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タイムカプセル・パラドックス  作者: 宇佐見仇
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第二十幕《鑑賞》

 第二十幕《鑑賞》                



娘「ごちそーさまでした、と。さあて、お父さん。これからどうする? 午後は。もう私の買い物も終わったし帰っちゃう? まだ一時だけど」


「買い物は僕もいいけど、せっかくだから、今度はこっちに付き合ってくれない?」


娘「え? いいよいいよ。何?」


「うん、映画。ちょうど見たいのが公開していたから」


娘「おおー。なるほど、映画ね。映画館もくっ付いていたね、ここって。映画館で見るのは久しぶりかな。いつもはレンタルか、TVのロードショーで見るから」


「僕もほとんど来ないよ。だけどたまに、無性に映画を観たくなるときがあってね。適当に五本レンタルして一日の内に消化したり、映画館に一日中いたり」


娘「ほほー、贅沢な見方だねー。今日見るのはどんななの?」


「近未来アクションアニメの金字塔。今年にハリウッド化した奴」


娘「ああー、あれね。私もあの作品はちょっと気になっていた。アニメとか見たことないけど。……ん? あれって四月公開じゃなかったっけ? まだやっていないでしょ?」


「ハリウッドのはまだやっていない。今日見るのは、最初に作られた劇場版の再公開だよ。DVDで見たから内容は知っているんだけど、映画館だと迫力が違うんだろうな」


娘「……お父さんって結構、凝り性っていうか、ちょっぴりオタク気質?」


「いやいや、一度は見ておくべきだぞあの作品は。どうしてあの頃の僕は、これをリアルタイムで見に行かなかったんだ、ってずっと悔しくてね。いやあ、今日はラッキーだ」


娘「はあ、左様で……。むむう、変なスイッチ押しちゃったかな?」


「にしても、二十年前に作られた作品がいまだに続いているってのは、すごい話だよな。アニメーターもファンも、己の半生をその作品に掛けてるわけじゃない」


娘「すごいけど、ずっと同じもの見ていて飽きないのかな? そういうのって」 


「え? 飽きないよ。どれも斬新で面白いし、やっぱ世界観がすごいもの」


娘「んー……。いや、名作っていうのは分かるんだけど、何かさ、古臭いものにずっと縋っているみたいで、他に見るものないの? みたいな。結局、過去ばかり過大評価していて、今を見てないってイメージがあるんだよねー」


「辛口な意見だね……。まあ、君の言いたいことも分かるよ。過去作のリメイクばかりで、新しい芽が育ちにくい現状はある。でもそれとは別の話で、名作の素晴らしさは確かなものなんだよ。本物は初心者が見ても、ちゃんとすごさが伝わってくる。まあつまり、古いからってあんまり肩肘張らないで、一度自分の目で確かめてみたらってこと」


娘「ふうん。まあ、お父さんの奢りなら付き合ってあげてもいいけどー?」


「渋々感がすごいな……。まあ、奢るけど」


次話の更新は5時です。

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