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タイムカプセル・パラドックス  作者: 宇佐見仇
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第八十七幕《捜索》

 第八十七幕《捜索》



「これは思いつきだけどさ、お父さんが興信所に就職して、一度クビになっても同じ仕事に就いたのって、行方不明になったお母さんを探すためじゃないの?」


「…………」


「十六年前に警察じゃ見つけられなかったから、自分で探し出そうって探偵になって、だけど興信所の力を使って探しても見つけられなくて、そんなときに会社をクビになって望みを絶たれてしまい、藁にでもすがる思いで、タイムカプセルの場所に行った」


「…………」


「そこで見つけたのが何の因果か、彼女の忘れ形見である私で、一縷の望みを掴んだと思ったけど、これまで上手く行かなかった反動から疑念を強く持った。とりあえず結論を保留にして、彼女に繋がる鍵である私を引き取ることにした。そんなところかな?」


「…………」


「お父さんって、図星を突かれると押し黙るよね。分かりやすいわ」


「……そうだね。僕の悪い癖だ。ポーカーフェイスもこれじゃ意味がない。キナちゃんの推察だけど、おおむねその通りだよ。正解だ。いくつか補足をするなら、僕が前の会社をクビになったのは、彼女を見つけ出せない焦りが仕事にも出てしまって、そこから僕の本心が上司にバレたからなんだ。そうしたら、もっと大きなところに行った方が良いと、今の会社を紹介されてね。クビになったってのは建前で、実際は転勤みたいなものだったんだよ。それと、君を引き取った理由だけど、これは別にキナちゃんにヒントがあると期待したわけじゃなくて、一緒に彼女を探す仲間が欲しかったから、だろうね」


「だろうねって、何だか他人事だし。しかしまあ、仲間ねえ。そんな素振りちっとも見えなかったけど。逆に、お母さんの話題は避けていた風だったよね」


「この仕事を秘密にしたせいで、その辺りも言い出しにくくなっちゃって」


「左様で。それで、どうなの捜索の方は? 最近進展はあった?」


「生憎、君との遭遇以上の進展はないよ。己の力不足を嘆きたくなる」


「まだまだこれからだよ、とは簡単に言えないね。もう十年以上探しているんだもん。お母さん失踪の直後からだったら、十六年か。私の人生より長い年月だ。当たり前だけど」


「それは当たり前だね。さ、話せることは全部話したよ。この話はお終いお終い。もう遅いんだからキナちゃんも早く寝なさい。明日寝坊しちゃうよ」


「大丈夫。もう夏休みに入ったから、遅刻の心配はなし。と、そうだった。盆休みってある? 海か山に連れていって欲しいなあ、みたいな」


「ん。いいよ。どっちも日頃から仕事でよく行ってるし慣れたもんだ」


「どうして日頃から行っているのか、あまり立ち入りたくない話だね!」


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