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タイムカプセル・パラドックス  作者: 宇佐見仇
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第一幕《穴底》

 第一幕《穴底》                 三月二十四日 二十二時四十五分


?「そう……」


「……そうって、何が?」


?「納得したの。あなたが『そう』なんだって」


「よく分からないんだけど……、えっと何が『そう』だって?」


?「だからね? あなたが、私のお父さんなんだなってこと」


「はあ……。つまり?」


?「つまり、私はあなたの娘だから、私を引き取ってちょうだいってこと」


「娘……? 僕の? ええと……、ちょっと待って。どういうこと?」


娘?「これだけ言ってもまだ分からないの? これだけ執拗に言ってあげているのに理解できないってい

うの? それともとぼけている? なぜ現実から目を背けるの? 卑怯者」


「いや、待って。待って待って。いいから待て。ステイ」


娘?「イエス。私ステイ」


「うん、ありがと。ちょっと考えさせてくれ」


娘?「考えさせてって……、はあ? 何それ? はあ? 考えるって、私を引き取るかどうかを考えるってこと? ええっ? 父親なのに娘と一緒に暮らしたくないの? 娘がそれを言うならともかく、父親がそれを言っちゃう? 新しいタイプ……」


「話をどんどん進めないで。頼むから置いていかないで。全然待ってくれないじゃないか。だからさ、君の言葉はしっかりと理解したよ。ええと、つまり君が言うには、君は僕の娘で、僕は君の父親だとか」


娘「そう」


「それで、娘ってことを認知して、自分を引き取れと要求している」


娘「そう。何だ、ちゃんと私の話聞いてたじゃん」


「いやあ、けどさ。娘だって君は言うけど。でもね……」


娘「あら……? そんなわけがないって顔をしているね」


「ああ、そんなわけがない。絶対に」


娘?「絶対とまで断言されると傷付くのだけど。私が信じられないの?」


「いやもう、まったく。君の言っていることも、君の今いる場所も信じられない」


娘「私がいるのは、お父さんの目の前なんだけど。現実逃避はやめて!」


「したい気分だけど、君の実在は認めるよ。とりあえず、そこから出てきたら」


娘「そうね。高低差があったままじゃ話しにくいし。このタイムカプセル、深くに埋めすぎじゃない? 石とかちょーゴツゴツしてんですけど」


「何で君、掘った穴の底で寝ているんだい?」


次回の更新は6/11の13時です

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