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白澤百合姫の転生日記  作者: トキムネ
家族との日々
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転生者の産声

我々が住む世界とは異なる世界において,少し奇妙な伝承が存在している.

かつて戦争で無敗を誇っていた大国が,たった一人の子供によって一晩で壊滅されたのである.

その子供には10の人格があったとされ,それ故か後世には“10人の悪魔”といった物語で語り継がれている….



とある戦線から小隊の生き残りが,夕日を背に故郷へ帰還するため小型輸送機へ乗り込む.輸送機はエンジンをふかし,地面から飛びたとうとしている.座席に腰を掛け,きっちりと安全ベルトを締め私は口を開いた.


「みんなよくやってくれた.」


この短いねぎらいの言葉に,部下たちはみな涙をこらえているようだった.そこから会話はなくエンジンの音だけが彼らの沈黙を埋めた.

時間が経ち,輸送機の目の前に積乱雲が現れた.操縦士はその雲を避けるルートを選んだ.しかし突然,耳をつんざく警告音が鳴り響き,兵士たちは真っ赤なランプに照らされた.機体の右翼側から腹に響くような轟音が伝わってきた.輸送機はそのまま積乱雲に突っ込んでいき,私の意識は急激に下がる高度と共に薄れていった.

意識を取り戻し眼を開けようとするが,すぐには光の明るさには適応できず,ぼやっと周りが見えてくる.視界がはっきりしてきた.私は目の前の光景に絶句した.

自身をのぞき込む若い男と女,彼らも言葉を無くしているようだ.この摩訶不思議な光景が何なのか尋ねるために口を開いた.


「あう」


目覚めてから初めて発したため,のどが不調なのだろう.もう一度.


「あう」


なんとなく状況を察し,短い手で頭を抱えた.一方で自身の父親風の男はなぜか声を荒げ,赤子一人と母親風の女を残し部屋を出ていった.


 それから数日たった,私は自身の置かれている状況を三つ把握した.

それは私が転生してしまったこと, 自身がリリアという名の赤ん坊であることと前世の記憶があることだった.


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