクラス。人数は四〇人。今日は五階のA-2教室で授業をうけた。

 教室には学校特有の勉強机とイスが置かれている。黒板はなくホワイトボード。先生は十名ほどが常駐している。クラスごとの担任はいない。学年ごとに三名から五名の先生がついている。


 授業の終わりにはレポートの記入を行う。英明学園の単位取得に必要なことは主に三つである。月に四日ほどのスクーリング。期末テスト。週に一〇枚程度のレポート提出である。

 レポートは、学期始めに各生徒へ配られる。学科ごとに、週

一枚から二枚程度の量。内容は学習指導要領に沿っている。小テストになっており、虫食いを選択肢から埋めて提出する。

 通信制高校らしく、自宅で記入し、郵送することが出来る。一方で、サポート授業に参加し、レポート記入を支援して貰うことも出来る。記入し、その場で提出も出来る。

 合格点は七〇点。難易度は低い。教科書を読み込めば、大抵、点数は満たせる。


 が、中学時代、ほぼ三年間不登校だった千尋、めぐみには、難易度が高い。勉強はまるで出来ない。分数の計算も忘れてしまったほどである。サポート授業に参加し、指導を受けることは卒業に役立っていた。


 サポート授業は一〇時から一五時まで。一コマ四〇分。休憩は二〇分。一二時から一三時は昼休みである。


 正午。授業を終えた千尋、めぐみ、そして川澄あおいは、エレベータに乗る。一階へ降りて外へ出る。サンシャイン六〇階通りの入り口。繁華街である。ラーメンから定食、和食、イタリアン……、池袋の中心。飲食店は無数にある。


 あおいの希望により、カレーを食べることになった。あおいは辛党である。同時に大食漢でもある。細身だが、摂取量は多い。「太らない体質」と、自負するが、病的なため琴音は心配している。

 甘味以外感じないめぐみは、食にこだわりはない。なんにでも、蜂蜜をかける。外出時は欠かさずに持っている。

 千尋は、食べるのが苦手だ。幼少期のトラウマが影響している。

 電極をつけて電流を流す等、虐待を行っていた千尋の父親。

 食事の管理も徹底していた。肉類は一切与えず、少量のシリアルと水を一日一回食べさせていた。理由は「飽食にさせないため」と、捜査員に語った。実際には「制限を与えることで、支配下に置く」という洗脳の一貫だったと、書籍「ルポ、東村山市児童虐待事件」を執筆した東都新聞記者、早崎乃々華は書いている。

 三年生のころ、不登校が続き、檻に監禁されていたころになると、摂取量はさらに減っていた。

 食べるのは悪いこと。と千尋は無意識に思っている。「飽食は悪だ」と、父にすり込まれたから。吐いてしまう。と、琴音は推測をしている。

 背が小さい。体が小さい。声が高い。顔が幼い。その原因は複数あるが、食事量が少ないことが影響しているのは間違いがない。男性ホルモンを作る亜鉛やビタミン、鉄分、タンパク質が不足している。と琴音は感じていた。


 三人は六〇階通りへ歩き始める。偏食家の三人。行きつけのカレー屋「シンドバッド」へ向かう。

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