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タイムカプセル・パラドックス  作者: 宇佐見仇
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第九十五幕《自戒》

 第九十五幕《自戒》            八月十四日 七時十八分     


「……おはよう」


「おや。久しぶりキナちゃん。十日ぶりかな、こうして顔を合わせるのは」


「うん。たぶん、そのくらい」


「朝食食べる? 目玉焼きとウインナー」


「食べる」


「ん。焼くからちょっと待ってて」


「うん」


「…………」


「…………」


「……今日出てきたのは、どんな風の吹き回しだい? 引き篭もりは今日で終了?」

「そうなるかな。そろそろぼっち飯にも飽きてきたし。これ以上考えても結論は出ないと分かったし。……ああ、久々に喋ると喉が痛い」


「十日も喋ってなければね。ご愁傷様。……ふむ。機嫌が直っていればでいいんだけど、試しにどうしていきなり引き篭もったのか、理由を教えてくれないか? いきなりのこと過ぎて、正気、置いてかれてしまったんだが」


「聞いてどうするの? 今後の反省材料にする?」


「いや、単なる好奇心。反省する予定はないね」


「そう。だと思った。お父さんって乙女心が分からない唐変木どころか、他人に関心がない社会不適合者だったんだね。どおりで友達が皆無なわけだ」


「いつもなら反論するところだが、今日は甘んじて認めよう。はい、目玉焼き焼けたよ。キナちゃんはケチャップ派だったよね」


「ん。さんくー」


「マイプレジャー」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


「……お父さんのせいじゃないよ。お父さんのことは理解できないと思ったけど、そういう人だってことは前から知っていた。私が引き篭もったのは、ただの、私の自業自得。お父さんには迷惑を掛けて悪かったと思ってる。本当にごめんなさい」


「へえ? 自業自得って、どういうことだい?」


「私は、お父さんを狂わせようと思ったんだ」


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