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カイと偉人と日元国  作者: ベガ爺
第一章 幕末編
30/55

030 その他のインフラ

すみません、暑くて飲み過ぎた結果、また予約を忘れてしまいました。

「おお、この発想はヨーロッパにもないデスヨ、素晴らしいデス。

サスガ、マジカル・ジパング{魔力水晶の事が少しずつ外国に知られてきていて、

黄金の国ジパングではなく、魔法の国ジパングと呼ばれつつあった}デスネ」


取り敢えず完成した、神田下水{前世では明治18年(1884)に造られた}を

オランダ人技師のヨハネ・デ・レーケに見てもらい、

ダメ出しをしてもらおうと思った、開たちだったが、逆に絶賛されてしまったようだ。


かつての江戸の街は究極のリサイクル都市だった。

生ゴミや糞尿は、肥料として、農家が買い取りに来て、それが長屋の大家さんの

ちょっとした収入にもなっていたし、その他にも古着や、穴の空いた鍋など、

家庭から出るもの全てに、それぞれの回収屋が居たのだという。


しかし、急速に東京に流入してくる人たちと、西洋化して増え始めた

水洗トイレの下水の結果、農家による糞尿回収が追いつかなくなりつつあるのと

伝染病や、人糞肥料の寄生虫の発生など、衛生面でも問題が起きたため

{数年前にコレラが発生したが、何とか開たちが治癒魔法で抑えた}

早急に下水道の建設が進められたのだった。


下水道を造るにあたり、開は、3つの事を提案した。

{実際は、勾玉内の開の父、勇一郎が提案したもの}


1つ目は、下水道用トンネルをレンガではなく、コンクリートブロック

{魔力石灰コーティング木材と同様に魔力により強化されている}で作る事にしたのだ。


しかも、コンクリートブロックを標準化して、直径2mの円形パーツを4等分したものや、

1mや2mの平面パーツを組み合わせて作る事で、建設コストを大幅に下げたのだ。


また、トンネル用の魔力強化ブロックの規格を全国で統一したことで

{道幅に合わせて3m、5m、7mなどがある}その後の地下鉄建設を含めた、

様々なトンネル工事が驚くほど早く造れるようになったのだった。


2つ目は、雨水を流す地下河川と呼ばれる部分と、糞尿などの生活排水や、

飲み水が流れる水道管部分を、1つの共同トンネル内に設置して管理し、

さらに、トンネル内を走るトロッコを整備して、水道管などの点検や交換が

楽に出来るようにした事だった。


{普通は堆積物を流すため、掃流速を考慮して勾配をつけたり、伏越し

(ベンドサイフォン)を設置しなければ、ならないが、下水管自体に魔法を

掛けられるので、問題なく設置できた}


また前世の神田下水は処理する事無く浜町川に放流されていたが、

今世では、いち早く、日元国初の三河島下水処理場が造られ、

その横には、魔力水晶を用いて糞尿を、リンやアンモニアなどに分解して

回収する装置を設置し、現代の化学肥料のような感じで農家に安く販売する

モデルを開発しその後、全国に出来る下水処理場は、迷惑施設ではなく、

肥料が手に入る農家にとってありがたい施設になっていくのだった。


3つ目は、その下水トンネル内に小型のトロッコ電車{トンネルの下部3m程が

雨水などが流れる地下河川の用になっていて、それを蓋をするように、

床とレールが造られ、幅1m高さ2.5mの運搬用トロッコを開発した}を走らせて、

それに、ゴミ回収の機能を持たせた事である。


町内にいくつか、ゴミ回収小屋を設置して、そこに金属類やガラス類、紙類や布類を

分別して持ち込むと、一昔前のチリ紙交換のように、トイレットペーパーなどに

交換してもらえたり、金属やガラス類などは、少量だがお金が貰えるようにしたのだ。


つまり、江戸のリサイクルシステムがさらに進化して、地下に再登場したような感じで、

その様子を見た、お抱え外国人技師が、絶賛するのもうなずけるのだった。


さらにその後、下水道トンネルのネットワークが、ある程度形成されはじめると、

点検やゴミ回収に使われている小型トロッコ電車を、郵便局が手紙や小荷物の配送に

使いはじめたのだった。


やがて、「郵便局だけずるい」という声が上がり、やがて飛脚やクロネコ、

ペリカンなどのマークが付いた民間の運送企業の、トロッコ電車も大量に

地下トンネルを走る事になっていくのだった。


***


「特徴的な魔法学科を作り、天才児を飛級させて集めるのですか?」


前世の明治政府と同様に、全国に小学校を作り

人材育成に力を入れていた、開達は、前世より早く、大学創りに奔走していた。


{前世では、明治5年に尋常小学校(4年制)を江戸時代からの

寺子屋を基に開校させ、明治40年に高等小学校と合併させて、

6年制の義務教育を完成させるが、今世では、明治3年には

最初から6年制の小学校が造られはじめ、

その後3年制の中学校(義務教育)と、

3年制の高等学校が造られはじめられていた}


「ええ、日元国に魔力保持者が生まれ始めてすでに、13年が経ちました。

報告では、中学生になった子供達の中にはもう既に、

レベル4近い魔力を持った子も出て来ています。

その子達の魔力をもっと開花させるために、飛級させるんですよ」


前世と違い、この日元国では、全ての子供達が、5歳で魔力を発しはじめるので、

6歳から通う小学校のクラス分けは魔法の色別になっていた。


{もちろん、2色や3色の魔法がほぼ同じで扱える子は、自分の好きな色のクラスへ

また、成長途中で、別の色の魔法が強くなってきた場合もクラス替えができた}


中学になると、さらに専門色が強くなり、

高校にいたっては、前世の大学に近い授業をしていた。

{前世と違い、一般教養は、高校まででかなり学んでいたため、大学では、1年目から、

かなり専門的な内容を学ぶので、前世の専門学校に近かった。


また、小・中・高とも、語学、数学、科学、歴史、などの座学の授業は全て午前中で終わり、

午後からは、それぞれの魔力特性によって授業が選択出来るようになっていた}


「具体的には、どんな感じになるのでしょうか」


そこで、開は自分の居た月本国を思い出しながら、

東京大学に黄色の光系魔法、名古屋大学に銀色の科学系魔法、

京都大学に紫色の礼節系魔法、大阪大学に白色の医療系魔法、

九州大学に赤色の肉体強化系魔法、東北大学に青色の知力系魔法、

北海道大学に緑色の調和系魔法の特待生を飛び級で、数名ずつ入学させ、

学費や寮費等は全て国が面倒を見ながら大切に育てる計画を説明した。


{後に沖縄大学、鹿児島大学、熊本大学など、全ての都道府県に公立の大学が

設置されて、それぞれに得意な色魔法の飛び級生を採るようになっていった}


また、前世では、1931年設立の大阪帝国大学より早く、

朝鮮のソウルに京城大学{1924年設立}や、台湾に台北大学{1928年設立}が

設立されたが、今世では、朝鮮半島や台湾島には、

極力、関わらないという政策で臨み、半島や島の併合はしない方向になった。


なぜなら海の話によると、前世の日元国では、ハルピンで、初代総理大臣の

伊藤博文が暗殺され、仕方なく朝鮮半島を併合したそうなのだが、

明の皇帝から1388年に「朝鮮」という国名を下賜されて、500年に渡って、

中国の属国となり、王族を頂点に両班という支配階級の基にあった李氏朝鮮は

はげ山と、やせ細った荒涼とした大地が続く不毛地帯で、

当時の調査団の報告によると、ソウル市内でも糞尿まみれで、

悪臭が立ち込め、飢饉と疫病が常態化していたのだそうだ。


そんな朝鮮半島を併合してしまった前世の日元国は、戊辰戦争以降、

停滞していた東北地方の復興や、先ほどの大阪大学の設立よりも先に、

朝鮮半島のインフラの整備に着手するしかなく、膨大な資金と人材を投入して、

半島を近代化させていったのだという。


それにもかかわらず、戦後、棚ぼた式にアメリカから独立した、大韓民国は、

{日元国の敗戦後、アメリカに占領され、1948年にアメリカから独立した}

これもアメリカから連れて来られた、初代大統領の李承晩による反日教育が凄まじく、

その後の、毎朝新聞のマッチポンプ記事がきっかけで、

いつの間にか戦争中に、朝鮮半島から20万人もの慰安婦が連れ去られた事になり

{自分の妻や娘、あるいは恋人が連れ去られていく間、その20万人の女性の夫や

彼氏は何をしていたのだろうと開は思った}、

毎年、日元国を非難し続け、謝罪と賠償を請求しながらも、

なんでもかんでも日元文化をパクリ、挙げ句の果てに、

元々は朝鮮の文化だと言い張りながらも、

年間700万人もの観光客が日元国に来ていたのだそうだ。


という訳で、今世では朝鮮半島に介入せず、併合もしなかったため、

教育機関も含めた社会資本的なインフラが、

日元国中で、急速に整備されていくのだった。



***



開は、旧江戸城の天守閣跡地に腰掛け、銀座方面に広がる街の灯りを眺めていた。


田中久重さん達と一緒に開発した、魔力電池を使った新無尽灯が、

もうすでに街灯として、多数設置されていて、前世よりも、30年以上早く建設中の

東京駅{前世では1914(大正3)に建設され、山手線が環状に繋がるのは更に遅い

1925(大正14)だった}を映し出していた。


また、前世と違い、甲州鉄道が申請する前に計画された中央線が、

8路線でお茶の水まで引かれ、そこから分岐して、複々線で神田の方と秋葉原方面に

建設されつつあった。{秋葉原方面にも複々線で建設中}


ちなみに神田から秋葉原をアンダーパスして上野に向かう路線は、

山手線が複々線、上越線も複々線、東北線も複々線、

それに常磐線の複々線が加わって16路線が並走する事になるようで、

遠く離れている開の耳にまで、その建設の槌音が聞こえて来そうな活況だった。


「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。か・・」開は高校生の頃に読んだ、

司馬遼太郎先生の、坂の上の雲の出だしのフレーズを思わず呟いた。


そう、天照さまと、一緒にこの世界に来てから13年が経っていた。

龍馬さんは46才{あれからすぐに、お竜さんを妾とし、千葉定子さんを正妻として、

それぞれが、龍太10才と、透馬8才の子供を産んでいた}


西郷さんは59才、明治天皇が29才、皇后の美子さまが31才になり、

後の大正天皇も去年、生まれていた。


大久保利通を暗殺で失い、大坂の豪商がいくつか没落していたが、

西郷さん勝さん、桂さんをはじめ、多くの偉人達のお陰で、

先ほどの、坂の上の雲のフレーズではないが、

明治の世は驚くほど順調に発展していた。


「なんじゃ、こんなとこで黄昏れておったのか」


「あ、天照さま、黄昏れているというか、その、麻衣ちゃんの、

その後の魂の反応って感じられましたか」


開は焦っていた。

核爆発で分裂してしまった異世界の妹の麻衣ちゃんの

魂を集めるためにこの世界にやって来て、すでに13年が経っているのだが、

最初に美子さまに入っている麻衣ちゃんの魂の一つを見つけて以来、

その後はまったく見つからないのだ。

早く見つけないとその魂に吸収されて、消滅してしまうのだという。


「いや・・この時代にいると思うんじゃが、すまぬのう」


「そんな、あやまらないでください。天照さまのせいじゃないですよ」


数千万人いる日元国人の中から6つに分裂してしまった魂の欠片を

見つけ出すのだだ、1つ見つかっただけでもすごい事であり、

天照さまが、毎日一生懸命探しているのは開もよく知っているのだ。


「もしかしたら、日元人ではないのかものう」


「そんなことってあるんですか?じゃあ妲己さんと一緒に中国大陸にも

足を伸ばしますか」


それが、フラグになった事がすぐに判明する事件が起こった。


美子皇后直属の侍女が、あわててやって来たのだ。

「開さま、天照大神さま、こちらにおいででしたか、陛下がお呼びです」


「どうされたのです」

開たちは、侍女に連れられて旧江戸城に戻る途中で問い掛ける。


「昨日から、日元国を表敬訪問されておられる、ハワイ王国のカラカウア国王さま

たちが晩餐会の途中で倒れられました」


「な、医師たちによる回復魔法は?」

滴塾の緒方洪庵先生と共に、東洋医学や西洋医学の垣根を越え、

魔法医学を学ぶ医師を徐々に増やしていく話しがまとまり、

開たちが指導して、現在の皇室には、数名の回復魔法を使える医師が

常駐しているはずなのだ。


「それが、当直の3名の先生も同時に意識を失ってしまって・・」


「計画犯ですね・・」


侍女に連れられて、開たちが控えの間に入ると、そこには、10歳ぐらいの少女と

40代の男性が意識も無く寝かされており、その横で、医者らしき者も3人とも倒れ

看護師たちが半分パニックになりながら介護しており、

陛下や皇后さまが心配そうに立っていた。


開と天照大神さまは急いで駆け寄り、カラカウア国王と思われる男性を天照大神さまが、

カイウラニ王女とおもわれる少女を開が、それぞれ回復魔法で治療をはじめたのだ。


数分後、まず意識をもどしたハワイの国王が目を開け、

その後、王女が目を開けるのだが


「海兄ちゃん?」と日元語で呟いた。


「へ?」


(なんか、デジャブなんだけど)


(おお、こんどは美少女か)


(いいな、ハワイか・・)


勾玉内がうるさかった。


史実では、カイウラニ王女はまだこのとき3歳なのですが、物語の都合上、10歳にさせていただきました。

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