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残骸

自分で生き残らなければいけない。

 農場に近づくと僕はゆっくり柵を飛び越えた。

そして、農場のグラインダーを見つける。


 グラインダーの近くに小屋があり、きっとそこが倉庫になっている、しかし原材料があるだけで、加工品は無い可能性が高いだろう。

その横は家となっていた。


 僕は農場の周辺を確認した。

ゾンビはいるものの近くにはいないのかもしれない、僕は足早に家に近づくと扉を開けた。


 扉を開けた瞬間ゾンビがいた。

咄嗟に僕は蹴とばした。

農夫のゾンビはその場に倒れた。


 老人で農夫の服を着ていた。

僕の蹴った場所以外、傷跡がないため、感染病により弱った老人がそのまま死んでゾンビ化する事がありえると言う事なのかもしれない。

となると近づくのも非常に危険かもしれない。


 だが、進まなければいけない、どうせ倒れるなら前にしか選択肢はないだろう、老人のゾンビの頭に向かって力を込めて何回も踏んだ。

何故頭なのかというと、一番破壊して停止する確率が高いと思ったからだ。

ぐしゃりと嫌な生々しい音を立てて、僕の足に血が付く。

老人のゾンビの頭は崩れていた。

そしてぴたりと動かなくなった。


 僕は、その家を探索した。

結果、一般的な中世の家のようだった。

リュックサックと帽子があったので身に着けた。

そして護身用と思われる鉄の剣があった。

鞘も近くに置いてあったため、ズボンに着けて鉄の剣を身に着けた。

鎧などはさすがに無かったが、十分な収穫だ。

他にも使えそうな材料類や本などもあって取っておきたいが、走るのが遅くなるのでやめておく。

ストックホルムに着く前にリスクを増やすのはよそう。


 キッチンがあって、そこにパン4つ在った。

近くの紙袋に3つ入れてリュックサックに入れた。

僕は、残った1つのパンを急いで食べた。

幸い大きめのサイズなので食事が足りているいう自覚は持てた。

腹6分目といったところだが、腹いっぱいは動きにくくなるため危険だ。


 だが問題は渇きだ。

キッチンを見回すが、牛乳くらいしか見当たらない。

だが腐っている可能性が高いだろう。

よって僕は井戸を探すことにした。


 外に出てグラインダーの裏へ行くと井戸と野菜が植えてあった。

そして柵があり、その先が小麦畑のようだ。

幸い、トマトが栽培されていて、僕はトマトを合計10個程取りリュックに詰めた。

リュックはそれなりの重みを増したが、さすがにこれほどの食料を見過ごすことはできない。


 井戸の中を僕は覗いた。

ないとは思うが、そこそこの大きさの井戸なので、中にゾンビが入ってたりしたら、感染まったなしだろう。

僕は、井戸の中だけで響くように井戸の壁に向かって手をグーにして叩いた。

コンコンという音がエコー掛かって聞こえた。


 どうやら音はしない。

僕は、井戸のレバーを引いて、近くのバケツに水を入れた。

そして僕は一気にバケツ1杯の水を飲みほした。

相当喉が渇いてたらしい。


 綺麗な水がこの汚染された世界で非常に重要な資源なのは明白だった、そこで僕は、再度家の中に入り、キッチンの棚を探った。


 もちろん牛乳が入ってた容器の牛乳を捨てて入れることはできるが、熱消毒ができてないから危険だ、かといって火を起こす手段はない、最悪枝から起こすのもいいが、時間的ロスになるし、それでも安全なのかわからない、それに炎は夜に光と音を立ててしまう。


 棚の中には、木でできた水筒が在った。

どうやら、新品のようだ、他にもキッチンの包丁の新品などが置いてあった。

どうやらスペアを置いておくのがこの家の老人のやり方だったのだろう。

殺してしまって受けていたショックを更に増やしたが、あれはもう老人ではない、老人を助けることができたのではないだろうか。


 僕は木の水筒を井戸の水が入ったバケツに沈め水を入れて、家の中に置いていた綺麗なタオルで拭いた。

道具類は過度に持ちすぎるとよくないが、タオルならば包帯代わりにもなる。


 そして僕は街道に出た。

そして西に歩き出した。


 僕がこれほど行動をして、危険を顧みず、束の間の生還を手にしたというのに世界はまったく静かなままだ。

さすがに息苦しさを感じ、僕は足を早めた。

ストックホルムの兵士キャンプに行って、早く人間に会いたい。


 道中、元の世界の平穏な生活を思い出しかけたが忘れようとした。

現状と比べるとあの辛い高校生活ですら、救いはいくらでもあると感じれる。


 とにかく、ストックホルムに行けば人々がいて、以前のように暮らしてるかもしれない。

そんな淡い希望を胸に僕はいつの間にか走り出していた。



一寸先はいつも闇だ。

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