初戦闘は丸腰です
連続投稿その参
私は改めてオコッタさんを見る。体長50cmでくすんだ茶色い体毛。チャームポイントは黄色い安全第一のヘルメットと、使い込まれたツルハシ。そして眉毛の凛々しいもぐらだ。
「青いオーバーオール着てたらまんま何処かの森のもぐらにしか見えないや。っと、集中しないと。」
私は迫るオコッタさんを見据える。
「何ていうかとってもファンシーな光景だよね。」
ロケットの如く飛来するオコッタさん。
私はさっと避ける。
「ええ!?追尾!?」
なんとオコッタさんは空中で軌道を変えて再び突っ込んできた。なので再び避ける。
「わわわ!?」
避け切ったつもりだったが、尻尾を微かに掠ってしまったようでHPが少し減ってしまった。
「むぅ、こうなったらやるしかないよね。」
どのみち逃げても背後から攻撃されて死に戻るだろうしね。
再びオコッタさんが突っ込んでくる。
「せぇの!」
ーパシッ
私はオコッタさんを手でキャッチした。正確にはヘルメットを掴んだ。
「うわ、今のでHP半分も削られたのか。っと、えい!」
そのままオコッタさんを振り回す。オコッタさんはツルハシを捨て慌ててヘルメットが外れてしまわないように小さい手で抑えだした。
「ん、これは、思わぬところに弱点が!」
私がそのまま振り回していると目が回ったのかオコッタさんはヘルメットから手を放してしまった。オコッタさんは草原に放り出された。
「わ!?抜けた!」
飛んで行ったオコッタさんをみると未だ目が回っているのかフラフラしている。ヘルメットがあった場所はツヤツヤと光沢を放っていた。
「オコッタさん、ハゲだったんだ。」
とりあえずは…。
「追い打ちしておこう。」
…うーん、素手で殴るのは何かためらわれるなぁ。おや、こんなところにヘルメットが?よし、これで…。
「てやぁ!」
パッカァーンという音とともにオコッタさんは光の結晶になって消えた。つまりはいまのでオコッタさんに勝ったということだ。
「ふぅ、やれやれだね。あー、何か疲れちゃったな今日はログアウトしよっと。」
オコッタさんを倒した後何かのファンファーレで五月蠅かったけど。きっと勝利のファンファーレだろうな。私はログアウトボタンを押す。あ、そういえばコウタにあわなかったな。まぁいいか。
思うに始めてから15分も経っていない気がする。そう思いながら私はログアウトした。