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影裏案件 -凍り鬼―  作者: greed green/見鳥望
五章 氷と鬼
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鬼と手紙

“ありがとう。本当に感謝しています。でも、後もう少しだけわがままを聞いてほしいです”


 手紙がまた届いていた。

 あなたの為にここまで頑張ってこれた。あなたのわがままならいくらでも聞いてあげる。そう思いながら色々な事を振り返っていた。


“僕のお願いを聞いてほしいんです”


 最初は質の悪いイタズラだと思った。だがそこに書かれた名前を見た時、私は思わず心臓が止まりそうになった。

 イタズラなのかもしれない。だとしても、これはただのイタズラではない。


 ――この手紙を無視してはいけない。


 それから全てが始まった。そして確信した。

 本当に、彼なのだと。

 これはきっと私の為に用意されたやり直しなのだ。

 あの時救えなかった過ちの贖罪の為の。

 ならば、無視などしていいはずもない。


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