姉からの荷物
駄文ですがドゾ
ある日、…というか夏休み前日にある荷物が届いた。姉からだ。
「ん、珍しいな姉さんから荷物が届くなんて。」
私の姉は余り家には帰ってこない人だ。確か大手のゲーム会社で働いてるって本人が言ってた。私と年は12もかけ離れていて血は半分だけ繋がってる。今は亡きお母さんの連れ子だったそうだ。とにかくやることなすこと全てが独創的で不思議な人だ。そんな人から何が送られてきたのか確認するべく荷の包装を剥がしていく。
「えっと、これは…」
白くてヘルメット的な物の付いた機械が入っていた。あと何かのパッケージ。なにコレ?…あ、そう言えばテレビでいつか見た気がする様な。うーんと、なんだったっけなぁ?
私は思い出すべく、記憶の中を洗いざらい探してく。
「あ、学校行かないと。」
思い出したのは今日の予定。今日は一学期の終業式。私は時間を見る。
「うん、急がないと遅刻するね。」
私は両親の仏壇の前でお参りをし、サンドイッチ両手に学校へと向かうのだった。
★
遅刻すると言いつつもホームルームの20分くらい前には着くことが出来た。
「おはよう」
私は隣の席の女の子に挨拶する。
「お、おお、おはやう!?きょ、今日は珍しいね。いつもは誰よりも早くきて席で寝ているのに…いつもの寝顔が見られなゲフンゲフン」
「うん、姉さんからなんか荷物が届いてね。見てたら時間が結構過ぎてて来るのが遅くなったんだ。」
いつも通りキョドっているね。さて、とりあえず寝よっと。
「あ、ええと、おやすみなさい?」
「うん、おやすみなさい…」
意識が落ちる瞬間写真を撮るような音と「レンくんのく、口にマヨネーズが!?こ、これはレア物だわ!」「わわ!ちょっとチエ!わ、私にも!私にも送って!」「分かってるわよミヤコ!レンくんは共有すべき財産よ!」みたいな会話が聞こえた気がした。けど、眠気でそんな事はすぐ忘れ夢の世界へと旅立つのだった。
「起きろ!レン!」
聞き慣れたうるさい声に少し目を覚ます。
「むぅ、…なんだコウタか。おやすゃぁ」
そしてまた夢の世界へ…
「寝るな!?聞け!レンの所にもナツ姉からの荷物届いたよな!?」
行き損ねた…。
「もぉ、うるさいなぁ。届いたよ、アレなんだっけ、名前を思い出せないんだよね。テレビで見た気はするんだけどさ。」
「おま!?正気か?今や全世界を騒がせていっているといい新世代のゲーム機のことを!?」
「あ、あれゲーム機なんだね。あ、そう言えばそう言ってた気がするよ。そう言えば何で姉さん送ってきたのだろうね。」
「はぁ、もう、突っ込まないぞ。ナツ姉が働いてるゲーム会社は覚えてるか?」
「忘れた。」
「アセンションだ。それでナツ姉が送って来たのは明日発売の世界初のVRMMOのゲーム機ナーヴヴィジュアルギア略してNVGとそのソフト《アーキテクト・オンライン》だ。つまり、ここまで聞いてわかるか?」
「そのゲームを遊んでねって事?」
「そのとおり!しかも今日の深夜0時から発売!そんでもって同時にサービス開始なんだぜ!」
「そかそか、とりあえずインしてみるね。それより…」
「よっしゃぁぁああ!今からが楽しみでしょうがアイタァ!!!?」
後ろに先生居るよー。って遅かったか。
「木下、楽しみなのはわかるが静かにしようか。」
「あ、古守先生おはよう。」
頭押さえて悶絶してるコウタをスルーする辺り皆コウタの扱いを覚えていっているんだなと感心する。
「おう。さて、皆体育館に集合しろよ。時間厳守でな!」
今日はホームルームはなく、そのまま終業式らしい 。まぁ、いいか。どうせ寝るし。
私は枕を持参して終業式に挑み、先生に枕を奪われる。しかし隠し枕を取りだし終業式を寝てやり過ごした。終わり際に先生が枕を返しに来たけど私の持ってた隠し枕をみて何かを諦めたような目をしていたのがとても印象に残った。
「あ、そうだレン。ナツ姉からの伝言だ。インするなら9時にインしてね~だそうだ。」
「ん、わかった。あれ?何でコウタから伝言が?」
「手紙読み忘れてるかもしれないから。だとさ。」
「手紙?気付かなかった。」
「やっぱり…。」
「そんじゃまぁ伝えたからな!」
コウタはそう言うと駆け足で帰っていった。なんでも格好いいアバターの容姿を考えるかららしい。
★
そうして向かえた夜9時。
「よし、繋ぎ終えた。」
私はNVGをセッティングしソフトを…と言ってもアカウント作成用のコードなのだけどもそれを入力する。そして白いヘルメットみたいなNVGを被り、
「ええと、ログイン?ダイブ?コネクト?」
起動するための起動ワードがわからなかったのでそれっぽいのを並べて言ってみる。すると、どれかが合ってたようで私はVRMMOの世界へ吸い込まれていった。