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お金ってどの世界でも大事だね

しばらく馬車に揺れる。日本と違って道路も小石が混ざるそこそこ整備された道なため、これは仕方ない。幸い車酔いもせず、小窓から見える草原に目を凝らした。


「何もないですね。メトナスまではずっと草原続きなんですか? もしかして野宿とか」

「いや、この先に国境の関所がある。その近くにトトリ町があるから、今日はそこで宿を取ることになるだろうな。草原は続くが、そっちを見てみろ」

「うわっ、断崖絶壁」

「林を抜けるとその先は魔王領との境目、バル山がある。まるで壁だろ。魔王が侵入を拒む為に龍に命じて削らせたなんて逸話がある」


確かに言われてみれば所々の削れ具合がまばらだ。でもまさか、龍が手作業でこの断崖を作ったとは思えない。


「わぁー、工程も規模も流石異世界」

「ん? いせかい?」

「いやいやいや、ブッとんだ内容にビックリしたってことですよ。あははは」


異世界から来た勇者がどれほどいるのかわからないけど、むやみに知られたら変な事に巻き込まれそうだ。


「真夏さん、異世界はタブーです。ここでは秘密ですよ、秘密」

「ごめんごめん。つい声に出ちゃった」


ついじゃないよ、ついじゃ。こっちはフォローも上手くできるかわかんないしで冷や冷やもんだよよ。


「ところで宿に泊まる事になると思うが、お兄さん達、金はあるのか? 」

「あぁ、それならここに」

「って、現物出しちゃダメだろ。俺達はしないが盗まれたらどうする。口頭で言ってくれればいいんだよ」


いけない。ついつい、日本にいたノリで出してしまった。ここは異世界。あっちの常識はこっちの非常識かもしれないから、慎重にならないと。


「はぁ、俺はアンタが心配だ」

「いやいやいや、すみません」


「それ、銀貨っすか? だとしたら、新婚旅行にしても手持ちなさすぎっすよ」

「おい、ペナン。人に指をささない。余計な推測をするな」

「ああ、俺は気にしないタチなんで大丈夫ですよ。それにこれには金貨と銀貨が入っているので手持ちは充分かと」


手切れ金は俺と真夏さんがそれぞれ金貨10枚ずつ、太陽くんはお金がかかるからなのか、なぜか1人で金貨20枚入っていた。これには2人で驚いた。話し合いの結果、太陽くんにかかる費用、主におむつ代わりの布切れ代は20枚入りの袋から出す事に決まった。


しかし、一市民が使うお金が金貨、銀貨、銅貨が主な事はわかったけど、価値としてはどれほどなのかよく理解していない。


「あの〜、この金貨と銀貨と銅貨ってそれぞれでどれほどの差があるのですか? 」

「なんだ、そんな事も知らないのか」

「なにぶん、この硬貨自体初めてなもんで」


どんだけ田舎から来たんだよと呆れられた。いやーお手数かけます。田舎というよりは最先端な科学技術に溢れる地球の日本からですと心の中で説明する。


「いいか、金貨1枚が銀貨100枚の価値。銀貨1枚が銅貨100枚の価値だ。金貨50枚あれば質素な一軒家が建てれる。ちなみに銀貨50枚あれば1ヶ月は暮らせる」


なるほど、つまり金貨1枚は日本円にしておよそ10万円で、銀貨は千円、銅貨は10円になるわけだ。となると、かなりの額を頂いた事になるびっくり。まぁ、命に比べれば安いものか。


「だから、金貨を持っている場合は特に気をつけろ。命が狙われてもおかしくない」

「勉強になりました」


せっかく真夏さんが頼ってくれたのに、いきなり俺が死んだら申し訳ない。おつりで銀貨も銅貨も沢山ある。買い物はなるべく金貨を避けよう。


袋も、金貨は別にして、銀貨と銅貨で混ぜておこう。


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