衛兵職務
起きたら朝だった。
かなりの時間寝ていたらしい。
第二宿泊キャンプを出て、畑の近くにある井戸で顔を洗った。
この井戸、どうやら新たに掘ったらしい、水が出なかった井戸は落とし穴にしているのか。
グレッグがもうすでに見張りをしていた為僕もキャンプの周辺を警備した。
ゾンビが遠目で見えるものの、脅威ではないだろう。
しかし、倒しておいたほうがいいかもしれない。
すると遠目のゾンビが倒れた。
グレッグが矢を放ったのだ。
グレッグは走って矢を取りに行った。
矢も重要な物資ということか。
物資といえば、街中には大量にありそうだが……。
僕は、洗濯をしているレベッカに話しかけた。
「街に物資があると思うんだけど、街に関して何かある?」
僕は聞いた。
するとレベッカが答えた。
「街には、大量にゾンビがいて危険よ、グレッグが門を閉めたからよかったけど」
常に爆弾を隣においているようなものだな。
「なんで、ここにキャンプを?」
別の場所のほうが安全性が増しそうなものだが。
「それは、いつかこの街のゾンビを倒そうって思ってるからよ」
レベッカが言った。
なるほど、キャンプで生活しながら街開放を目指すのか。
グレイが僕を見つけたのか近づいてきた。
「スパイク、喧嘩だ、止めてくれ」
グレッグの方を見るとなにやら男二人が揉めていた。
「おい! 何してるんだ」
僕はすぐに駆けつけた。
男達の1人はドワーフでヒゲが生えていて職人らしかった。
なぜこんなことがわかるかというと、これもスパイクの知識だ。
もう一人は普通の人間だ。
「こいつが俺の剣を盗んだ!」
ドワーフの男は叫んだ。
するともう一人の若い男がすかさず吠えた。
「違う、これは俺の剣だ、先に見つけたのは俺だ」
なるほど、物資の取り合いだったか。
解決方法は1つだ。
「これはどちらの剣でもない、キャンプの物だ」
そう言って僕は剣を取り上げてレベッカに渡した。
するとドワーフの男が憤怒して殴りかかってきた。
「何しやがる!」
僕は、ドワーフの男の拳を掴み受け止めた。
「あんたは、鍛冶屋だろう? 自分で満足するものを作れるんじゃないか?」
ドワーフは少し落ち着いて、拳を離して言った。
「あれは、俺が憧れていた鍛冶屋が王族に捧げたものだ、鍛冶屋として近くに置いておくと良いものが作れる気がして……」
ドワーフは、少し考えて言った。
「じゃあ俺がもらう!」
若い男が叫んだ。
「ああ、俺に勝てたら渡してやるよ」
若い男に向かって僕は睨んだ。
すると若い男もなにか納得したような溜め息を出した。
「おい、ハンクあの剣はこいつが持つべきだな」
ハンクとは、喧嘩相手の若い男であった。
「ああ、ジャネットそれで決まりだ」
ハンクはそう言った。
「いい衛兵だな、レベッカ」
ジャネットはそう言って持ち場に戻って言った。
周りのギャラリーは消え、場にはレベッカと僕だけになった。
「さすがスパイクね、昔と変わらないわ」
レベッカは言った。
いや、元のスパイクは死んでいる。
このことについてやはり伝えるべきか。
「レベッカ、俺はその、スパイクではない」
僕は言った。
「どういうこと?」
レベッカは言った。
「俺は異世界から来たんだ、死んだスパイクの体に魂が入ったんだ」
僕は言った。
「転生者ってこと? じゃあ元のスパイクは……」
レベッカが落胆して泣き始めた。
「生きてるだけで死者を冒涜してるみたいで気がかりだった、その僕はこの世界に来てまだ3日目なんだ」
僕は言った。
しばらくして落ち着いた後レベッカは呟いた。
「元のスパイクとは何かあった?」
レベッカは聞いた。
「いや、何も、霊との会話とかもなかったし」
僕は言った。
「転生者は珍しくないけど、スパイクの体に入るなんて、運命のいたずらかしら、とにかく新しいスパイク、勇気を出して話してくれたことには感謝するわ」
レベッカは言った。
「ああ、皆にはこの事いうべきか?」
僕は聞いた。
「あなたを知らない人には言う必要もないわ、グレイは、スパイクの親友だったし悲しむと思うけど、言うべきね」
彼女はそう言って持ち場に戻って言った。
やっぱり言えずにはいられなかった。
僕がスパイクと話しかけられるたびに心の中で違和感を感じるのだ。
僕は、また警備に戻った。
すると、グレッグがなにやら不安げに街の門を見ていた。
門の近くにはうめき声が聞こえた。
「今は門を倒してはきてないけど、いつか門を倒してくるんじゃないか」
グレッグは言った。
「街の中のゾンビを殺せばその脅威はなくなるけどな」
僕は言った。
「街の開放を目的にするのと、場所的に人間に会い易いからと、街の外の兵士キャンプを元に拠点を作ったが、間違いだったのかもしれない」
グレッグは呟いた。
「成り行きで作られたものだろうからそうかもしれない、だけど街中のゾンビを倒せば全て解決する」
僕は言った。
「人数が4人程ほしい、僕達のほかに2人いれば街中でのゾンビ退治ができる」
グレッグは言った。
「少し少なくないか? 18人いるんだから、全員でいけば戦力が」
するとグレッグはすかさず言った。
「それだけの人数統制はとれない、4人なら作戦もしやすいし、逃げやすい」
グレッグは衛兵あがりなのか、戦略については申し分ない。
「そうだな、グレイとハンクなんてどうだ?」
僕は言った。
まず、グレイは僕が思うに僕と同等の強さを持つはずだ。
これは、元のスパイクの知識だろう。
ハンクは、僕と同年代で若い。
若干心が若すぎるきもするが、行動力はありそうだし、なにより王族の剣に興味を示すのならば剣の扱いもできるはずだ。
「なるほど、確かにハンクは他の若い市民より戦士気質だし、グレイは事務系の仕事に就きながらも剣術を鍛えていたと聞く」
グレッグはそう言った。
「じゃあ、覚悟しないとな」
僕は言った。
「自信を持て、ゾンビ相手に怖がれば余計に死に易くなる」
僕は、ハンクとグレイにそのことを伝えに行った。
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