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タイムカプセル・パラドックス  作者: 宇佐見仇
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第四十五幕《企画》

 第四十五幕《企画》



「ちなみにお父さん、文化祭来てくれる? ってか絶対来てね!」


「その日に休みが取れるよう善処するよ。キナちゃんは文化祭でやりたいことあるの?」


「あるよ。とりあえず、射的と金魚すくいは外せないよね」


「それは夏祭りじゃない? 文化祭じゃ見ないな、その二つ」


「それでですね、話は少し変わりまずが、私は常々思うわけですよ。お化け屋敷や喫茶店、カキ氷、唐揚げ、焼きそば。もう、こういうのはつまらない。テンプレ感丸出し。もっとオリジナルティが欲しいんですよ。オッリジナァールティーが」


「気持ちは分からなくもないけど、それが難しいんでしょ。まあ、喫茶店とお化け屋敷は頭ひねっているんじゃないのかな。もっと既存の枠に嵌まるなってこと?」


「そう。です。目指せ新境地! なのです」


「キナちゃんには、オリジナルのアイデアがあるのかい?」


「よくぞ聞いてくれました! ここでお父さんに発表しても仕方ないけど、聞いてください。私が提案したいのは、クラスが一丸となって観客を感動させる、クラス合唱!」


「ボツ。地味。センスなし。他の案を提出してください」


「即断! 容赦ない酷評! くう、次だ! THE・体育館お化け屋敷!」


「規模をでかくすれば面白くなるという安易さ。発想の大胆さは評価できるけど、多くの理由から実現不可であることは想像が付く。他には?」


「辛口リアリストめ! だが私の切り札はまだだ! 染物体験Tシャツ作り!」


「おっ、いいんじゃない? 珍しいし。まあ、オリジナルではないけど」


「……ブー! 何だよ、さっきから難癖付けやがってからに! だったら手前が考えてみろってんだ、べらんめい!」


「怒り過ぎて、口調が江戸っ子になっちゃっているよ。難癖を付けているつもりではなかったんだけどね。そう感じたのなら謝ろう。これは、つまんない大人の意見だと感じるかもしれないけどね。オリジナルを求めすぎても独り善がりになっちゃうだけだから、無難なもので妥協するのも青春だと僕は思うよ」


「うーん、苦言だにゃあ。あたいも分かっちゃいるんだけどねえ」


「そういえば、さっき挙げていた中に演劇はなかったね。劇はどうなん? 典型的といえば典型的だけど、インパクトは強いんじゃないのかな」


「あー、劇は完全忘れてた。劇かー。劇なー。劇をー? んんー?」


「妙に渋るじゃない。劇は嫌かい?」


「嫌じゃない。うん、劇を提案してみようかな。もちろんオリジナル劇で!」


「いやあ……。オリジナル劇こそ、独り善がりの典型例な気が……」


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