episode11
その場の勢いと思いつきで書いているとしか思えない内容ですがこれ本当に収集つくのか自分で書いていて不安になってきました。
不屈のHERO episode11
私の前に立つ3人の大男達。私が何で1人で相手をしようとしているのか。それは私がこの短い間にどれだけ強くなれたのか知りたかったから。
「ふぅ〜〜。」
大きく息を吐き大男達の方へ走り出した。
episode11
大男達は同時に攻撃してきた。ただただ重いだけの拳など今の私からしたら子供騙しなおもちゃにすぎない。私はそれを飛び越えて大男達の後ろに降り立ちすぐさま反撃へと移る。1人目の大男の膝裏を蹴るとその巨体は支えを無くし後ろに大きく倒れこむ。蹴った後くるりと勢いのまま周り一回転したところで私は上に大きく飛び体重を右足一本に乗せ大男の喉に落ち踏み潰した。するとそれを見て残り2人は巨大な拳を振りかざすその間を縫う様に通り抜ける。その動きに1人だけ反応し振り返り言葉ではない声で吠えながら殴りかかる。私はそれに合わせてナイフを投げた。だがこのナイフは目くらまし、小柄な私の体を視界から隠す囮。ナイフを振り払いその延長でそこに居ると錯覚した大男は殴りかかるがそこには誰も居ない。
「何処を攻撃しているの?」
大男の真上に飛び空中でクルリと体を回転させて右側頭部を蹴り抜いた。ゆっくり大きく倒れこむ大男の影からこれを狙っていたかの様に大男が拳を振り上げていた。
「っ!」
その容赦のない拳だったが私は飛び箱を飛ぶイメージでそれ飛び越え、そのまま顔面に膝をぶつける。大男の顔を覆っていた仮面は粉々に割れ後ろに倒れこみ地鳴りと鈍い音が私を包んだ。
「はぁはぁ…ふぅ〜……やった。」
私は自分のした事に喜び感動が体を駆け巡るのを感じた。ここまで強くなっている事に嬉しさを隠せなかった私。今まではお姉ちゃんと一緒でなければ倒せなかった相手を1人で3人も倒してしまうほどにまで成長できた事に凌くんや綾鷹さんに感謝した。だがそんな事に浸っている場合ではない。1人私をじっくりねっとりと見つめている。その男はただ私をみているだけなのに私の全てを察し見抜かれたかの様な錯覚を起こしていた。
拳を交える凌と大神は……。
「こんなもんかい鏡見!」
「言ってろ!」
ただひたすら互いの攻撃を避けては反撃するの繰り返しの中、初めに動いたのは大神だった。
「『崩山掌』」
地面に衝撃を与えて飛び散る石粒と土煙。それが目隠しになり少し目を逸らしたその少しの時間に大神の姿は目の前から消えた。俺は構えを崩す事なく辺りを見渡すが気配すら感じない。より深くそして念入りに大神の気配を追ったその時草むらから飛び出し手刀を突き出す大神。狙いはなんとなく予想できる。狙っているのは顔、もしくは首だ。人の急所であり鍛えることのできない数少ない部分そこを狙っている。大神は少し溜めを作り勢い良く手刀を突き立てるが体を回転させ避け、その反動を使い逆に裏拳で大神の顔を潰す…筈だった。だが拳を振り抜くと触れた感触はなくそこには大神の姿すらなく気がつけば目の前に姿はあった。
「どこ見てんねや鏡見!」
とっさにとったガードを蹴り上げられる。その時自分の目を疑った。蹴り上げた大神の後ろにもう1人大神がいたのだ。ガードも間に合わず大神の掌底が腹に食い込む。
「どうや鏡見。新しく開発した技『影身』や。」
「くっ。ただの残像だろ!」
「ちっちっち。ただの残像やないで。俺のこの残像は実体がちゃんとある。俺のこのスピードとそこから生まれたフットワークから完成したこの『影身』は実体と変わらん質量を持っとるんや。お前に本物の俺を捕まえられるか楽しみや!!」
そう言うとまたも姿を消した。俺はすぐに立ち上がって周りを大きく見渡したがやはり気配すら感じる事はできなかった。そしてまたも目の前に姿を表していた。今度は2人同時。だがどっちが本物でどっちが偽物かわからない。もしかしたらどっちも偽物かもしれない。…………考えるのを辞める。考えたって俺の頭では答えなど出ない。出るわけがない。ただ目の前にいる敵を倒す。それだけを考えた。
「はぁぁぁぁ!!『閃空拳』」
地面に転がる小石や石粒、砂煙が舞い上がる。そして目を覆う2人の腹に連続して蹴りを入れるがどちらも感触はなかった。
「きゃぁぁぁ。」
「春!?」
蹴りが空を切ると同時に春の悲鳴が聞こえた。俺はすぐに舞い上がった砂煙から悲鳴のした方へ走り抜けると千道が春の細い首を掴み持っていた刀を抜いていた。春の体には無数の切傷。そして顔にまでその傷は数多にあった。俺はそれを見てすぐに飛びかかろうとしたが大神がそれを邪魔する。
「どけ大神!!どかないなら踏み倒して行く!!」
「やって見い鏡見!!千道さんの邪魔はさせへんで!」
と『影身』で三方向から向かって来る大神。
「どけ!」
俺は強く地を蹴り真っ正面の大神の頭を鷲掴みにし地面に叩きつける。だが感触はなく後の2人はまたも『影身』で自分の分身を作った常に俺を囲む様に位置する。倒しても倒しても空を切る様なものばかり、こんなことを続けていたら春を助けられない。
「大神。私は先に帰るよ。今回の目的はこの娘だからね。その勇敢な『HERO』気取りの子は任せるよ。」
春の腹を一発力強く殴ると春は気絶しそのまま肩に乗せて千道は歩き出す。そんな姿を見て何もできない自分がいる。約束した。絶対守ってやると。
「うぉぉぉぉぉお!!!」
俺は目の前にいるいる分身達を薙ぎ倒し、押し倒し、蹴り倒し春の所へ急ぐ分身達は次から次と立ちはだかった。
"誰でもいいから…春を………春を助けてくれ!"
と強く願った時、千道に長剣を突き付け束ねた黒の長髪をなびかせる女性が1人……冬月だ。
「春を離してもらおうか。」
「やあ、夜城 冬月。君の妹はもらって行くよ。それとも1人じゃ寂しいから一緒に連れて行ってあげようか。」
「残念だがお断りだ。私は寂しがりやだが一緒に連れて行ってもらうよりもここに春を置いて行けば問題ないのだがな。」
と力を抜き流れるように首元へと刀を置くとツゥ〜っと血が流れる。
「この刀がお前の首を斬り落とすのが先か、お前が私の妹を離すのが先か。選ぶのはお前だ。」
「いいや。もう一つあるよ。私が君を倒して2人とも連れて行く。これが答えだ。」
冬月はその言葉を聞き迷う事なく刀を振り抜いた。
「どうした?私の首を斬り落とすんじゃなかったのか?」
「!」
冬月は確実に首を跳ねる気で刀を振り抜いただが千道はただ平然とその場に立っていた。
「人を殺す時は全ての事を見通し相手に選択もさせずに素早く息の根を止める。それが鉄則だぞ。」
そう言うと千道は春を地面に下ろした。
「さあ、今から稽古をつけてやろう。ほらどこからでも斬りかかってこい。」
刀を円を描くように回し顔の前で構える奇妙な男 千道。私は刀を上段に構える。あの男が何をして来ようが私がする事は一つ。千道を倒して春を助ける事だ。
「押して参る!」
「さあ来い。私がこの世界の真実を教えてやろう。」
先に仕掛けたのは私だった。奇妙な構えで待つあの男。私は上段に構えながら駆け寄り振り下ろすのではなく片手を離し横に薙ぎ払った。だが千道には当たらなかった。いや……確実に当たっているはずなのに当たらないのだ。私は次々に攻め続ける。下段から振り上げ横に大きく振り抜きその勢いを殺さずに回転し何度も突いたが当たらなかった。何一つかすめる事もなかった。
「わかるか?私と君の違いが?」
「ああ。わかるよ!」
「いや。君にはわかるはずがないんだ。」
「っ!」
息をするよりも速く私の前に立った。そこから見えるこの男の顔は笑みを浮かべている。その顔に恐怖と悪寒を感じ後ろにすぐさま飛ぶのだが………。
「君と私の違いは経験と圧倒的とも言える技術力さ。」
その言葉よりも速く私の肩を貫く刀。そしてそのまま押し倒される。
「君はまだ発展途上さ。だが君はそれ以上成長できない理由がある。それはね、目の前の事だけを見過ぎている。これの意味がわからないければ君はこれ以上強くはなれない。まあ、もうそんな事考える意味も必要もないんだがね。」
言いたいことを言い切ると千道は容赦なく私の腹に鞘を強く突き立てる。そしてゆっくりと目の前の景色が真っ暗になっていった。
大神を相手にしている間に冬月が捕まってしまった。その時俺の中の何かが激しく揺れ動いた。
「ん?どこ行ったんや鏡見!」
「冬月を離せ!!」
後ろを向き冬月を抱える千道の後ろから殴りかかる俺。いつ大神の壁を抜けたのかはわからなかったがそんな事今はどうでもいい。今は2人を助ける事が最優先だった。
「君も私の邪魔をするのかい?」
千道は抜いた刀を何の迷いもなく俺に振り抜くがゆっくり体を捻りその刀を躱す。そして力一杯握った拳が千道の顔面にヒットする。力を逃がさずに肩を前に出して拳を振り抜く。冬月は千道の手を離れる。そして千道は後ろへ倒れた。
「はぁはぁ。ふざけんなよ。誰がお前らに2人を連れていかせるか。まだ俺がいるんだぞ。」
「何やっとんねん鏡見!!お前の相手は俺やろが!!」
「知るか!!俺は仲間を助けただけだ!なんか文句でもあるのか!」
「ああ。私にはあるよ。」
目の前に倒れていた筈の千道は俺の後ろにいた。そして俺の体からは真っ赤な血が流れ出す。それは一箇所だけではない。体のあちこちから血が吹き出し俺は膝から崩れ落ち声が出ない。千道の靴だけが俺の目には映る。
「君には『大切なもの』を守ることは出来ない。助ける力もない。想う愛がない。夢を死んでも叶えてあげたいという欲もない!相手を想うだけで相手の気持ちを受け取ろうともしない。そんな君が『HERO』の真似事などしても何も出来ることはない、出来る筈がない!!せめてそこで大切な人を想い死ね。」
そして千道は冬月を腕に抱え春を肩に乗せて歩き出す。そんな中千道の言葉に何も言い返すどころか声さえだすことさえ出来ない自分が悔しかった。とても惨めだ。そんな絶望の淵に立たされている時駆けつけたのはやはりあの人だった。
「『閃空拳』」
千道の行く手を爆風が塞いだ。そしてゆっくりと振り向く千道。
「またか綾鷹 真。」
「久しぶりだな。だが今は2人を返してもらうぞ。」
「今のこの状況で取り返せると思うのか?」
「ああ。」
2人は沈黙を保ったまま睨み合う。
続く。




