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カイと偉人と日元国  作者: ベガ爺
第一章 幕末編
37/55

038 宮殿の攻防と、その後のハワイ王国

斎藤さんたちに、港からの敵の合流阻止を任せた開たちは、

イオラニア宮殿へとモノレールを走らせた。


(間に合ってくれ・・)祈るような思でイオラニア宮殿に

近づくと、想像とはかけ離れた風景が展開していた。


「な、なんだこれは・・」角刈り大佐も絶句した。


それもそのはずで、宮殿を囲む400人の海兵隊のうち、

半分以上が、すでに倒れていて、残りの兵隊隊も武器を捨てて

ホールドアップしており、次々に後ろ手に縛られていく最中だったのだ。


「おお、開君たちか、早かったな」

赤と青の魔法鎧を着けた二人に声を掛けられる。


(どこの、赤い彗星とランバ・ラルだよ!)


「龍馬さん、西郷さん、これはいったい」


「いや、儂は、開君達が到着するまで、おとなしくしておけと

言ったんじゃがのう、若い奴らが、少し当たって見たいと懇願するから

それじゃあ少しだけ、稽古でも付けてやるかと」


「これが少しですか・・」


スリーハンドレットとかいう、300人のスパルタの兵士と

30万人のペルシャ軍との戦いを描いた映画を思い出しながら、開が呟く。


もちろん、宮殿の王族は全員無事で、被害は全くなかった。

さらにその後の調べで、ジョンソン司令官は、最初の方であえなく戦死していたが、

ドール以下、ハワイの白人資産家ビッグ5の関係者は、悪運強く

生き延びていることが判明した。


そのため、白人系資産家たちは、ハワイ系が所有していた倉庫の

焼き討ちの賠償金として、ハワイでの全ての資産を没収されたうえで、

国外追放されることになった。


「どうした、ヒロ?浮かない顔して」

開が、伝染病が発生しないように、海兵隊の死体を魔法で数カ所に集め、

さらに、ファイヤーボールの魔法を使って荼毘に付していると、

しょんぼりしたヒロがいたので、声を掛けた。


「カイさん、その・・」

ヒロの説明では、ほとんど被害が出ずに、戦が終わり、

ハワイが守れたことはとてもうれしい。


でも自分は、これまでハワイを守るため、ハワイ軍に入隊して、

厳しい訓練に耐えてきたのに、今回の戦いでやった事は、

照明弾や炸裂弾を取り出して、魔法迫撃砲にセットしただけなのだという。


要は、もっと活躍したかったのだそうだ。


「砲弾をセットするのも大切な仕事だぞ」


「わかってますよ、それでも何か悔しくて・・」


「分かった分かった、ヒロ、これから10分後に、

ハレイワの街とカイルアの街を占領している別働隊を、叩きに行く。

俺はこの作業を終えてから、第2陣で行くが、お前は1陣で行ってこい。

大佐には話しておいてやるから」


「は、はい、ありがとうございます」


モノレールは、その名のとおり、単一の梁のようなものを繋げて

いくだけで、レールができる。


そのため、道路や鉄道のように、土地を、整地する必要がない。


その分、道路や鉄道に比べ、非常に短期間でレールが敷設できるのだ。


その特性を活かして、ホノルルから、30km以上離れているハレイワや

カイルアの街にも突貫工事でレールを引いていたのだった。


あれから、意気揚々と戻ってきた、斎藤一の小隊プラス4小隊や、

龍馬さんたちの精鋭20人の活躍に刺激を受けた、残りのハワイ軍隊員は、

少しの休息後、ここで初めて隊を2つに分け、占領されたと思われる

ハレイワやとカイルアを解放するために、

全速力でモノレールを走らせたのだった。


***2時間後


夜が明け始め、もうそろそろ、命からがら逃げてくるハワイ王族と、

それを追い詰める海兵隊か、あるいは計画通り、ホノルルを占領したという

伝令が来るだろうと、待ち構えていた別働隊の元に、

聞き慣れない音を出しながら、見慣れない乗り物が近づいてきた。


「なんだあれは」


「我が軍の新兵器か」兵たちがいぶかっていると。


ドン。


「うぐっ」

今度は照明弾もなく、いきなり兵士達のそばで砲弾が炸裂し、

数名が吹っ飛ばされた。


ドン、ドン、ドン、それから、次々に砲弾が降り注ぎ、

あっという間に部隊の半分近くが吹き飛ばされたうえに、

残りの海兵隊たちも、モノレールから降りてきたハワイ軍兵士に

次々に倒されていったのだった。


さらに、港に停泊中だった3隻の軍艦も、2隻は迫撃砲で、あっけなく沈められ

{モノレールの梁のようなレールは、港まで引かれていた}

残りの1隻は武装解除されて、同じく武装解除された、白旗を揚げて、

生き残った海兵隊の本国への送還に使われることになった。


結局、後の歴史書で、ドールの反乱と呼ばれる事になる、

白人たちのハワイ乗っ取り計画は、派遣された25隻の内、

15隻の軍艦を沈められ、2000人の海兵隊の内、

1000人以上の死傷者を出すという、散々な結果に終わったのだった。


その後、ハワイ政府は、アメリカ政府に、この事件の謝罪と賠償金を要求したが、

あれは、ドールを中心としたハワイの資産家たち、ビッグ5が、

もうすでに、軍を引退していた、元ジョンソン司令官を買収して、

偽の命令書を使って海兵隊を動かしたもので

アメリカ政府は、まったく関与していないと、要求は却下されたのだった。


しかし、この事件で、ハワイでの白人の影響力は壊滅的な打撃を受け、

2年後の布米修好条約の改正では、ハワイにとって、かなり有利な

改正になったと言われている。


****


このドールの反乱事件の後のハワイは、劇的に成長していく事になった。


教育については、以前にも述べた通り、8年後には、ハワイ大学を卒業した

若者たちが教員になり、さらに20年後には、

ハワイアンによるハワイアンの教育が

ハワイ国の全島で行われるようになっていったのだ。


また、ドールたちが所有していた畑にも全て、

キラウエア火山の溶岩から、造られるブルー魔力水晶が設置されていき、

新たに誕生した、自作農家たちによって、さまざまな作物が

つくれるようになっていった。


そして、ハワイ軍の移動手段として大活躍した、

ブルー魔力水晶で動くモノレールがその後も大量に製造されていき、

オアフ島だけでも前世の高速道路の10倍以上もの

{全島をあわせると、100倍以上}レールが敷かれ

{幹線路線では、片側6~10路線は敷かれて、

しかもポイントの切り替えも魔法で簡単に出来るようになっていた}

そのレールの上を、自家用モノレールや、公共モノレールが自由に走り回り

世界でも類を見ない、モノレール大国になっていくのだった。


さらにその動力源のブルー魔力水晶は、

キラウエア火山の溶岩から、ほぼ無料の原材料費で造られるため、

日元国の魔力水晶の10分の1のコストで生産できるようになり、

凡庸魔力電池として、{充電される魔力は、レベル3}

日元国へも輸出されるようになっていった。


もちろん、溶岩で精製されたパイプや柱も、

魔法が使えるようになったネイティブハワイアンの作業員が、

強化魔法をコーティングしているので、

日元国の魔法コーティング材木と同様に、

鉄の10倍以上の強度を持ちながらも、3分の1の軽さで、

しかも、こちらも日々に流れ出てくる溶岩が原料なので、

超低コストの資材として輸出されるようになったのだった。


教育水準が上がり、農業生産力が上がり、産業エネルギーは、

魔力水晶でほぼまかなえる用になったハワイ王国は、

日元国と並んで、後にロックフェラー等の、欧米の資産家が

石油を独占して、資源外交を仕掛けてきても、ビクともしない、

強靱な体力をもつ国へと成長し、日布同盟で結ばれた

日元国の親友のような国になっていくのだった。



****



さらに2年が経ち、明治16年(1883)を迎えていた。


開は相変わらず、歳をとらず、見かけは20歳のままだが、

龍馬さんは53歳、西郷さんは65歳になり、渋いジジイになっていた。


麻衣ちゃんの魂が入っているカイウラニ王女が17歳

山階宮定麿親王は15歳になり、本日12月25日に、

ハワイ神道の総本山、ホノルル神社{前世のハワイ出雲大社から、

海岸のアウアパークまでを含めた、広大な敷地に建っている神社}で

厳かに結婚式を行ったのだ。


その日の夕方、高台の別荘に、カイウラニ妃がやって来た。


ホノルルの街が一望できる高台に、各国の大使や要人が

ゆったり泊まれるように造られた別荘で、宮殿からは、モノレールで

登って来れるようになっていたのだ。


「開兄ちゃん」


「お、おお、麻衣ちゃん、定麿皇太子様は?」


「まだ仕事があるから先に行ってなさいって、それで

少し時間があるから、こちらに寄ってみたんです。

もしかして、これから日元国へ、帰られるのですか」

{王家の別荘の隣に日元国も別荘を所有している}


「ああ、天照さまが、銀座の木村屋で売り出された、

新作あんぱんをどうしても、今日中に食べたいといいだしてね

定麿皇太子様によろしく」


「開、早く行くぞ、お、麻衣カイウラニか、お主今日は、

初夜ではないのか、こんな所で油をうっててよいのか」


(な、なにー初夜だとー、兄ちゃんはゆるさんぞー)

勾玉内の海がうるさい。


恥ずかしくて顔を真っ赤にしたカイウラニ妃(麻衣)が

「そ、そういう天照さまこそ、新作あんぱんのために、もう日元国へ

帰るとか」


「そうなんじゃ、あの酒種あんぱんに今度は、栗入りあんぱんが、って

な、なんでそれを知っちょる、は、開か!

いくらカイウラニの魂が妹だからといって、

妾の行動を、一々報告せんでよいのじゃ」


「天照さま、ハワイとは同盟国になったのです、まあ、身内みたいな

ものですから、それにそのあんぱんの、あんに使われている砂糖は、

ここ、ハワイのサトウキビから取れたものを使っていると聞きましたよ」


「何と、日布合作のあんぱんだったのか、それは楽しみじゃのう、

麻衣、お主も頑張るのじゃぞ」


「はい、天照さま、開兄様、このたびの事、本当にありがとうございました」

麻衣カイウラニは、深々と頭を下げる。


「ううん、妹を助けるのは当たり前だよ、それじゃまたね」


(お前の妹は、舞ちゃんだろう!麻衣は俺の妹だ!

替われ、いまだけでいいから体貸してくれ)

勾玉内の海が再びうるさくなった。


この別荘にも、移転ポイントを造ったみたいで、

開たちは、一瞬で、日元国に移転していった。


前世では、23歳で、暗殺されてしまうカイウラニ王女(麻衣)は、

今世では、2男2女の母となり、80歳(1956)まで寿命を全うしたそうだ。



ふう、なんとかハワイの独立を守れました。

次回からは、ぐだぐだの朝鮮半島の話しです。

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