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静寂

一人で静かな場所でいることすらとんでもなく怖いのに、奴らがいる恐怖

 小さな空間の中で異常な状況に対して僕がまず考えた対抗策は、この状況について知る事だ、つまり僕が何者で、この世界がどうしてゾンビだらけになったのか調べるという事だ。


 宿屋の机には蝋燭の消えたキャンドルとランタンを文鎮代わりにして置かれた紙があった。


 僕は、手に取り確認した。

幸いこの世界の文字を僕は理解することができる。

『スパイク、お前がもし起きることが在れば読んでほしい、お前は長年眠っていて知らないだろうが、街ではゾンビ病に感染した村人達が沢山いる、噛まれたり引っ掛かれたりするな、感染すればお前もそうなる、食料はすまないが残されてない、宿屋で最大限皆滞在したが、もう限界だ、ストックホルムの城外の兵士キャンプへ向かう、兵士ならばゾンビと戦えているはずなのできっと安全だろう、だが道中に何かメッセージがあるかよく確認しろ、ストックホルムの城外が安全でない場合もある』


 僕の名前は、察するにスパイクだ、長年眠っていて死んだところを僕が転生してきたという事なのか、ならば本人達に在ったときはどう接するべきか、記憶喪失という事にしておくのが適当だろうか。


 だが、重要なのはこの場合、ここに食料がなくて、ストックホルムの城外に仲間がいる可能性があるということだろう、僕はどうやって生きていたのだろうか? 、食料もないのに、いや死んでいたんだろう、恐らく栄養が足りなくて絶命したところを僕が転生したのだ。


 つまり今僕の体は死体か? いや、肉体は生きている。

恐らく体が死ぬ前に魂が先にあの世送りなのだろう、僕の魂が入り体が仮死状態からなんとか動き出し、久しぶりに起きたということだ。

というのは全て僕の予想に過ぎないのだが。


 ストックホルムが僕には何処なのか分かった。

きっと、スパイクの知識だろう。

だが、外にはゾンビ達がいる、下手すれば食べられる、良くても噛まれてゾンビ化してしまうだろう。


 僕は、換気用の小さな窓から外を覗いた。

ゾンビ達がよたよた歩いている。

だが、いきなりどこかに向かって走り出した。


 どうやら森の鹿に反応したらしい。

音は室内からでも十分聞こえる、うめき声と鹿の悲鳴、どうやら鹿は食べられてしまったらしい。

いや食べられている、が正しいのか。


 今がチャンスかもしれない。

鹿の肉に気を取られたゾンビ達を撒いて、このステップ村の街道から西に行けばストックホルムへ行けるだろう。


 だが、ストックホルムへは、徒歩で2日はかかる。

食料や水が僕にはない。

今僕は、空腹と渇きをかなり感じていた。


 自分の体の状態に気付いていなかったが、僕も生きた人間なので栄養と水分が必要なのである。

宿屋には、食料はないと紙に書いてあったわけだから、他の建物で探すべきか、だがこの街を去った仲間がいる以上、物資は枯渇しているだろう。


 つまり僕は、ストックホルム行きの街道で、食料と水分を調達しないといけない、ゾンビの数は人の多い街や村よりか少なくはなるだろうが、家や店は街道にもある、それは物資集めには好都合だが、ゾンビがいることも示している、それに移動してきたゾンビもいるかもしれない。


 ともかく、僕は現状体にムチを打って動いているが、ふらふらだ、今寝れば、確実に死ぬだろう、だから僕は今宿屋から抜ける、鹿に気を取られてるうちに。


 そして僕はバリケードを外し、宿屋のドアを開けた、目の前はゾンビはいない、鹿のところへ大体は行ったらしい、僕は急いで西へ走った、道中の建物周辺に、ゾンビがいたので肝を冷やしたが、ステップ村と書かれた看板を通り過ぎ、10分程経過した時に、ようやく僕は一息をついた。


 そうだ、僕は地獄の村から抜け出したのだ。

街道の周りにはゾンビがいるものの、そこそこの距離が離れているため、気付かれてはいない、走っても大丈夫なくらいだろう、簡易的な獣道とも言える街道だが、ちゃんと機能しているのか、100mくらい先に農場が見える。


 危険だろう、だが農場の倉庫なんかにパンがあって、井戸も綺麗ならば僕はこの窮地を抜け出すことができる。


 僕は、農場へ走り出した。

農場にはゾンビがいるだろう、だがリスクを恐れて周りにゾンビがいる街道で隠れているのは、もっと苦痛だった。


 異常なまでに静かな世界と低いうめき声、僕は潰れそうな心を必死で動かしながら走った。




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