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タイムカプセル・パラドックス  作者: 宇佐見仇
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第十九幕《飢餓》

 第十九幕《飢餓》                


娘「あ、もうお昼回っているじゃん。お父さん、お昼はどうする?」


「僕はいいよ。キナちゃん、何か食べたいものあるの? 確か、フードコートが隣にあって、パスタのレストランと回転寿司が一階フロアにあったね」


娘「じゃあパスタにしよっかな。……ん? 『僕はいいよ』って何それ?」


「お腹減ってないし、食べなくていいってこと。僕、一日二食なんだよ」


娘「はあ? 何それ。やっだ、何その冗談。かっこつけのスタイル?」


「いや、普通に生活スタイル。朝と夜だけ食べる。間食は目を瞑る」


娘「……へえ。マジで一日二食なの? 貧乏学生でも一日三食摂っているご時勢に、何なのその悟りっぷり。マジで仏教徒ですか? 逆に舐めているの?」


「逆にの意味が分からないし、舐めてないし、仏教徒でもないけど。体質って言えば簡単だけど、一日二食でも人間生きていけるよ。たまに一食だけの日もある」


娘「それは、えーと、仕事が忙しすぎてとか?」


「いいや、休日。一人でいて、時間を忘れて、気付いたら夕方だったって感じ」


娘「ガチじゃん! ガチで悟り開きに来ているじゃん! うわキモ! えええー、一日二食って修行とダイエット以外でする人いるんだー。ドMじゃないですか」


「お腹が空いたときに食べる。これが生物的に普通のことだと思うけどね。普通の人が一日三食食べているのは、小さい頃からの習慣だからだよ。何となくそうしなきゃ、と思って、お腹も空いていないのに何となくお腹が空いていると思い込んで、食べているだけ。生活習慣を変えれば身体も順応してくるもんだよ」


娘「いやいやいや。習慣を変えるっていうハードル高いって。普通じゃないってば」


「別に勧誘したいわけじゃないから。君は好きなように食べればいいって。僕はそれを見ているから。お腹も空いていないのに、お昼に時間もお金も使うなんて勿体ないなと思いながら、君が惰性で食事を摂って脂肪を蓄えていく様を、僕は見ているから」


娘「嫌味っぽい! この父親、乙女に向かって、何て恐ろしいことを……!」


「それで、えーと、パスタだっけ? あの炭水化物と脂肪分の塊で、野菜のビタミン成分は熱調理で吹き飛ばしている上に、結局ペッパーソースで味を誤魔化す料理」


娘「お父さんはパスタに恨みでもあるのか! 悪意しか感じない!」


「いや、パスタは好きだよ。自分でもよく作る。タバスコとオリーブオイル超好き」


娘「どの口が言うか……。あー、お父さんを待たせるのも何だから、フードコートでちゃちゃっと食べることにしたよ。麺系はきっとあるよね」


「そうかい? 何だか悪いね、気を遣わせちゃったみたいで」


娘「あ、うん。お父さんがちっとも悪いと思っていないのは分かります」


次話の更新は6/16の4時(朝)です。

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