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カイと偉人と日元国  作者: ベガ爺
第一章 幕末編
53/55

054 樺太作戦、そして独立?

すみません。執筆ペースが遅くなっています。

仕事、整体学校、執筆、時間配分が難しくて・・。

だいぶ慣れてきたので、少しずつペースを戻せると思っています。

日元海海戦から、3ヶ月が経ち、開たちは樺太{サハリン}にいた。


あれほどのパーフェクトゲームだったので、すんなり講和会議が進むかと思われた

のだが、ほとんど進展が見られず、仲介役の米国のセオドル・ルーズベル大統領から、

内々で、「樺太に進行し、ロシア領を奪えば、ロシアもテーブルに付くかもよ?」と

アドバイスされて、日元政府、そして司令部の命令のもとに、7月7日には、

秋山支隊の魔力竹船車200隻の内の100隻が樺太島の先端の亜庭湾に上陸したのだった。


当時の樺太は、日露通商条約に基づき、千島列島は日元領、樺太島はロシア領の

サハリンということになってはいたが、ロシア人、アイヌ人、日元人が、

仲良く共存する島になっていた。


とくに南樺太には、1200名ほどのロシア兵しかいなかったため、上陸した秋山支隊は、

8日には大泊{コルサコフ}、10日には豊原{ウラジミンロフカ}をほぼ無血で占領し

{即死でなければ、開の魔法や魔力竹船車に格納してあるヒーリングピラミッドベッドで

治療できたため死者は一桁だった}12日にはコルサコフ方面司令官の

アルチシェフスキー大佐も降伏したのだった。


前世での南樺太での戦いでは、ロシア軍が森に逃げ込み、パルチザン部隊として、

その後1ヶ月以上にわたって抵抗を続けることになったのだが、

今世では、宇宙戦争もののアニメに出てくるモビルスーツのような魔力竹馬靴を履き、

魔力竹筒砲を装備して、石ころから造られた弾丸を弾切れもなく、無数に撃ってくる

日元軍部隊に、ロシア軍はあっという間に壊滅させられたのだった。


さらに7月14日には、北樺太のアレクサンドロフにも秋山支隊の残りの100隻が上陸。


北樺太には、リャプノフ中将以下、5000名を越える兵士が駐屯していたが、

ここも、あっという間に撃破され、18日には、降伏したのだった。


****


「本当に改宗していいのですか?」

占領後に、樺太の大泊に新しく造られた、天照大神神社に滞在中の開を

尋ねて来たプチャーチンの娘であるオーリガ・プチャーチナが、

ロシア正教から日元神道に改宗したいとの申し出に驚き、思わず声を上げた。


「ええ、かまいませんわ。夫の命を救ってもらえただけでも驚きなのに、

改宗すれば、今度生まれる、私の子供も魔法使いになれるのでしょう?

ぜひ、夫婦で改宗させてください!」


その隣では、先日の戦闘で重傷を負ったものの、日元軍のヒーリングピラミッドで

回復した、オーリガの夫が何度も頷いていた。


「うーん改宗しても、信仰心がなければ、生まれて来た子も、

そんなに魔法が使えるとは思えないんですけど・・・。

まあいいか、じゃあ中にお入り下さい」

開はそういいながら、日露修好通商条約の締結交渉で活躍し、

死ぬまで親日家だったプチャーチンの娘のオーリガさんを、

1週間前に完成したばかりの神社の境内に入れた。


樺太を占領したお陰か?8月10日には、ポーツマスで、アメリカの

ルーズベルトの仲介のもと、日元とロシアの間に講和条約が結ばれ、

前世と違い樺太{カラフト}島全体が、日元領になったのだが、

厳しく国境を設けず、来る者拒まず体制を敷いたため、

ロシア人もかなりの人数が、そのまま樺太に住んでいたのだった。


しかも、陸軍の運搬用に大量に持ち込んだ、モノレールが片側4線

{軍が2線、民間2線}で、急ピッチで建設されていて、

すでに、大泊から栄浜までと、浜本斗から野田まで、

そして中間の小沼から真岡までの合計約250kmもの区間が、H型につながり、

そこを自由に移動できるモノレールは全て魔力で動いていたのだ。


さらには、夏でも肌寒い日に使用される、魔力ストーブをはじめとする

様々な日常用品の数々を、この目で見たプチャーチンの娘のオーリガさんは、

負傷した、夫を治癒してもらったここと相まって、そのまま樺太に住み続けただけでなく、

ロシア正教から、日元神道へ改宗までしてしまったのだった。


「キャー、みてみて、あなた」


驚く事に、改宗して少し魔法が使えるようになったオーリガさんが、

さっそく魔力ストーブに魔力を送り込んで、暖かくなる状況に喜んでいた。


{冬になると、氷点下30度にもなる厳冬の樺太において、

石炭も薪も使わず、魔力水晶に魔力を注入するだけで、

24時間暖がとれる、この魔力ストーブは、魔力水晶をコーティングした

断熱材や、コートと並び、この地での必需品になっていくことになる}


「おお、なぜ僕の妻だけ魔法が使えるのですか?」

妻と同じく改宗したが、魔法が使えないオーリガの夫が、

妻を羨望の眼差しで見ながら聞いてくる。


「うーん、なぜですかね?

古いギリシャの時代、オリンポスの神々を信仰していた頃は、

西洋でも魔法が使える人は大勢いたと聞いていますよ。

それが、ローマ時代の後半で、イエスがゴルゴダの丘で処刑され、

やがてキリスト教が国教となった頃から、急速に魔法使いが減り始めて

中世の魔女狩りで、ほぼ絶滅したとも聞いています。


これは、僕の憶測にすぎないんですが、{魔法が使えるイコール悪魔}みたいな

イメージが強くなりすぎて、潜在意識下で魔法を拒否してるんじゃないですかね。


今でも、先祖返りのように魔法の素質を持っている人が10万人に1人ぐらいの割合で

生まれてくるそうですが、みんな隠しているか、使えないと思っているから使えなくなって

いるんじゃないですかね。


オーリガ婦人は、その10万人に1人だったみたいで、さらに日元国の魔法文明の

便利さを目の当たりに見ているから、潜在意識の拒否反応が外れて

くれたんじゃないかな。


それに、素質があっても、きちんとチャクラキレートをしてあげないと、

使えるようにはならないので奥さまの場合は、それらがうまい具合に

重なったからじゃないでしょうかね」


事実、開はオーリガさんの旦那さんにも、チャクラキレートをしてみたのだが、

夫の方は、普通の西洋人で、まったく魔力を感じられなかったのだ。


「開さん、あなた。私、決めましたわ、私はこの地に残り、

父のようにロシアと日元国の架け橋になりますわ!」


魔法が使えるようになったオーリガ婦人は、えらく感激し、

この宣言どおり、この地に永住して、その後、多くのロシア人を日元神道に改宗させて、

開たちと協力して、樺太を発展させていくことになるのだった。



*** 少し時間が跳んで、1917年、エカテリンブルクのイパチェフの館 ***



「くそ、ボリシェヴィキ{後の共産党}共め!サンクトペテルブルクの我が宮廷を

奪うだけで無く、こんな田舎に押し込めるとは・・、白軍{反共産党}はまだ助けに

来ぬのか」


二月革命で退位に追い込まれたニコライ二世は、その後の十月革命

{グレゴリオ暦では十一月革命}後、サンクトペテルブルグから車で44時間も離れた

位置にある、エカテリンブルクという田舎町のイパチェフの館に、

家族で閉じ込められていたのだ。


イパチェフの館は、高い塀と鉄柵で覆われている上に、窓も全てペンキが塗られていて、

外部とは一切接触できなかった。


「娘達は大丈夫でしょうか」アレクサンドラ皇后が呟く。


ニコライ二世と息子のアレクセイで一室をあてがわれていたが、

アナスタシア皇女たちは、別室に監禁され、会うのもままならなかったのだ。


「父様、母様・・・」

同じ頃アナスタシア皇女が両親の安否を思い、ベッドで呟くと、

窓が閉められているために、吹かないはずの、そよ風が吹き、

アナスタシア皇女が風が吹いてきた方を見ると、

いつの間にか天窓が開いており、そこからロープが垂れていて、

その下に誰かが立っていた。


「どなた?」


「ドロボーです」


「ドロボーさん?」


「こんばんは、花嫁さん」


「花嫁さん?」

アナスタシア皇女が首を傾げていると、


「いやいやいや、開さん何言ってるんですか、ドロボーじゃ無いですし

花嫁さんって何ですか!」

と、すぐ後から下りてきたオーリガ婦人の息子のモーストくんがツッコミを入れていた。


「いや、なんとなく言って見たかっただけ・・」


(海!変な事言うなよ、俺の印象が悪くなるだろ!)

開は海に頼まれて、少しだけ肉体を使わせてあげていたのだ。

{魔法の容量が上がったのか、海だけでなく、勾玉内の人達なら全員

少しの間なら、交代できるようになっていたのだ}


「改めまして、アナスタシア皇女、私たちは、新たにサハリンに出来た、

極東ロシア共和国より派遣されたモーストと申します。

ニコライ閣下の部屋にも別の者が侵入しています。

どうか我々を信じて一緒に来てもらえないでしょうか」


モーリスくんの歳が近く、同じロシア人と言うことで、安心したのか、

アナスタシア皇女は大声を上げることなく静かに呟いた。


「私を?」


「金庫に閉じ込められた宝石たちを救いだし、高い塔のてっぺんに閉じ込められ

むりやり花嫁にされようとしている女の子は緑の野に放してあげる

これみんなドロボーの仕事なんです。うん、うん」


「いや、だからさっきから、ドロボーとか花嫁とか、意味が分からないです!

それに高い塔ではなく、ここ2階だし」


「モーストくんも12歳になると、言うようになったな。

あれほど、おしめを換え、ミルクを飲ませ、

魔法も丁寧に教えてやったのに・・」


(おしめを換えて魔法を教えたのは俺{開}だ!)


「お、おしめって、そんなこと言われても覚えてませんよ」

アナスタシア皇女の前でそんな事を言われて恥ずかしかったのか、

モーリスが顔を真っ赤にしながら、抗議する。


「よし、ここは五右衛門と俺が食い止めるから、モーリスくんが、花嫁を、

お姫様抱っこして、時計塔から脱出するんだ」


(今度は次元大介かよ・・)


「だから、なぜ花嫁!それに時計塔って何?五右衛門って誰?」


なんだかんだ言いながらも、海{開}たちがアナスタシア皇女達を、

{モーリスくんは、海に言われた通り、肉体強化魔法を使って、

ちゃんと皇女を、お姫様抱っこして脱出した}

そして別の海援隊の部隊がニコライ二世たちを連れ出すことに成功した。


その結果、前世のように、エカテリンブルグで監禁させられた後、

イパチェフの館の地下での、皇帝一家の皆殺しという悲劇は回避されただけでなく、

樺太島の不凍港である真岡{ホルムスクル}に屋敷を建てて、

丁重に保護することになるのだった。


さらには、オーリガ婦人の息子モーリスくんと、ニコライ二世の末娘アナスタシア皇女が

この時のお姫様抱っこが縁?で、結婚し、ロマノフ王家の血は、

イパチェフの館の地下で途切れること無く、継承されていくことになるのだった。



最初は、放っておくつもりだったのですが、アナスタシア皇女たちの悲劇を知り、

こんな展開になってしまいました。

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