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カイと偉人と日元国  作者: ベガ爺
第一章 幕末編
13/55

013 徐福さんの悲しい過去

「お久しぶりです老師さま、実は今日はお願いがあってまいりました」


「おお、美子殿が、この老師に、お願いとは、うれしいかぎりじゃ

さあ、さあ、立ち話もなんじゃから、中にお入りなさい。

おっと、警護の赤鬼(龍馬)と青鬼(土方)は、外でまっとれ、

白いヤサ男(開)もな」と言いながら、美子(中身は麻衣)を案内する。


「きゃ!老師様?」


(おい、今、麻衣のおしりを触らなかったか)


(あのエロジジイ、外見はヨーダだけど、中身は亀仙人かよ)


「おお、金髪の美少女!そなたも、どうぞ中にお入りなさい、

ささ、ゆっくり話を聞かせておくれ」と言いながら、

天照さまのおしりにも手を伸ばそうとすると、


「はぎゃー」


老師が触る前に、天照さまの回し蹴りが決まり、数m先の大木まで

吹っ飛ばされた。


「あいかわらずよのう、徐福」


「なぜ、その名を、まさか、そなたは・・」


(おお、ヨーダの顔が、緑じゃなくて青くなったぞ)


(徐福って、秦の始皇帝に不老不死の薬を取って来ますからと、

資金を出させて、美少女100人と美少年100人を従え、

東の海の蓬莱とかいう地へ旅立ったとかいう伝説の人か?)


「元寇の時にも、何やらちょこまかと画策しておったが、

しばらく見ない間に、天皇の教育係に潜りこんでおるとはのう、

今度は、何を企んでおる?」


(元寇って鎌倉時代に元が高麗と共同で、九州に攻めてきたヤツ?)


(ああ、でも伝説では、徐福は孝霊天皇の頃に、京都の丹後半島に上陸したと

言われているから、もっと前から、日元にいるんじゃないかな)


(ええ、じゃあ本当に不老不死になったのか)


(いや、でも爺さんだから、不老には失敗したんじゃねぇ?)


(ああ、確かに、あんな老いぼれたまま、1000年生きてもなあ?)

勾玉内でみんなが好き勝手な事をしゃべっていた。


「おお、そうじゃった。ちと用事を思い出したぞ!美子殿、申し訳ないが

話はまた今度にしよう」と言いながら逃げ出そうとする徐福の背中に、

跳び蹴りを食らわした天照さまは、そのまま徐福を、ボコボコにしてしまった。



****



「で、今度は何を企んでおるのじゃ」


秘密基地のような地下室の石の床に正座させられた徐福に

向かいのソファーに座った天照さまが尋ねる。


「違うんです!その、天皇陛下を支えるためにその・・」


「ほう、これがお前の言う、天皇を支えるための計画か?」と

天照さまが持ち上げた、企画書には、

{マル秘、江戸城大奥乗っ取り計画}と大きく墨書きされていた。


内容は、明治維新後も天皇には、そのまま京都にいてもらい、

江戸城は関東支配の拠点とする事。

また、江戸城の大奥は、女子教育の機関として存続させ、

そこの校長として中沼(徐福)が赴任する事を天皇に提案する。

などだった。


「だから、それはあくまでも、女子教育のためでして」


「ほほう、ムチ打ち、亀甲縛り、ロウソクプレイと言うのが、

そなたのいう女子教育なのか」と言うなり、横に控えていた、

土方さんの刀を抜くと、兜割をするように振り下ろした。


「い!!!」


徐福さんが、脳天を割られて前に倒れる。


「天照さま!やり過ぎですよ」開は急いで駆け寄り、

治癒魔法を掛けようとした。


「な、なに、傷が治っていく!」


「徐福さんも魔法使いなのですか」


「・・・いえ、呪いを掛けられたのですよ」


徐福さんは傷が治り、再び正座すると、ポツポツと過去の出来事を話し始めた。


「私は、こんな体になる前は、馬王堆まおうたい師匠の基で、

漢方薬の処方を学ぶ少年でした。

馬王堆師匠は、{五十二病方}という医学書も、お書きになられた

素晴らしいお方で、始皇帝の病気も何度も治療されていたのです。

しかし師匠は優秀すぎたために、宦官の役人趙高に嫉妬されて、

{馬家には、古代の中国の農業と薬の神、神農が古代の女神、女媧に

与えた、不老不死の薬の製法が奥義として伝わっているのに、

それを、始皇帝に献上せずに隠している}と、

始皇帝に告げ口をされてしまったのです」


「え、そんな薬があるの?」


「あるわけないでしょう!師匠を追い出すための口実ですよ」


「だって今、傷が・・」


「だから、これは呪いなんです」


「???」


「趙高の馬王堆師匠への、誹謗中傷攻撃は執拗でした。

また、沢山いた、兄弟子たちへのハニートラップや買収も露骨で、

次々に、兄弟子たちは師匠の元を離れていきました。

結局残ったのは、当時はまだ12歳で、小間使いだった私一人でした。

追い詰められた師匠は、私を連れて、不老不死の薬を探す旅に出たのです。

あれは都を出て2年程たった頃で、西の砂漠の桜蘭というオアシスに

たどり着いた時の事です。

私達はその桜蘭で、不老不死に関する在る噂を耳にしたのです。

それは、近くにある湖には、不思議なことに新月の頃になると

無人島ができあがり、そしてその島には、絶世の美女が舞い降りる。

その美女は、まだ女性を知らないような少年が大好きで、

その美女に気に入られた少年は、その女性と一晩過ごす代わりに、

願い事を一つ叶えてもらえる。という噂でした」


「うわ、それ、超怪しいな」


「はい、でも、路銀も底をつき、病に犯されつつあった師匠と

まだ、ろくに薬草の調合もできない私にとっては、そんな怪しい噂にでも

縋るしか方法はなかったのです・・」


徐福の話では、師匠を残し、一人無人島に向かうと、本当に美女がいて、

その美女に気に入られた徐福は、一晩を一緒に過ごしたのだそうだ。


夜明けに、美女に「不老不死の薬の製法を教えてほしい」と願い事を話すと、

「薬の製法は知らぬが、妾と交わった時に、すでにお前は不老不死になっている」と

水鏡を見せられたのだそうだ。


その鏡に写っていたのは、14歳の少年の徐福ではなく、

ひからび、今にも死にそうな姿の、老いさらばえた徐福だった。


その美女にとっては、徐福の若い生命力を奪うのが目的だったらしく、

目的を達した美女は、徐福の失望する姿を笑い転げて見ていたらしい。


(げ、なんだ、その女は!性格悪すぎ)勾玉内で海が呟く


「では何とぞ、若返る薬だけでも、お教えください」と

泣きながら懇願する徐福に投げ渡したのが、黄色く乾燥した玉だったそうだ。


美女の話では、その黄色玉を24時間程煮込み、成分がしみ出した湯に、

なりたい人物の髪の毛を溶かして一緒に飲めば、1日ぐらいは、

その人物になれるのだという。


(なるほど、その薬を使えば、1日だけ若返るということか・・)


その後、美女は霞のように消え失せ、老人の姿になった徐福が、

とぼとぼと桜蘭に戻ると、病に冒されていた、師匠はすでに息を引き取っており、

しかたなく、徐福は一人、都に戻ったのだそうだ。


都に戻った、老人姿の徐福は、黄色玉の事は伏せて、

剣で切っても傷が治る様子を見せながら、始皇帝と趙高に

不死になった説明をすると、すぐに、美少年100人を率いて、

その美女の元にもどり、何としても、若い姿のまま、

不老不死になる薬の製造方法を聞き出してこいとの事だった。


「なるほど、それで美少年100人をつれていったのか、

でも、美少女100人はなぜ連れて行ったの」


「決まってるでしょう!私の初めてと、精力を奪われて、

こんな姿になったのですよ、なら、逆に美少女100人の初めてを奪えば、

私は元の姿に戻れるかも知れないじゃないですか」


(うわー最低の考え、同情して損した)


「あのよう、徐福さんとやら、自分がされて嫌なことを

他人にしても、心の傷は癒えんぜよ

でも、男としては興味があるの、その美少女たちとは交わったのか」


((おお、確かに、ナイスな質問ですな))


((あなた!))勾玉内がまた、うるさくなった。


「・・私は浅はかでした。美少年と美少女が100人ずついたのですよ!

旅の途中で、どんどんカップルが出来上がり、監視の目を盗んでは

駆け落ちしてしまい、最後は残った数人に川へ突き落とされてしまいました・・」


(あちゃー)


その後、徐福は桜蘭に居座り、新月の度に100年程、湖に通ったのだが、

美女どころか無人島すら現れず、秦も滅んだため、紆余曲折をへて、

日元国にたどり着いたのだという。


「なるほどのう、で、元寇の時は何をしておった」


「・・その、この体になってから、男としての機能が役に立たず・・、

黄色玉で一時的に若返ってもダメで、それで、その元のフビライハンは絶倫で、

元に協力すれば、その精力剤を分けてもらえると・・」


(そういう事か、くだらねー)


(いや、くだらなくはないぞ海、お前もそのうち分かるさ)


(おやじもそうなのか)勾玉内の男たちで徐福の行動に対する議論が始まった。


「うーん、男としては同情するが、呪いがかかっとるんじゃろう

そりゃ無理じゃて」


「いえ、これは呪いじゃないですね。特殊な魔法ですよ、見たところ

肉体を回復させるための丹田の前後のチャクラをメビウスの輪のように

無理矢理つなぎ合わせて、さらに、それを維持させるために、

尾てい骨にある、精力のチャクラを引っ張ってきてますね。

へー、こんなやり方があるんだ、でもどうやってチャクラどおしを

繋げられるんだろう?」

チャクラをループさせて、肉体が損傷しても、すぐに回復するようにさせ、

そのエネルギー源を、精力のチャクラから供給するようにしてあるのだ。


「な、そなたには、チャクラとやらが見えるのですか」


「開師匠は、儂らの魔法の師匠じゃぞ。魔法で、美子殿や土方の傷を治した上に、

チャクラキレートをして魔力回路も整えられる、魔法の天才ぜよ、

チャクラぐらい見えるさ」


「いえ、僕は天才じゃないです。てっいうか、これを考えついた、その女性の

方が天才ですよ。僕にはどうやって繋げているのかさえ分かりません」


「外せるのか」


「はい、繋げる方法は分かりませんが、外すぐらいなら」と

開は、指先に魔力を込めて、指が手術で使うメスになったイメージで

ループしているチャクラと、それに力を供給している精力のチャクラを

切り外した。


「お、おおー」パシッっという音がして、ヨーダのようなよぼよぼの徐福が

一瞬、光に包まれたかと思うと、黒髪豊かな、美少年が姿を現した。


「!!!あ、ありがとうございます。これでようやく死ねる・・」


「死ねるって・・」開の疑問に、

徐福は、これまでの悪事を泣きながら懺悔しはじめた。


ほとんどが女性がらみの事件で、(中には明智光秀をそそのかして、

信長を討たせたり、小早川を寝返らせて、

関ヶ原がひっくり返ったりする事件もあったが・・)

今更、言っても、しかたない事だと、いう結論にいたり、

結局、死んで償うよりも、開たちの日元国復活事業に、今後死ぬまで、

協力することで、その罪の償いをすることになった。


「そんな事、勝手に決めて大丈夫なんですか」開の問いに


「ああ、中国大陸を管轄する女媧(女神)とは、女子会でちょくちょく会うから

その時にでも、話を通しておくので大丈夫じゃよ」とあっけなかった。


(女神さまたちの女子会って・・)


「それはよかった。でも、もう怪我しても直ぐには治らないから、

無理しないでくださいね、徐福さん」


「はい、本当にありがとうございました開殿。私もこれからは

師匠と呼ばせてください」


徐福は、その後、変身できる黄色玉を使い、90歳で亡くなるまで、

陸奥たちとともに、日元国の情報収集で大いに力を発揮していったという。

ただし、女好きは治らず、正妻以外に5人の妾を囲っていたらしい・・。



****



美少女というよりは、美女といった感じの二人の巫女が、

なぜか、自分の胸を揉みながら、会話をしている。


「しかし、おなごの体っちゅうのはけったいなものじゃのう、

こない胸がふくらんでては、動きにくうて、かなわんぜよ」


「確かにのう、それに股間に何も付いてないというのも、

なんだか、不安になってくるなあ」


「あの、龍馬さま、土方さま、そんなに自分の胸を揉みながら

話をするのは、ちょっとどうかと・・」同じく巫女姿の美子が

顔を赤らめながらたしなめる。


「待たせたのう、準備はできているか」巫女姿の天照さまが、やってくる。


続いて、同じく、巫女の姿をした美少年の徐福に、

「いやだーなんで僕だけ、ジジイなんだよ」と年老いた徐福に変身させられた

開が引っ張られながら、やってきた。


「しかたないだろう、今すぐ使える変身薬が3人分しかなかったのじゃ」


ジジイが1人に巫女5人なら、相手も少しは油断するだろう、というもくろみもあり

天照さまはカツラだけ、美少年の徐福は髪も長かったので、巫女の衣装だけでごまかし、

龍馬と土方と開の3人が変身したのだ。


「だったら、龍馬さんか土方さんがジジイになればよかったじゃないですか」


「まあまあ、師匠、よければ後で、儂の胸を揉ませてあげますきに」


「え、本当に?だったら揉むより、ムギュって抱きしめてもらえると・・、いてー」


「しょうもないこといっとらんで、はよいくぞ」

開と龍馬が天照さまにゲンコツをもらった。


先頭に美少女に変装した徐福、次に天照と美子、後ろにジジイ姿の開

そして最後尾に巫女姿の龍馬と土方が並ぶと、天照さまの瞬間移動で

再び御所に飛んだ。



****



「こちらです」今度はすんなり侵入出来た開たちは、巫女姿の徐福の

案内により、陛下の部屋へと向かう。


「陛下、もうお休みでしょうか?一条美子です。急用があって、

中沼老師さまと一緒に参りました。入ってよろしいでしょうか」


「・・・う、う」返事の代わりに苦しそうなうめき声が聞こえた。


「陛下!」美子がたまりかねて、ふすまを開けると、

そこには、老人の姿になって苦しむ陛下?と、今まで陛下に口づけをして、

精力を吸い取っていた女性がいた。


「ぷはー、やっぱり若い男の精力はうまいなー」そう言いながら振り向いた

女性に開は見覚えがあった。


「お田鶴さま?なんで・・」


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