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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

やっちゃったもんはしょうがない

作者: 紅梅

いろいろ行き詰っていたので、書きなぐってしまいました‥‥。



気づいたら、赤ん坊でした。

しかも同じように意識を持ったものと同居してました。

うん、とんでもないね


でも、お互いに意思疎通できたんだよ。

ぼくもオレもこの体の持ち主だって。

向こうは魔力が多かった人族の記憶があるんだって。僕は、ただ20年くらいは生きてたっていう記憶があるだけかな。サブカルチャーとかも広く浅くな知識だからよくわからないし。

といっても、俺のほうはそのサブカルチャーがわからないってことだから、お互いにこの世界の記憶があるわけじゃないのかもねって同意したんだ。


さて、そんな僕とオレですが、この世界では面倒くさそうなお家に生まれたみたい。


僕が知ってるライトノベルとかにもあった感じの魔法もあり精霊もいて王侯貴族もあるんだって。

そのなかでも割と高位貴族だよ。なんと~、公爵でした~。

面倒だよね、身分。


で、僕はそんなお家の第2子です。長男じゃなかったことにガッツポーズだったんだけど、どうも見てくれに問題があったらしくなかなかハードな幼児期を過ごしております。


【何言ってんだよ。ハードモードも過ぎてんだろうよ。オレが魔法使えてなかったら死んでたぞ?】


(そうはいってもさあ~、精霊だって僕らの周りにはいるんだし、死ぬことはないでしょ?)

【…俺たちだけで生きていけてることがまずいんだよ】



そう、現在、僕・オレは別邸にて放置されてます。

同腹の次男らしいんだけどねえ~、精霊の加護が強かったらしくて、目が普通とは違うんだって。

僕らには関係ないことなんだけど、父公爵はそれが縁起の悪いものに思えたらしくて、くさいものには蓋をするという感じで、僕らをここに移したんだよ。


使用人たちは、精霊が見えるものがいないから物が勝手に動いていたら叫ぶし、恐怖でひきつけを起こしたりと散々だったから、誰も寄り付かなくなっちゃったんだよ。根性のあるメイドはいなかった。


結果、精霊たちが今まで以上に過剰に過保護になったんだよねえ~。


【これぞ、悪循環ってなぐらい負のループだな】

(弟を喜んでた兄も、あまりにいろんなことが起こりすぎてて最近は寄りもしなくなったもんねえ)


【母親は、精霊がなんたるかを知ってたからか怖がったりはしてなかったが、魔法が使えてしまったからなあ~‥‥それについては僕に悪かったと思ってる】

(オレが謝ることはないよ。どうなっていたところで、この瞳がおぞましいと思われてるんだし、本邸に住むことはないんだし)



そんなわけで、精霊たちが僕らの生活を支えてくれているので今のところ不便はないんだけれど、問題は言葉なんだよねえ~‥‥。ここらの言葉を聞き取ることはできるけどねえ、会話なんてできないからさ。


それに、そろそろ3歳になるのだけど、本邸ではぼくたちのお披露目についての議論が紛糾してるんだよ。

気持ちが悪いのでそのまま幽閉しろっていうのと、この瞳は役に立つから使いつぶせとか‥‥3歳にしてとてもかわいそうな気がするんだけど、、どうなんだろうね?


【一度本邸に呼ばれそうな流れだな。そこでどの程度の力があるのかとか調べられるかもしれねえ】

(それはとても面倒だね…。いっそ失踪しても良いんだけど、僕らはまだこの形だから魔物狩りとしても生計していくには難しいもんね。保護者いないし)

【そこが一番面倒だな。役に立つ保護者的なのが人材としていねえ】

(致命的だねえ~…)


あ、この情報収集については、魔法やら精霊やらでチョイチョイとしてるんだよ。

僕もオレも情報の大切さはわかってるからね。気味悪がられたりして居なければ、僕らも好かれるように行動してたんだけど、生まれて早々にこっちにやられちゃったし、それに対抗するように精霊たちが世話するようになっちゃったしでどう仕様もないぐらいに溝ができてしまったからできることを工夫するしかなかったってことなんだけど。


とはいえ、魔力は全盛期のようにたくさんあるわけじゃないらしいから基本は精霊たちが声を運んできてくれるんだよ。


【魔力タンクはでかいから、今からためときゃかなりの量なんだがな~今はオレたち2歳児だからな】



(あ、どうやら本邸から執事の一人が僕らの迎えにくるみたい。僕らに対しては不憫というか憐憫的な感情をもってるね~。)

【そんなもんは要らねえが‥‥あっちに行って俺らを利用しようってか】

(売るのは辞めたらしいけど、力が利用できればいいって思ってるみたいだね。おぞましいって思ってるくせに、自分の物だと思ってることにほんとふざっけんな~だよね)


【いっそこの目を目の前で傷つけてやれば、俺らをみるようになるのかね?】

(ただ、こわがるだけじゃない?‥‥それかもしかしたら、逆に向こうが採ろうとするかもしれないね。

精霊の瞳だっけ?白目がない銀の目だっけ、高く売れるとか言ってたし)

【その目は右目だから、そっちだけえぐるって?】

(そういってたのは傍流もいいとこの馬鹿貴族だったけど、父公爵も同意はしてなかったけど、反対はしてなかったから何とも思ってないのかもね)


【‥‥はあ…おれは、ほんと僕がいてよかったと思ってる。でなきゃ壊れてたわ】

(それは僕のセリフだよ。僕もオレがいなかったらきっと生きていられなかったし)





さて、執事が来ましたよ。

どんなかんじかな~。





ノックの音が邸の中に響いたので、精霊たちがドアを開けてくれたんだけど、

この執事、精霊が見えるみたい。なんとなく慇懃な感じはあるけど、僕らのところまでやってきたよ。


「エルヴィーアス様、旦那様が御呼びでございます。わたくしと一緒に本邸へと参りましょう」



そういえば僕らのいた部屋について全く言ってなかったね。

僕らの部屋は、絨毯の上に、精霊たちがしとめた魔獣の毛皮が敷かれていてとってもふわふわなんだよ。

歩けるようになってからは、もっぱらここで過ごしてたんだ。


礼儀作法なんて誰も教えてくれないから、精霊たちの中でも人族に近いものたちに研究してもらったりしてならったんだよ~。

で、それが今発揮するとき!なんだけど、この執事目が合った瞬間に震え始めちゃった。


【まあ、この瞳は力の塊みたいなもんだから、精霊が見えるやつがみるととんでもないだろうよ。にしても、こいつは否定組ではない感じだが、やっぱ力強すぎるか】

(右目があいてるとだめなら布かなにかで隠す?)

【移動できねえと面倒だしそうするか】



震える執事を目の前に置いたまま、精霊たちが持ってきてくれた布を右目の上にまくと、多少は圧がなくなったのか執事は苦しそうにしながらも礼をとってたちあがった。


うん、どうにか移動は出来そうかな。



そのあとは、執事に抱えられて別邸をでたよ。敷地内といっても結構邸自体は離れていたから、馬車移動。同じ敷地内なのに笑えるよね。効率悪い。


馬車は本邸のものだから御者もいるんだけど、めっちゃ緊張されてるよ。


「これからお会いする方々はエルヴィーアス様のお父上、お母上、兄上、妹君です。お披露目についてのお話があると思いますので、よくお聞きになってください」



【こいつらバカだよなあ~‥‥なんで言葉を教えてないのにこっちが理解できると思ってんだか】

(理解を求めてないからじゃない?それよりさ~、僕ら全くきにしてなかったけど名前あったんだね)

【体裁だろ。それに、妹とかぶっこんできてるしな。ま、知ってたが】

(まあ、さすがに僕らのような子ではなかったし、かわいがられてるしいいんじゃない?)

【まあな。ん~‥‥右目の布に落ちないようにしっかり止めとくか】



執事が何か言ってたけど、ぼくらはマイペースに普段通りに話してたんだよね。まあ、完全無視みたいな感じになっちゃったんだけど、話自体は聞いてたから言葉の代わりに手で膝をポンポンたたいたよ。


「では、間もなくつきますので」






そこからはダイジェスト~。

馬車からおりました。運ばれました、応接間?らしき所に通されました。父?らしき人たちがいるところに来ました。母親?らしき人に抱きしめられましたがすぐにおろされました。


椅子に座ることなく、父らしき人がやってきて右目の布をとりました。

結果使用人たちが泡拭いて倒れ、父はおぞましそうな視線をむけて震える兄?のところに行って肩を抱いてました。



「お前の披露目は、慣例どおりに行われることになったが、その目については封印することに決まった。これは王の決定であり、そのため王都から魔術師団長が来てくださっている」


↑イマココ


ふむ。歓迎されていないのは分かっていたけどね、王家からも危険とされてましたか~。

王家は精霊が見えるんじゃなかったっけ?確か大精霊とかと契約とかしてたと思ったんだけど?


【この目は精霊の中でも人が持つには危険だって思われたんだろ。何に使われるかわからねえからな】

(あ~ね~‥‥。で、父たちの横に面倒そうな感じで立ってるのが魔術師団長かな?)

【だろうな。見かけよりも年は食ってそうだが…まあ、あいつじゃ封印無理だろ】


魔術師団長とかいう人物は、痩身というよりは細マッチョな感じでいろいろついてるローブを着てたよ。

顔?うーん、そういうの興味がないからわからないけど、整ってるんじゃないかな?うん。


【美形ってやつだろうな。この部屋にいるやつは全員この世界じゃ美形って言われるだろうよ】

(ふうん?僕そういうのよくわからないからさ~)

【僕の場合は興味がないだけだろ。俺たちの容姿については理解してるくせに】

(自分の危険につながるものは理解しておかないといけないでしょ?)

【まあな、命の危機だしな】



話し合ってたら、父が何か言ってたみたい。うん、今回は全く聞いてなかったよ。


「聞いているのか?おまえはその目を封印のち披露目を終えたら王城の魔術師塔預かりとなる」

「そこで、我々とともに生活していただくようになります」


あ、団長もしゃべってた。


ん~…これはモルモットコースかも?

どうかな?

【さてなあ~‥‥研究者のような嫌な視線はあいつからはしねえが、兵器扱いであればわからねえなあ~】

(ま、ともかく、ここからは出るってことでしょ。だったら今までよりはいろいろ情報はいるようになるかもね?)

【特にオレたちの力になりそうなことはそうかもな。で、右目どうする】

(封印できないことわかってるし、僕らでつぶしとく?あるとどうしても利用しようとするバカがでてくるでしょ)

【‥‥‥その思い切りの良さはどこから来るのか‥‥。いや、結果は分かってたけどな‥‥もう少しな~】

(オレはそういうところ結構うだうだするよね?どっちにしても目が再生するまで数年間は平和になるんだしいいんじゃない?)

【うだうだするだろうが、一応魔力の中枢の一つだぞ?目がつぶれたらしばらくタンクの力が落ちる】

(まあ、精霊たちもどうするかわからないっていうのはあるけど、目をつぶしたところで加護がどうなるかってとこだし、この目に手を出したらどうなるのかっていうのでいい指標になるんじゃない?)



おっとまた何か言ってたみたいだけど、周りの精霊たちに聞けばいっか。


「では、団長殿頼みます」

「はい、披露目までに封印を終わらせて、ご子息をお連れします」



・‥‥あ、ここで封印するんじゃなかったんだ。

でも、それはそれで面倒だな~。封印したってことにして力利用されるのは嫌だし。


(じゃ、実行!えい!)






うん、なかなかに凄惨な様子になったよ。

右目取るのめっちゃ痛かった。精霊たちは大号泣で部屋はあれるし、母親らしき人の悲鳴がひびくし、子どものなく声も響くし、血もめっちゃでたしね。


【簡単に言ってるが、かなりひどかったからな?あの団長はさすがに驚いてたが、凄惨さにびびるとかはなかったらしいから、すぐに回復魔法をつかってきてたが】

(目自体は僕らが精霊に預けたから、すぐになくなっちゃったし怪我の治癒だけだったから簡単だったよね?)


【‥‥‥僕はオレが傍にいたせいかちょっと意識ずれてんだよな‥‥。まあ、実際簡単だから良いが】


「‥‥‥君は…‥どうしてそんな力が使える?精霊の目を取り出すなんて馬鹿な真似を‥‥!一歩間違えれば死んでいたんだぞ!!?」



おおう?魔術師団長さんがとても悲痛な表情で訴えてきてますよ。力目的かと思ってたけど、心配されてる感じがする?


あ、精霊さんたちお掃除ありがとう。僕らの血って結構な力があるから放っておけないんだよね~。うん、すっかりきれいになったね。よかったよかった。


「エルヴィーアス!!!なんてことを!!‥‥‥いいえ、そうさせてしまったのは私たちね。ごめんなさい、エルヴィーアス‥‥。本当になんてことを‥‥」



ん?母親ですね。目の前で号泣されてます。

うん、困った。


【温度差!!外と内ですっげえ温度差があるから!!情緒面か!くそ、そればっかりは俺だけじゃ育てられなかった!!】

(何言ってるの、オレだってわかってるでしょ?この体は表情筋仕事してないんだもん)


【知ってるよ!!だから、オレが手使って今母親の頭撫でてんだろうが!!!】


(僕も子首傾げてるよ?)


【だから余計にひどいことになってんだろ!!なんで泣いてんのか理解できてないと思われてんだぞ!?】

(女の人の涙って堪えるよねえ。しかも、ちょっと正義感ありそうな団長が横から痛ましそうにみてくるとか!拷問かな?)

【・‥‥はあ…‥。まあ、ひどいことになってるのは仕方がないが、‥‥‥おっと?父が真っ青になって硬直してるぞ?】


(あ~‥‥あれはおいてていいんじゃない?とりあえず、意思疎通をどうやってはかるかだよねえ。僕らの声ってどうなってるんだっけ?)

【・‥‥会話は近々の課題だったが、声も試してなかったな】


なんというかこういうのをカオスっていうんだよね?

ほんとに混沌としてるんだけど、オレが撫でてた手をいつの間にか母が両手で包んでたよ。


右目は空っぽだから精霊たちが透明な魔石を突っ込んできたよ。うん、衝撃がすごかったけどちゃんと真ん丸だったから痛みはなかったよ。ただ、周りが阿鼻叫喚って感じでますますカオスなかんじになってたけどね。


で、しばらく右目の周りの状態とかを魔術師団長が真剣な顔して探ってたんだけど、異常はなかったってことでやっと僕椅子に座ることができました。


「公爵家について口を出すつもりはありませんが、この度の精霊の目については陛下に報告いたします。それから、ご子息はどうやら魔術に関してもずいぶんと素養が見られます。披露目後には先ほどの契約通りに塔へとお預かりしましょう。ここにいては、せっかくの才能も生かされないようですから」


魔術師団長はさっきまでと違って厳しい表情をして父に言ってたよ。

父は僕の顔を凝視して固まったままだったけどね。


「クェンツ様、どうか・・・・エルヴィーアスをよろしくお願いいたします」


母が決意の表情をして頭を下げてます。数人の執事も同時にお辞儀してる?あ、兄はかなり恐怖の表情だね。理解しがたいものを見るような感じだけど、ま、しかたないよね。

妹は相変わらずメイド?の腕の中で寝てるんだけど…誰よりもあの子が図太いと思うよほんと。だって、僕が部屋に入ってから一度も目を覚ましてないからね!大物だね!!


「では、私は一度城へ戻ります。披露目の日にはお迎えに参りますので準備をしておいてください」


クェンツって呼ばれていた団長はそれだけ言って一礼すると部屋から出ていったよ。

うん、僕はどうしようかな?



シンとした室内はなんだか居心地がいいものじゃなくて、椅子に座らされたままの僕もこまったようにしてたら・‥‥おや?目の前に兄が


「ばけもの!!お前なんかどっかいけ!!」


恐怖が臨界点突破しちゃったかんじかなあ~?涙ためまくって怒鳴ってくるんだけど、ぼくもオレもそれに対しては怖さは感じないよね。ただ、かなしいなあ~っておもうぐらいで。


と思ったら、母じゃなくて父にひっぱたかれましたよ兄


うん?ちょっとよくわからないけど、なんで父が?


「ばかものが!!お前の弟になんてことを!!」






キレた父がそういってますが、周りは完全ポカンですよ。

だって、あなたぼくらのことあんなに嫌ってたじゃない。



兄もぽかんとしてからほっぺたを抑えて大号泣


「うわ~~~~~~!!!!だって、痛いのに!いたっいっのに!!なんで、なんでええ…‥ひっく、泣かないんっく・・・・・もん~~~~~!!!」



ん?なんか僕らちょっと意思疎通が行き違ってるところがありそう???


痛いのに泣いてないからって‥‥‥化け物って‥‥



【とりあえず、頭撫でとくか?】

(オレ、もう撫でてるじゃない。僕らちょっとうがった見方しすぎてたかなあ?)

【情報は間違ってなかったと思うぞ?でも、それだけじゃなかったって感じだな。父も相変わらず、目のところ凝視してるし】


(ん~もう少し様子見!)


兄の言葉に父はそっと兄を抱きしめていましたが、オレはとりあえず頭を撫でました~。


身長的にきついので精霊たちが浮かばせてくれてだけど、周りにぎょっとされたけど。


兄は僕が手を伸ばした時にびくついたけど、頭を撫で始めたらぽかんとしてたよ。

父も固まってた。



母は目を丸くしてたけど、そのうちにうるませて笑ってたよ。

うん、美人さんは笑ってたほうがいいよね。




そんなわけで、室内の雰囲気もなんとなく和んできたところで、室外がざわついてるよ。精霊たちがいってたけど、傍流のめんどくさいのが来たんだって。



「兄上!あの忌み子はどうなりましたか!!精霊の目は高く売れそうですか?」



ドアがバーンって開いてそういってきたのは、父の弟?腹違いの弟だって。

で、僕が頭を撫でてるところをみて、何を思ったのか剣に手をかけてますね。


「忌子が!!汚らわしい手で兄上たちに触れるな!!!」



おお~すごい表情。自分の正義に酔っぱらってる感じ。


でも、そこで剣をふるうっていうのがその兄上に危害を加えることだとは頭が行かないのが残念すぎじゃない?すぐに、護衛に止められてるし、しまいには母にひっぱたかれてるし



「私の大事な息子に対してそのような言いよう!もう我慢なりません!すぐに出ていきなさい!二度と我が家へ入ってこないで!」


父が最後通牒をだすまえに母が言ってしまった感じですね。

父も憤慨した様子でうなずいてるし…‥って僕の扱いがよくわからなくなったよ。



あの迷惑な人はギャーギャー喚きながらうちの護衛さんに引き連れられていきました。


で、残ったのは父の深いため息


「エルヴィーアスよ、疲れただろう。今夜は自室で休むがいい」


父の声に床に足をつけて僕らはうなずいた。

別邸に戻っていいの?じゃ、行こうかな


「あなた!それでは、誤解しましてよ。エルヴィーアス、こちらにあるあなたのお部屋で休んでと言っているのよお父様は」


動き出した僕を止めるように傍にやってきたのは母で、腰をかがめて目を見ながらそう言ってくれたんだけど、思わず小首をかしげてしまったよ


こちらにあるあなたのお部屋‥‥‥?

ふむう?本邸にも僕の部屋があると?‥‥‥うーん、でも、僕らそこじゃ休まらないよね?


【無理だろ。今だって使用人におびえられてるんだぞ?部屋に戻って精霊たちがしたくし始めたらそれこそまたカオスだろ】

(うん。)


ということで、その部屋にはいかないってことで首を横に振ると、ドアに一直線。


僕が首を横に振ったことで、空気が凍ってしまった気がしたけど、仕方がないよね?


そこからはダイジェスト!


部屋を出てからは精霊が抱っこしてきたので、それに甘えて別邸まで一気。



思ってたよりも疲れてたみたいで、ベッドに入ってからはスコンっと寝入ってました。



僕らがあの部屋を出てどんなだったかとかも、次の日精霊からきいたけど、

今まで一緒にいなかったししょうがなくない?

父も母も兄もすごい落ち込んでたっていうんだけど、披露目が終わったら塔預かりなんだし、今更親子といわれてもねえ?


【親と思えるかって言ったら無理だよな。オレらを育ててくれたのは精霊たちだし】

(うん。外敵からも内敵からも守ってくれたのもそうだもんね。加護のせいで始まりはさんざんだったけど)


【まあ、以前よりは多少環境改善はできたってところでいいんじゃないか?】

(そうだね、というわけで明日は披露目衣装の採寸があるんだって)

【でも、オレたちのはもう、精霊が作ってんぞ?】

(うん。僕らもこれを着るつもりだからそんな悲しそうな顔しないでよ‥‥みんな)


精霊も色々だっていうのを知ったのはここに来てからだけど、よく考えてみれば、ドワーフとかも精霊だっけ?元ネタ。妖精だったきもしないでもないけど、まあ何でもありって感じだからそうだということで納得してるんだよね。


ということで、着るもの、食べるもの他いろいろなものに困ることはなかった僕たちです。



さて、執事と一緒に来る母になんて伝えますかね?



泣かれました。

でも、それ以外に着る気がないことも伝わったようで、普段着や王城へ行くときに必要なものはそろえると言って採寸はしていきました。


採寸って疲れるよね。あ、右目は透明な魔石がハマってるだけなので、眼帯をすることになりました。

シンプルなのでいいと思ってたら、精霊たちが張り切ってフリフリなものを作ってたので、さすがにそれは断りました。とんでもなくショックを受けてたけどあんなフリフリはつけたくないよ。


で、なんとかシンプルなものができました。龍のうろこに鞣した皮を張り付けて直接肌に当たらないようにしてあとはムレ防止とかなんとか保護とかいろいろなものを付けた眼帯になりました。


【これ、性能調べられたらやばいな】

(精霊たち張り切ってたからねえ‥‥)


僕らでもちょっと遠い目になっちゃたんだけど、精霊たちはまだ足りないとでも言いそうな感じで、眼帯の試作をくりかえしてました。職人魂すごい‥‥。




それからは、一応礼儀作法?の教師がわりに前にきた執事がやってきて教わったり、一般的な勉強をそこで初めて知ったり、兄が付いてきて兄に勉強で差があることに泣かれたりと過ぎていきました。


うん、以前より改善?されてるけど。

どうしよう?ぼくらあいかわらず声でないから、会話できないよ?


【挨拶の口上もこれじゃ意味ないな】

(といってもねえ、これ、たぶん仕方がないやつでしょ)

【あ~気づいてたか】

(気づくよ、あれだけ泣いてたのに全く音なかったんだから)



そう、僕らはうまれた時から声が出なかったんだよね。それもあって気味悪がられたんだけど。

涙は出てるのに、口は開けてるのに声が出てないって結構怖いよね?


ていっても、たぶん僕もオレも原因はわかってる。

精霊の加護ってやつと僕とオレがいるってこと


じゃあ、どうするかってことだけど、このままだと本気で意思の疎通が筆記になるね。

執事はそれでもいいって言ってたけど。


なんか依り代作ったら代わりにしゃべってくれないかね?


【下手にそういうのやると後々面倒もあるだろ?】

(確かに。じゃあそれは家をでたあとでね)



とかとかいろいろしてたら、お披露目の日ってやつです。




さすがに公爵といわれるだけあって迎賓館ってところまであったよ。

で、すごい数のひとがきてます。


【さすがに今世でこれだけの人間に会ったことがないから気持ち悪いな】

(緊張するじゃなくて、気持ち悪いっていうところがオレだよね。ま、僕もだけど)

【だろ?値踏みでしか人を見れねえ奴の多いこと。さすがに高位貴族にはそこまでいないが中流クラスが半分以上そういう感じだな】

(品評会みたいなかんじだし、仕方ないんじゃない?高位貴族たちの数人は僕らの目のこともしってるだろうし)



さて僕らが観察しているのは良しとして、お披露目は親族だけじゃなくて友好貴族も招いての会なんだって。友好といっても仕事上とかその仕事上の関係の貴族の親族がのっかってきてたりとかするから、来客チェックで有害とされた人たちは僕らの席からは遠くのところへと配置されてるみたい。


挨拶に来るときも一定以上は入れなかったりね。

そういえばあの父の弟だけど、有害筆頭ということで親族なのに有害席に座らされてるよ。

ざまあとは言わないけど、思わず哀れだなと思うよね。




会もはじまり、僕もごあいさつです。ちなみに精霊の加護でしゃべれないというのはたまに神殿関係ではいるらしく、貴族にもしられていることだったみたい。一応証明のためなのか神殿からも加護持ちの人が来てくれてるみたい。精霊がチラチラと気にしてるのがわかる。

というわけで、父が代わりに挨拶をしたんだけど、抱っこからおろしてもらえません。


【この期に及んで親ばかをだしてくるとか、こいつどうなん?】

(口がわるいよ、オレ。でも、僕も同意。今更感だよね~。まあ、最後と思ってきにしないけどそれよりご飯食べたいね。ぼくら、人が作ったのって食べたことないよ)

【そういやそうだな?いろいろ甘味もあるみたいだしそれ楽しみにするか?】


(うん、精霊たちも僕らの分に何か入ってないかとか見てくれてるし、怪しい奴は森に捨てたって言ってたし)

【そういや言ってたな。馬鹿だよな~仮にも公爵家なのに、忍び込んで毒入れようとか】

(有害と思ったら即はじかれてたから執事が衛兵に捕らえさせられたりしてたし)



そうそう、結構忍び込むのも多くて僕らの精霊セコムがよく働いてくれたよね。ほんと馬鹿が多くて困るね


で、主催者挨拶が終わったので、今度はお祝いの言葉とかで僕らの前に挨拶にき始めました。

これはとんでもなく面倒くさいぞ?



てわけで、ダイジェスト。

親交が深いところからそうでないところまで挨拶と共にお祝いの言葉をもらいました。ぼくは目礼でお礼しました。中には僕に悪意をぶつけてくるおバカさんもいましたが、じっと見つめると固まっていたので有害判定されていました。

で、終わったところでようやく会食。


お子様椅子に座って目の前に出された食事に目を輝かせます←イマココ


「エルヴィーアスが喜ぶかといろいろな料理をそろえてみたの」


母が給仕をさせながらこちらをみてますね。でも、それより早く食べたい

あ~っと口を開けると、執事より先に精霊が普段食べている量を口に運んでくれました。

一瞬周りは騒然としていましたが、神殿関係者からは、そこまで精霊に愛されておいでなんですねとかなんとかいって感心してたよ。


もぐもぐ

ふむ。なかなかなお手前で、でも一個でいいかな。

さて、次はあのお野菜


完全に僕は食事に集中してしまってたんだけど、周りは食べる量の少なさにびっくりしてたらしいよ。

でも、必要な栄養はいろいろ取ってたから大丈夫だよ。



そして、会も終わったところで団長さんがやってきました。

今回は正装してるらしくかなり立派なローブを着てたよ。語彙力というか表現力はないから、説明できないけどね。


「では、エルヴィーアス様を塔にてお預かりいたします。面会などのことについては次は嫡子様が学園に入学されるときということでしたね。お手紙などであれば、塔に直接送ってくださればお届けします」


父も母もとっても沈痛という表情してますが‥‥仕方なくない?だって契約はしてたんでしょ?

横に立ってる兄はとってもショックを受けてる感じだけど、5年後って割とすぐだと思うんだけどね

あ、兄はぼくより3つ年上だから11歳で学園に入学するんだよ。


確か、王都にある全寮制の学園だって言ってた。


ということで、クェンツ団長に抱っこされました。

その後ろにも何人かローブ姿の人がいたけど見てなかった…。うっかり


【興味がないものは別にいいだろ】

(視線だけは感じてたんだけど、害ナシってとこで興味わかなったもんね)


【それよりも、家の連中が悲嘆にくれてるのがな~。都合よすぎとか思っちゃいけねえんだろうが…】

(うん~…。なんともねえ。だって結局さ、原因は公爵家を乗っ取ろうとかしてたバカ弟が原因だったわけでしょ?まさか父の目に暗示がかけられてたなんて思わなかったよ~、父もうっかりすぎない?弟だからってそういうアイテムをホイホイ使っちゃダメでしょうに)



まあ、使用人は相変わらずなのはいるけど、基本的には仕事するみたいだから温情をかけられてるみたい?



そういうことを考えている間に、公爵家玄関です。

父が団長にくれぐれもと頭を下げてます。それには団長もびっくりしたようで、目を一度見開いてからしっかりと返事してたよ。


ん~‥‥父は公爵で城でも要職もちらしいので簡単に頭を下げたりしないのかな?団長の後ろにいた人たちからも驚愕っという感じが流れてきたよ。じっとそっちを見てみれば、はっとしたあと手を振られたけど…。チャラい…‥。


すっと顔をそらせばなにやらショックを受けた感じがしますが、気にしない。


最後のご挨拶ということで、一度団長におろしてもらってからぺこりと一礼しました。

そこに抱き着いてきたのは兄でしたが、支え切らずに倒れそうになるところを団長が支えてくれました。


「エルーー!!!早く私も大きくなって迎えにいくからな!絶対に強くなるからな!」


‥‥?迎えに来るとはなんぞや?


抱き着かれたまま小首をかしげていれば、団長が噴出し僕の頭を撫でました


「兄君は、エルヴィーアス様がとても大切なんですね」

「そうです!私はエルが大事なので、早く家に戻ってこれるようにたくさん勉強します!だから、エルも待ってて」


【待っててもなにもなあ~‥。この兄はちょっとばかしあほだよな】

(あほというか…まあ、おバカだよねえ~。ま、お別れだから頭なでとこうか?)


そんなわけで、もう何度目かの頭なでなでを兄にしてからお別れしたよ。


馬車に団長に抱えられたまま入ると外から何か声が聞こえたけど、ドアもすぐにしまったからよくわからなかったし。

あ、別邸は精霊たちがいろいろ結界やなんやで囲っちゃったらしく、僕らが帰るまでは封印されてるんだって。精霊たちってば僕らのこと好きすぎだよね


僕らも好きだけど。






という感じで、僕らは王都に行くことになったんだよね。

さて、塔はどんな感じかなあ~。

いろいろ知りたいことしれるといいなあ~。





これからが肝心なところ!!


という感じですが、続きがどうなるかは作者にもわかりません…

ある日ふっと降りてきたらかけるかなあ~。

待っていて下さる方がいれば、また書ければいいなと思います。

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