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マコさん

「花音さん?はじめまして。マコです。」

マコさんがそう言ってペコリと頭を下げたので私もあわててお辞儀をした。

桃子の友人はマコさんといった。ぽっちゃりした顔立ちにふんわりとしたウェーブがかかった長い髪の、かわいらしい女性ひとだった。霊感のある彼女が、これから何を教えてくれるのだろう?

「とりあえず、中に入りましょうか。」

緊張している私を促すようにしてカラオケボックスのフロントに向かう。

「予約していたマコです。」

フロントでは、マコさんの後ろで顔をあまり見せなくて良いように、私を隠すようにしていてくれるのがわかった。優しい女性ひとだな。

「コーヒーでいい?」

部屋に入るとすぐにマコさんがドリンクバーにドリンクを取りに行ってくれた。私が人目につかないようにここでも気を遣ってくれている。

コーヒーを手に戻って来たマコさんはソファーに座ると早速言った。

「電話で少し聞いたけど、顔を見せてくれる?」

そっと帽子を取ると、マコさんは顔を覗きこんだ。

「なるほどね。蛇だわ。」

「え?蛇?」

「あ。落ち着いて。まず、花音さんの前世から話すわね。キラキラしたかんざしをしているのね。キレイな赤い着物を着ているわ。江戸時代あたりのお姫様だったみたいね。」

夢に出てきた私に似ているわね。

「何度かその姿をしている夢を見ました。」

そしてマコさんは息を吸い込んでから続けた。

「あなたの背後に、すごく光沢のある蛇が二匹いる。濃い紫色の蛇はするどい目つきであなたを睨んでいる。淡い緑色の蛇は穏やかな目で肩に乗っているわ。たぶん“銀のじゃ”っていう妖怪。銀のヘビと書いて銀のじゃと読むの。」

「この前、夢で紫色の着物の女性に嫁になるならばナントカっていわれた夢を見ました。」

話しているうちに鳥肌が立つ。夢とは思えないほど、本当に怖かった。

「あなた、呪いがかかっているわ。恋人ができても続かないでしょう?」

「はい。相手がケガをすると、その直後に理由も言わずに別れようって、いつも…。」

話してるうちに涙が出てきた。

「辛いわよね。呪いを解かないと繰り返すわよ。今は恋人は?」

「います。何度かケガをしています。」

「結婚は考えているの?」

「そういう話は出ています。」

「呪いを解かないと、結婚は無理よ。恋人が殺されちゃう。」

「そんな…!」

隼人が殺されちゃうなんて…!

「恋人のケガは、すべて銀のじゃの呪いよ。理由を言えなかったのは、きっとこわくて言えなかったのよ。このアザが広がたり濃くなっているということは、いよいよ強まってきている証拠よ。」

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