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白澤百合姫の転生日記  作者: トキムネ
家族との日々
27/38

ダンジョンの案内人?

彼らは私の前にぞろぞろと集まり,私を見つめてきた.特に敵意は感じない.

そぉっと一匹を人差し指でついてみた.それに怒ったのか,その1匹に突き返された.するとまたも続いて他の連中も突いてきた.痛い痛い.なんなんだとばかりに立ち上がると,彼らは突くのをやめ視線を上げる.


私は衣類を乾かすことを断念し,荷物をまとめ少し離れた岸へ向かった.しかし,彼らも私の後についてくる.私が振り向くと立ち止まり,また進むと付いてくるという行動を繰り返した.

モンスターの心が読めない私は彼らの方を向いた.


『何なんだよ!』


モンスターに対して意味がないはずなのに人間の言葉で問いただしてしまった.しかし,これが全く無意味というわけではなかったらしく.彼らは飛ばない翼を振り,私に何かを伝えようとしていることが見て取れる.


『えーっと.もしかして人の言葉がわかるのか?』


(一同が頷く.)


このペンギンもどきは,かなり知的な生物であるということがわかった.私は地面に○と×を描き,「はい」であれば○を「いいえ」なら×を示すように伝えた.


ここで私は考えた.この状況をうまく使うと,このダンジョンを攻略するための糸口になりえるのではないかと.非常にありがたい情報源になり得る.この気を逃さまいと,様々な質問をしてみることにした.まずは最も重要な食糧の話だ.


『この湖に魚はいるか?』


(くちばしで○指す)


最低限の食べる物の確保はできそうだ.後,生きるのに最も重要な真水は目の前にあるし,簡単にろ過した後に煮沸して飲めば問題はあるまい.これで死に直結しうる水と食べ物の心配はない.


次はダンジョンのことについて質問しようと思った.特に気になるのは,このダンジョンには何階層で構成されているのか,である.しかし,何階層あるのかは○と×では到底表現できない.そこで,私はペンギンもどきたちに別の方法を教えることにした.その方法とは至極単純で,地面に0~9の数字を書き,それを指してもらうというものだ.この方法を彼らに教えるといとも数分の内に習得してしまった.このまま彼らにものを教えていくと最終的には簡単な買い物くらいはできそうなものである.早速質問をしてみた.


『このダンジョンはどのくらい深いのか?」


(くちばしを4から6をなぞり,首を傾げた.)


そう,恐らく彼ら自身もこのダンジョンの深さを知らないのである.


『ここは何階層に当たるんだ?』


(くちばしを2から3をなぞる.)


『ありがとう.大体ダンジョンの状況は把握できた.』


私は感謝を述べると,服の乾き具合をみた.まだまだ湿っている.私は最悪の形でダンジョンデビューをしてしまった.できることであれば乾いた状態でダンジョンに潜りたかったが...


『はぁ.』


今日はため息の多い日らしい.再度,変えることのできない過去を振り返り,不満を募らせる.人は,無駄だと思っていてもどうしても心のつっかえに思いを巡らせてしまう.これは,人間の性なのだろう.揺らぐ火を瞳に映しながら,物思いにふける.ふと,彼らの方を振り向くとまだ私の近くにいる.


「カァ」


彼らが私の方を見て鳴いた.


『どうした?』


「カァ」


もう一度鳴くと彼らは水へと入っていった.しかし,途中まで入りはしたものの,こちらを振り返っている.


「カァ」


彼らは再度鳴いた.もしかすると私について来いといっているのではないかと思った.これは再度入水になるパターンか...私はいまだに濡れている肌着のままであるが,これを乾かして全裸で泳ぐことには流石に抵抗がある.なので肌着は着用したまま入水するほかない. 再び湖から上がってきたら下着を乾かし,ノーパンで寝ることになるが致し方がない.


私は,彼らに誘われるがままに冷たい湖の中に入っていった.私が入るや否や彼らは急に潜り始めた.水面から顔を上にあげて,空気を目いっぱい吸い込み潜る.


彼らは水中を飛ぶように移動し,私の周りを何周かした後により深く潜り始めた.底を見ようとするが,はっきりとは見えない.やはりかなり深いのだろうか.私も追いかけるように潜水し,彼らが待つ場所へと泳いだ.


泳いだ先には,最初に私が,落とされた穴と同等かそれ以上の大きな穴が開いており,そこへ入っていく.その穴は水平につながっているのではなく,斜め下に向かって続いているようだった.このようなルートが至る所にあるとしたら,このダンジョンの各フロアには画定線がないも同然に思えてしまう.


穴を抜けると,水面は先ほどよりも暗い.そろそろ息が続かなくなってきたのもあり,上へあがり水から顔を出す.それと同時にフロア一帯を見渡す.ここには陸地はなく,完全な水溜まりのようになっている.しかし,水は死んでおらず先程のフロアでは感じなかった生命の気配を多数感じる.顔を上に向ける.壁の上をよく見ると穴が何個か空いている.水は冷たく,万が一駆け出し冒険者などが落ちたら助かる見込みは少ないだろう.これはまさに自然のトラップである.

一匹が私に近づいてきて,水面から顔を出す.


「カァ」


一鳴きすると,また潜り始めた.この状況では着いていくしかなく,水中に身を戻した.より潜っていくと,先ほどと同様の大きさの水中洞窟があった.そこを通り抜ける.すると,水面にうっすらとした光が見えてきた.ペンギンもどきの先頭が陸地へと上がっていく.いつのまにか私の周りにも集まっており,彼らと一緒に岸へと上がっていった.

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