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死に戻りと待ちぼうけ

隊長!メガネがやられましたぁ!


…はい、私の普段使いのメガネを壊してしまいました(;´Д`)ヤヴァイ何も見えないぃぃ

 勉強会が終わりすぐ家に帰った俺はレンにメールを送った後A・Oにログインした。


「よぉし、これで思い残すことなく遊べるぞぉ!早くレンの奴インしねぇっかな。」


 俺は噴水に向かって歩き出す。が、途中で歩を止める。


「ちょっとだけなら良いよな?きっとレンの奴のんびりしてからインするだろうし…。」


 初日にインしたときは殆どの時間をアインの街の観光に割いてしまい実は一度も外に出ていない為、外の世界を見たい願望で思考が埋まっていた。


「よし、チラッとだけでも見に行こう!」


 街の外に向かって俺は駆け出した。伊達に観光しただけはあって地理は頭に入っている。幾つかのショートカットを使い俺は街の外に出た。


「うぉぉ!!まじやべぇ!!」


 見渡す限りの緑の草原に俺は感動した!遠目にはMobと戦うプレイヤーの姿が見える。


「くぅ、なんか興奮してきた!俺も戦っていいよな!?いいよな!?」


 テンションが最高潮に一気に上がった俺は武器のブロードソードを装備して草原を駆ける。駆けた先には二匹の狼の様なMobが居た。片方は何か少し大きい気がするが気になんてしない。倒せばよかろうなのだ。


「先攻頂きぃっ!!」


 スピードをのせた一撃は小さい方の狼MobのHPを一撃で刈り取った。大きい方の狼は突然の奇襲に唖然としているようだった。


「うぉら!隙ありぃ!」


 そして狼のがら空きの首に会心の一撃が叩き込まれる。筈だった。


「なぁ!?」


 狼から赤いオーラが立ち上り会心の一撃は弾かれる。オーラに包まれた狼は光のエフェクトとなって消えていく片割れの狼に向かって悲しそうに一吠えしコウタに向き直る。先程の悲しげなものと打って変わって怒りのこもった咆哮が響く。


「くっ!?体が!?」


 コウタの視界の隅に状態異常『すくみ』と出ていた。驚く間もなく狼が襲い掛かってくる。


「嘘だろ?」


 コウタはなすすべもなく狼の咬みつきの一撃をくらい視界が真っ暗になる。


 目が覚めると噴水の広場に立っていた。


「くそ、死んじまったか。あーあ、欲出して一人で外に出ないでレンを待って居れば良かったな…」


 昂っていたテンションも一気に冷めていった。


「ん?あれナツ姉か?」


 広場に据え付けられたベンチにナツ姉のアバターが座っているのが見えた。宣言イベの後会っていたから直ぐに夏姉だと分かった。相変わらずクオリティ高いアバターだよなぁと思いながら、とりあえず手を振ってみることにした。


 ◆


 はぁ、ディレクターに怒られるわ、レンきゅんすぐ落ちちゃうわ、開発スタッフが何か癒しがどうとか狂うわでもう嫌になっちゃうなあ。昼もレンきゅんインするかもってリアル一日張ってみたけど全然来ないとか…。これは泣いていいレベル。もうリアルは夜の筈だ。目の前の景色は昼そのものだがA・Oは現実時間より二倍のスピードで時がたつ。夜にしかイン出来ない学生や社会人の為にだ。つまりここでは二日ぶっ通して張っている事になる。


「はぁ、レンきゅん来ないかなぁ…流石に待ちくたびれちゃうよぉ。おねぇちゃんウサギメンタルだから孤独死しちゃうよぉ…」


 ふとこちらに手を振って歩み寄ってくるプレイヤーに気付きレンかと思い顔をそちらに向ける。


「レンきゅん!?…なんだ、コウ君か。はぁ…。」


 歩み寄ってきたプレイヤー、もといレンきゅんの幼馴染のコウタ君、ここではコウというキャラネームにしている。


「ちょ!?会ってすぐ溜息とか流石に俺でも傷付くよ!?」


「だって待ってたのはコウ君じゃなくてレンきゅんだもん。」


 はぁ、どうせ来るならレンきゅんも呼んで来て欲しかったなぁ。


「レンの奴にはメールでここで待って居るって言っといたから多分すぐ来るんじゃないかな?」


「マジで!?」


 良くやったコウ君!君への評価を5アップしておこう!!後ついでにウサギメンタルについてこっそり笑っていたのも多めに見といてあげるよ!


 私は期待に胸を膨らませレンきゅんを待つことにした。


 ◆


 い、何時になったらくるんだよレンのバカ野郎!だんだん夏姉さんからの圧がきつくなって辛いぞ!?

 気を紛らわせるのとナツ姉からの圧から逃げるためにブロードソードで素振りをしているが周りの視線が痛いものになってきた。ついでにソード系のスキルも上がってきた。


「コウ君…まだ?」


「きっと晩御飯でも食べているんでしょうよ!」


「それさっき聞いたよコウ君?」


「あ、あははは、きっと長風呂でもしているんでしょうよ!」


「それさっきも聞いたよコウ君?」


「あ、あれだ!きっと今は髪乾かしているんですよ!」


「そっか髪は乙女の命だもんねきっと念入りに丁寧に乾かしているんだろうね。」


 レンは女みたいな顔つきだけど男だよとは口が裂けても言えないコウタだった。

 リアル時間で朝を迎えるだろう時間あたりになった。


「レンきゅーん、まだー?」


 うわわ、とうとうナツ姉が待ち切れず体育座りで泣き出した。畜生!泣きたいのは俺もだよ!というかもう半泣きだよ!


 そんな謎の修羅場の中一人の目を引く程のハイクォリティなレンの面影を持ったアバターのプレイヤーが現れた。


 ◆


「…あれか。」


 私は二人に向かって歩く。


「姉さん、おはよ。そっちはコウ…タ?あ、コウって名前にしたって言ってたね、おはよ。それとコウ、昨日はすぐ寝るよって言ったけど覚えてた?メールは朝読むだろうと考えて送ったものだよね?まさか忘れてたり考えずに送ったりしていないよね?」


「れ、レンきゅん!?」


「ギクギクゥ!!?」


 あからさますぎるよコウ…。


「うわぁぁぁぁん!!れぇんきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんだぁぁっ!!!」


 急に立ち直った姉さんが突撃してきた。


「うわっ!」


 私は姉さんの突撃の運動エネルギーを利用して姉さんを真上に放り投げた。


「にゃぁぁぁぁああああ!!??」


 珍妙な声を上げ落ちてくる姉さんをキャッチする。


「姉さん、はしたないからもう少し落ち着いて、ね?」


「ご、ごめんなさい。」


「ははは、これじゃぁどっちが年上かわからすいませんっしたぁ!!!!」


 コウはセリフの途中で姉さんに睨まれたようで急に土下座を始めた。姉さんが20ポイント減点ねと呟いている…スルーしておこう。


「二人とも、ここじゃなんだし移動しよ?流石に視線がキツイよ。」


 先程まででも充分に視線を集めていたのに今のこの一連の騒ぎで注目していない人は居ないほどに見られていた。


「そうだね取りあえずレンきゅんが来た以上ここに留まる理由ないもんね。」


「俺も賛成。」


「コウどこか良い所無い?」


「おう、確かメインストリートの隅の所にオシャレで落ち着いた感じの喫茶店があったからそこにしよう。」


 私達はコウタの勧める喫茶店へと向かうことにした。

はい、今回はレンが寝ている間に起きたコウタとナツ姉のお話でした!次回はレンのこのA・Oでの活動目標をかけたらいいなって思ってます。

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