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不屈のHERO  作者: ポテ男
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episode1

誤字、脱字が多々あると思われます。

気になった方はコメントなどで指摘の程宜しくお願いします。

不屈のHERO episode1


ゲームやアニメや漫画の様にヒロインがピンチの時すぐに駆けつけて自分の大切な人のために全力で戦う主人公という『HERO』に憧れていた。だから幼い頃から始めた空手、今では中々の実力者にまで成長したと思うが現実はゲームやアニメや漫画の様にヒロインがピンチになる事はなかった……。そんな出来事が起きるはずもない事は自分でもわかっていた。けどそんな事がこの現実に一つでもあれば俺は『HERO』になれたのになんて考えている自分がいる。自分でも頭の悪い事を考えていることは重々承知の上だ。

けれど俺はそれでも思ってしまうのだ。こんな何の変化もない世界にゲームやアニメや漫画の様な現実にはない『現実』が一瞬でもいいからと……。

そう諦めに似た感情が芽生え始めていた頃俺『鏡見 凌』の目の前にそれは現れたのだ。

あの雨の降る日に…………。


episode1


雨の降るいつもどうりの学校の帰り道。雨で出来た水溜りが点々とある何の変哲もない道に不自然にあるものがあった。それは真っ二つになった電柱だ。その電柱は何かでスパッと斬れ味の良いもので真っ直ぐ縦に斬られた様に思えた。そして周りをよく見ると道には数えきれないほどの斬傷と凹みがあった。俺はその状況にワクワクしていた。これが俺の求めていたものだと思った。俺はすぐに周囲を見渡し痕跡を探すと遠くにある建設途中のマンションが急に音をたて、崩れていった。俺はそれに驚きはしたが、ワクワクがさらに加速し止まることはなかった。これをほおっておくわけにはいかず俺は、急いで切傷や凹みのできた道をたどって走った。


どれくらい走ったのかわからないが行き着いた場所は公園だった。そこで斬傷や凹みを探したが何処にも見つからず肩を落として、ため息を大きくついた。

「あり得ないよな……。俺が期待してるものはこの世界にはないのに何期待してんだよ俺は……。」

その時だった何の変哲もない公園に1人の女性が降り立った。俺は彼女に釘付けになった。どんよりと暗い雨の中で街灯の光で照らされ水滴でキラキラと輝く黒髪に血よりも紅いネクタイとブレザーの制服。そのスカートの下から伸びるスラっとした脚。どれをとって申し分ない、そう彼女は夜の空を照らす月のようだった。だが気になることが1つあった……彼女の手には、彼女の身長を軽く超える刀が持たれていた。彼女が周りを見渡したその時、彼女の後を追ってもう1人、空から降ってきた。地面に着地すると同時に地面が揺れ動き土煙が舞う。土煙が晴れ俺がそいつを目にした時自分の目を疑った。身長が2mを軽く超えた大男。囚人服みたいな服に首には鎖が繋がったまま首輪、腕と手を覆うように分厚い鉄のクローブをしている。そして顔には鋼鉄の仮面。こんな奴がこの世界にいたとは驚きだ。熊だって会っただけで気絶してしまいそうなぐらい迫力がある。……などと考えていると突然、彼女が大男に向かって走り出し刀で斬りかかった。俺の目の前で彼女と大男が拳と刀を交えていた。彼女は、大男の攻撃を避け、大男は、斬られ続けている。だが両者ともにダメージはないようだ。大男の服が破れるだけで肉体には傷一つついていなかった。すると彼女は……。

「いい加減にしてくれ。お前などにかまっている暇などないのだ。」

多分そう言ったように聞こえた。彼女は長剣を居合のように振り抜き、瞬く間に大男の後ろに立っていた。すると大男は、膝から崩れ落ち、その場に倒れこんだ。それが起こったのは、2人が目の前に現れてから数分のことだった。そして彼女はゆっくり周りを見渡すと傍観していた俺を見つけてしまった。

「お前………見ていたのか。」

彼女は俺を見るなり、こちらに猛ダッシュして納めていた刀を取り出した。俺はとっさに持っていたカバンと傘を手放し、迎え撃つ構えをとって見せる。すると彼女は少し笑い刀を寝かせて突っ込んでくる。そのとっさの行動に俺は勝ち目のない戦いを選んでしまったんだなと後悔しながらも構えを解くわけでもなくただ殺されるの待ち構えるのだった。何故殺されそうになっているのか自分でも意味がわからないが美少女に殺されるのなら本望だと覚悟したその時、隣の道からもう1人女の子が飛び出してきた。その娘は彼女と同じ制服を着ていて彼女に引けを取らないほど美しく容姿をしていた。少し色の薄い茶色のセミロング、身長は160〜165cmぐらいの小柄な体型。彼女に比べれば一回り小さいその体で彼女は俺を刺し殺そうとする娘の前に立ちはだかった。

「危ない!!」

その一言と共に片手を伸ばしその娘を抱き寄せ、もう片方の手で刀の軌道を奇跡のように逸らした。

「大丈夫?怪我はない……よね?」

「はっはい。」

彼女が俺の顔を見上げる。その顔は、人形のように整っており、白い絹のように綺麗な肌していた。そして俺を見るその瞳は母に抱かれたような暖かさを感じさせた。そんな見惚れている暇などないはずの状況で彼女に見惚れていると首元のあたりでカチャっという音が聞こえた。

「こちらを向いてもらおうか!」

強い口調で命令するその声に従って前に目をやると彼女が俺の首元に刀を向けている。その時顔を見ることができたのだがこれまた整った顔立ちのお嬢様。俺が今抱えている娘が太陽なら彼女は思った通り月のよう存在だった。凛とした顔立ちに吸い込まれそうなほど綺麗な深い黒の瞳。俺はとんでもない美少女と美女にであってしまったと神様に心の底から感謝した後、今から死ぬかもしれないこんなふざけた運命にした神様を呪った。

「お前は誰だ!奴等の仲間か?」

「へっ?」

「お姉ちゃん!」

その娘が突然そう言って彼女に寄り添った。

「お姉ちゃん!この人どうみても一般人だよ!彼奴らの仲間だったら私なんて庇わずに人質にとってるよ。」

「だがこれが私達を油断させる演技だったらどうする?」

「何でそう思うんだ?」

「…………そんな風には見えないから?」

「…………。春がそういうならそうなのだろうな。」

俺抜きで話がドンドン進んで行く。どうも2人は姉妹らしく俺が助けた娘は、春と言う名前らしい。響きが良い名前だと思った。

「おいお前!今日見たこと聞いたこと全て忘れろ!それが出来なければお前は死ぬことになる!わかったな!」

「そう言うことだからごめんなさい。あと、庇ってくれてありがとう。じゃあね。」

そう言って2人は雨の中を走り去っていって。俺はその姿をボーッと見るだけで何の整理も出来ずにいた。不図、大男が倒れているのを見た時彼女の言葉が脳裏をよぎる。

「忘れないと死ぬ……っか。冗談にしては中々迫力があったな。」

そしてもう一度大男が倒れているはずの場所を見るとそこには何もなかった。俺はすぐに確認したが周りには誰のおらず俺1人だった。そして俺はその後2時間その一帯を探し回ったのだった。


場所は変わって俺の家。俺の家は、この街……いや街と言うより一つの学園と言った方がいいかだろう。四方を山に囲まれているここに建設されているのが俺の通う学園『私立帝学園』。ここは大規模な学園で街全体が一つの学校になっている。そこに通う生徒はこの街に住んでいる。この街に入るのも出るのもこの街で発行されているIDがあれば自由で校則もそれほど厳しくない。ただこれだけは守らないといけないことがある、それは『自分のやりたいことに責任を持て!!そして自分の信じたものを全力で信じ抜け!!』と言うものだ。俺はそうゆう所が好きでこの学園に入った。学費も安いし、入試なんてないようなものでただ面接があるだけ。他の学校に比べれば自由すぎるほど自由な学校だ。だがその信念にも似た志に背けば即退学と言うシビアな一面もある。そんな学園での俺の住む家は街外れのマンション。勿論、男子寮というものがあるのだがこの学校に行きたいとじいちゃんに言った時じいちゃんが俺に言った言葉。

「もう1人暮らししても良い年じゃからな。一人暮らしするんなら寮じゃなんじゃ、別の所に住みんさい。その方がいいじゃろ?三年間男だらけの所より少しはええじゃろ。これからは1人で何とかしていかんとあかんやれうけど頑張るんじゃぞ。ばあちゃんにはワシからゆっといてあげるさかい。」

と言ってくれた。ばあちゃんもじいちゃんの説得のおかげで了承してくれた。

ここで疑問が出ると思うが何でじいちゃんやばあちゃんが出て来て母親や父親が出てこないんだと思っているだろうが俺の親は小学6年生の時に交通事故にあって死んだ……………と思う。と言うのも遺体も見つからず行方をくらましている為だ。母さんと親父の仕事は研究所で何かの実験をしているそうだがよくは知らない。だが仕事場までの道の途中、一部のカードレールが突き破られたように壊れていた。事故にあったのが親父と母さんだということがわかったのは、その場に母さんと親父の私物が落ちていた為と、その下の谷から親父達の乗って行っていた車が見つかった為。だがとうの本人が車から脱出したあともなくあったのはそこに座って運転しいたという事実だけだった。結局、2人は見つからず未解決事件として処理された。そんなことがあったため一人っ子の俺をじいちゃんとばあちゃんが育ててくれた。

とまぁ、こんな話はもういいだろう、話を変えよう。俺は今日のことを忘れようとしたがあれだけのものを見てしまったら忘れたくても忘れることが出来ない。そして考えてしまう。何故彼女達が大男と戦っていたのか、彼女達の言っていた彼奴らとは何者なのか。そして彼女達は何者なのか…………と考えるだけで笑みが止まらなかった。もしも彼女達に関わることで自分がゲームやアニメや漫画のような『HERO』になれるのではと考えるだけで居ても立ってもいられなくなったがあの時何で俺は彼女達を追わなかったのだと今になって後悔していた。そしてもうこんな俺の望むような事は起きないだろう。現実にそんなものを期待してしまった事に今頃になってまたも後悔したしてしまう。そして俺はその後悔と共に眠りについた。


「……い!……おい!…………おい!!いい加減起きないか!!」

「………。」

「…………そうか。もう優しく起こすのは止めだ。少々手荒だが仕方ないか。」

「ちょっとお姉ちゃん。乱暴に起こしたら怪我しちゃうよこの人。」

「そんなこと私のせいではない。私が起こしてやっているのに起きないこいつが悪い。いいかお前。いくぞ。覚悟はできているな!」

「うっ!?」

突然、腹に激痛が走り痛みで目が覚める。寝ている俺の腹の上に何かが乗っているのがわかった。上に乗っているそれは、人肌に暖かく、柔らかかった。暗くてよくわからなかった為俺は手探りで上に乗っているそれを確かめることにした。そしてそれに触ったところ、それは非常に柔らかかった。

「どっどこを触っているのだ変態!!早くその手をどけろ、このエロザルがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

という怒鳴り声と共に強烈な一撃が顔面に炸裂した。信じられないほどの衝撃が走る。先ほどの痛みだけで目が覚めていたのに今のでまた眠りに入ってしまいそうになった……と言うより意識が遠退きそうだった。俺の上にいる何か目で確かめる。それは公園で大男と死闘を繰り広げていた彼女だった。彼女は俺が目を覚ました事を確認するとスッと立ち上がり徐に片足を上げた。

「ぶっ。」

無言で一発顔に蹴りをいれられた。と言うより踏まれた。その後も何度も顔や体に蹴りや拳を惜しみなく入れ続ける彼女。

「お、お姉ちゃん!それ以上したら本当に死んじゃうよ!!この人を助けにきたんでしょ!!」

「しっしかしだな!!こいつは、わっ私のむむ胸を触ったのだ!これだけは許せん!忘れるまで蹴り続ける!」

"………あの感触は、胸だったのか………。どうりであんなに柔らかったのか……。"

などと変態じみた事を思いながら感触を思い出そうとしている自分がそこにいる。これは男の性というものなのだろう。すると彼女は……。

「何を思い出そうとしているのだ!」

そう言って全力で顔を踏まれた。正直、気絶しそうなぐらい痛かった。それっきり攻撃はしなくなったのだが俺の隣にちょこんと座っていた俺の命を救った?女の子春が話し始めた。

「大丈夫ですか?」

「なっ何とか……。」

「良かったです。では私達の話を落ち着いて聞いてください。あなたは私のお姉ちゃんと大男の出来事を見てしまったせいで無条件で殺されるかもしれません。」

「…………えっ?」

とその場の空気も状況も理解できずにいた。

「えっと~~。君のお姉ちゃんとそれ以外の人に?」

「お姉ちゃんは、違いますがそれとは違う大男のマスターですね。後お姉ちゃんは、あなたを殺そうとはしましたが本当に殺そうとしたわけではありません。本気で殺そうとしたなら刀で斬られておしまいです。」

彼女のその言葉に納得し、彼女の持つ刀に目をやるが恐ろしくて目をすぐに逸らした。

「でさ、その大男のマスターって誰なんだよ。」

と別の話題に変えると春という少女は俯きそして………。突然部屋の奥の窓がわれた。そこには、公園で倒されたはずの大男だった。だがそれは1人だけではなく、2人、3人と部屋の中に入ってくる。それだけで部屋は窮屈に感じた。

「くっ!おい、お前!ここからできるだけ遠くに逃げろ!後は私達でなんとかする!」

「いや!俺もやってやる!!」

「うるさい!!早く行け!ここにいられたら邪魔だ!」

「ちょっ!待っ!」

そう言って俺の背中を蹴り飛ばした。無理矢理に外に出された俺は戻ろうとすると足下にナイフが突き刺さった。これは完全にこっちに来たら私が殺すと脅しているようなものだ。俺は言われたとおりその場を離れた。俺は、この時まだわからなかったのだあんなことが起こるなんて。


続く。


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