041 沖縄と珊瑚と美海女たち
すみません、風邪で体調を壊してしまい、1日遅れてしまいました。
体調不良の影響か、最後の方は、妄想に近い話しになってます。重ねてすみません。
「ふう、やっとここまで来たか・・」
沖縄の那覇港近くにある、波之上宮に東京から瞬間移動してきた、
開たちは、軽快に走るモノレールに乗り、区画整備と開発が進む
那覇の街の風景を見ながら呟いた。
朝鮮での事件から、8年が過ぎており、特ここ5年ほどは、
訳あって、東京と沖縄を往復する生活をしていた。
沖縄の開発自体は、明治4年(1871)の廃藩置県後から、始まっていたのだが
モノレールが開発されたことと、ハワイ産の溶岩魔法パイプ等が安く手に入る
ようになってからは、順調に開発が進んでいるのだった。
前世では、米軍の基地問題や、中華人民共和国の工作員の活動からか、
「沖縄は早く、琉球王国として独立すべきだ!」という論戦を張って
運動する活動家もいたので、歴史的に見て、それは本当なんだろうかと
天照さまに聞いてみると、
「お前達の最古の歴史書の古事記でいう初代天皇である神武天皇の母親が
沖縄地方の出身の玉依姫なのだから、沖縄も日元国に決まっとるじゃろう!
その証拠に明治維新後に生まれた、沖縄の子供達もみんな魔力を持っておるわ。
{天照大神さまが今後生まれてくる日元国の国民全てに、魔法を使える力を与えたのだ}
琉球王国というが、そんなものは戦国時代の美濃国や、土佐国と変わらんのじゃ
それらが藩になり、今回は県に変わったんじゃろう?
琉球王国が沖縄県になるどこに問題があるのじゃ」と、言われてしまったのだった。
それに、明治政府の命で、東京に移住してきた最後の琉球国王尚泰様と
話しをしてみると、朝鮮の高宗王程ではないが、選民意識がかなり高くて、
あまりにも自分の利益を中心に考える思考に、嫌気がさしてきたのは事実だった。
例えば、沖縄にも、上流階級の子と、平民の子を差別せずに学ばせる、
小学校等を創るという学校制度の導入には反対する一方で、
貿易の都合のためとは言え、今まで通り、琉球王の代替わりの度に
清国に朝貢する制度は残すように言われ、
このまま、尚泰王に沖縄に帰ってもらうと、
沖縄の改革がまったく進みそうになかったのだ。
そのため、尚泰王はそのまま東京に住むことになったのだが、
その措置に対して、沖縄の民衆からは、国王を帰せという暴動や、
琉球の独立運動が起きることは、全くなかった。
特に、小中高等学校は基より、前世では、戦後になってようやく開校した
琉球大学が、医学部中心ではあったが、沖縄帝国大学として今年開校して、
{前世では、この時期(1881)にはまだ東京帝国大学(1877)しか
開設されていなかったが、今世は、金山からの軍資金が豊富で、
京都帝国大学(1878)、東北帝国大学(1879)、九州帝国大学(1880)が相次いで開校しており、北海道帝国大学と同時開校で、沖縄帝国大学が今年開校した。
ちなみに大阪帝国大学が来年、名古屋帝国大学が再来年
そして、前世では沖縄と同様に存在し無かった、
北陸帝国大学の開校も予定されている}
その付属病院で、治療魔法と西洋医学を融合した治療を始めてからは
尚王家からの、反対運動もなくなっていたのだった。
開が運転するモノレールは、前世でいうと国道58号線に出ると、
やはり前世でいう国際通りとは反対の右方向に曲がり、
国場川にかかる明治橋を渡ると、前世では奥武山公園になっている
場所に入っていった。
前世では、陸上競技場や県立武道館などが点在して、東京でいう神宮のように
なっている奥武山公園だが、今世では、沖縄帝国大学と、その付属病院、
そして魔力珊瑚研究所などが建ち並ぶ、沖縄屈指の学府地域になっていたのだ。
***
国場川沿いに建つ魔力珊瑚研究所に個人用モノレールを着けると、
ここ1年ですっかり意気投合している喜屋武研究員が待っていた。
喜屋武氏は、明治元年に糸満村で生まれた生粋の沖縄人だが、
天照さまが、日元人には全て魔力を授けたので、当然彼も魔法が使えた。
しかも白色系の医療魔法力が強く、緒方洪庵先生が残した適塾
{来年、大阪帝国大学の母体になる予定}で学び、
沖縄帝国大学が開校すると同時に、こっちに戻って来ていたのだ。
「喜屋武さん、どんな調子ですか桃色珊瑚ピラミッドは?」
実験室に向かいながら開が尋ねる。
「すごいですよ!白色珊瑚が肉体治療、赤色珊瑚が、白血球などの
免疫力の増強に効果を発揮していましたが、桃色珊瑚は、
チャクラの修復に効果があることが確認されたんです。
見てください、この患者さんのデータ、24時間で、全てのチャクラの詰まりが取れて、
回転力が上がっただけでなく、チャクラの大きさも2倍になっているんです!」
と、興奮しながら話してきた。
「それは、確かにすごいですね」
「でしょう!白、赤、桃色の順で治療を行えば、最短3日で
どんな患者さんも治せるようになりますよ。
いや本当に開さんの発見は人類の偉業ですよ。
僕は、この仕事に携われた事がうれしくてたまりません」と
喜屋武研究員が感激した様子で説明してくれる。
「いや、たまたまだですよ、それに喜屋武さんをはじめ多くの人の
協力がなければ、ここまでこれなかったはずです。
だから、これは、みんなの偉業ですよ」
8年前にハワイの溶岩パイプを使っての、沖縄の下水工事のお手伝いに来た開が、
仕事の合間に海に潜ると、魔力を感じる不思議な珊瑚を見つけたのだ。
調べてみると、その珊瑚は沖縄だけでなくハワイを始め世界中に生息する、
普通の白珊瑚だったのだが、なぜか沖縄近海に生息する白珊瑚のみ、
治癒魔力を持っていたのだ。
天照さまに聞くと、このガイア{地球}自体が巨大な生命体であり、
人体に、白血球など、免疫細胞を創り出す脊髄があるように、
ガイアにも、治癒力を創り出す地域が何カ所かあるのだという、
そして、その一つが沖縄の地域なのだという事だった。
ちなみに、ムー大陸が繁栄していた頃にも、この事は知られていて、
当時も沖縄地方は、癒やしの地としての人気が高かったのだという。
その癒やしの魔力を持つ珊瑚を粉末にして粘土と混ぜ合わせて、焼き上げると
不思議なことに、白色珊瑚は、光沢のある白いタイルに、赤色珊瑚は赤いタイルに
そして桃色珊瑚は、桃色のタイルに焼き上がるのだった。
そのタイルを貼ったベッドを造り、さらにそのベッドを
3m四方のピラミッド型のタイルで覆うと{側面のうち一面は出入りのため、
2m四方の扉が付いている}、白、赤、桃色のそれぞれの治癒魔法力が
元の珊瑚だけの治癒魔法の100倍に跳ね上がることが確認されたのだった。
その治癒能力は、治癒魔法士のレベル3に相当していて
{その後、改良が進み10年後にはレベル4、20年後にはレベル5、
そして30年後にはレベル6に達するようになり、また魔力を維持する
ために使用する魔力電池も、1時間で1本の単1魔力電池から、24時間で
1本まで省魔力化されていくことになる}この珊瑚ピラミッドがあれば、
治癒魔法士が付きっきりで、治療しなくてもよくなったのだ。
「問題は値段ですね」
原料となる沖縄近海の珊瑚ならなんでもよい訳ではなく、
強力な魔力を持つ珊瑚は100個に1個ぐらいしか見つからないのだ。
そのため原料確保が難しく、現代の価格で言うと、治療ベッドだけで
1億円、ピラミッドを含めると、10億円もの価格になってしまうのだった。
もちろん対策を考えていないわけでは無く、様々な実験の結果、
弱い魔力しか持たない珊瑚でも、3日に1回10秒ほど、
こちらから珊瑚に魔力を流してやると、3ヶ月程で、ある程度の魔力のある
魔力珊瑚に変身する事が分かったのだ。
ただ、その仕事をやってくれる人材の確保が大変だった。
ある程度、強力な治癒魔法が使えて、さらに、
毎日のように海に潜らなければならないからだ。
開は、怪しげな芸能スカウトマンのようになって、沖縄本島だけでなく
宮古島や石垣島など様々な島の漁村で、そのような人材を探し回ったのだが、
結局、誰も相手にしてくれなかったのだった。
しかたなく、全寮制で、毎週5日、1時間程海に入って、
珊瑚に治癒魔法を使ってくれれば、部屋代や食事代は無料で、
しかも歌や踊りのレッスンも受けられるという契約で、
音楽と癒やしの専門学校を造り、なんとか人材を集めていたのだ。
「確かに・・。今日もこれから彼女たちを労いに、差し入れを持って行く予定なんだ」
「そ、そうなんですか、あの女の子の園に行かれるんですか!なら私もお供します」
「え!そう?喜屋武さん研究の方は大丈夫なんですか?」
***
「キャー、開さん、また来てくれたの。開さんが作ってくれた、
このウエットスーツ、暖かくて助かってるわ、それに中に着る
このビキニも動きやすくていい感じよ」
リーダー的存在の安室奈美子さんが、ウエットスーツを半分脱いで、
豊満な胸を、小さな赤いビキニを付けただけの格好で右腕に絡んできた。
ボン・キュ・ボンの凄いスタイルの小悪魔的な美人であった。
開は、柔らかいモノが右腕に当たる感覚と、目のやり場に困りながら、
「そう、それはよかったです」と答える。
いくら南国沖縄といっても、冬の海は海温が低く、そこに1時間も
潜って、珊瑚に魔力を流す作業は結構疲れるものだ。
そんな彼女たちのため、保温魔法が掛かるようなウエットスーツを開発し、
提供していたのだ。
また、インナーとして着ていた下着が水に透けて、目のやり場に困る
状態だったため、水着も開発したのだった。
{最初は、スクール水着のようなものを開発したのだが、なぜか不評で、
勾玉内の海のアドバイスで、ビキニタイプを作ったのだった}
「付いて来て良かった」と呟きながら
喜屋武研究員が後ろで鼻血を出しているのが見えた。
「あ、今日は、紅芋タルト持って来てくださったのですか。
海に潜ると、すごくカロリーを消費するみたいで、
甘い物が欲しくなるんです。助かりますわ」と
色白で落ち着いた感じの美人の仲間美由子さんが、
白いビキニでやって来て、左腕に絡んでくる。
上目遣いに開を見上げる、色っぽい仕草に内心ドキッとしながら、
(落ち着け、俺は精神年齢では、もう45歳になるんだぞ)と
心を落ち着かせて、
「いえ、みなさんのおかげで、治癒ピラミッドの量産に
目途が立ちそうです。こちらこそ助かっています」と
お礼を述べる。
まさに両手に花の状態で、鼻の下が伸びそうになるが、
後で、天照さまに叱られないように、必死で冷静さを保つ。
後ろでは、治癒魔法で鼻血を止めたのに、また鼻血が吹き出した
喜屋武さんがいた。
「あー、開にぃ、両手に花だねー。じゃあ私は後ろから、えい」と
新垣結子が抱きついてくる。
「ちょっと結子ちゃん、もう子供じゃないんだから・・」
開が彼女と知り合ったのは、5年前で、沖縄中の漁村を
怪しげなスカウトマンのように回っている時だった。
その時は、まだ12歳の子供だったのだが、さすがに17歳にもなると
両腕に絡む、彼女たちよりは少し小さいが、まだ発達中の柔らかいモノが
背中に当たってくるのだった。
「えー、あんなに一緒に濡れたのに、もう結子のこと嫌いになったの」
「結子ちゃん、そう言う誤解の招く言い方は止めようね。
嫌いになんかならないですよ。奈美子さんと美由子さんと結子さんが、
最初に入学してくれたおかげで、他の子たちも入って来てくれたんですから、
みなさんが来てくれて無かったら、どうなっていたことか・・。
本当に感謝してます」
「だったら、奈美子姉か、美由子姉をお嫁さんにしてあげてよ、
私は愛人でいいからさあ」
「 「 結子、そんな事言うと、開さんが選べなくて困るでしょう!! 」 」
両側からの胸の押しつけが強くなったような感じを受けながら。
今晩、天照さまにどう言い訳するか、冷や汗を流しながら考え込む開だった。
「うらやましい」と後ろで崩れ落ちる喜屋武研究員。
勾玉内からは、(開!死にさらせ!)という海の叫びが聞こえた。
その後、安室さん、仲間さん、新垣さんたちは、それぞれ婿養子を取り、
その曾孫たちが、沖縄を代表するミュージシャンや女優として
大活躍していくのだった。




