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男子高校生的魔法少女プリティサクヤ

 パロディが多量に含まれます。そのようなものに不快感を覚える方はそっとタブを閉じるか戻るボタンを押してください。

 俺の名前は日乃本朔也。ごく普通の男子高校生だ。いや、だった。

 遺憾ながら、本当に遺憾ながら今の俺はごく普通の男子高校生ではない。なぜなら俺は今、「魔法少女」だからだ!

「やべぇ凹むわー。マジで凹むわー」

「何言ってるのさプリティサクヤ! さぁ早くそこの悪魔をやっつけるんだ!」

 こんなことを言ってる思わずブチ殺……ブチ殺したくらいでは俺の気が済まないむかつく生物はキューノ。俺の肩の上にいる小動物……ネズミ? だ。

「オーケーオーケー。まずはお前をブチ殺すってことでいいよな? つーかブチ殺させろこの野郎」

「訳が分からないよ!」

 俺はキューノに殺気を飛ばしながら大ジャンプ。ビルの壁に足をつけそのまま壁を走る。

 ズドンッ! さっきまで俺のいた場所に巨大な瓦礫が落ちてきた。いや投げられてきた。その先にいるのは3メートルほどの怪物。全身真っ白な二足で立つ爬虫類みたいなやつだ。実に気持ち悪い外見だ。キューノによるとこの怪物は悪魔らしい。

「何をやってるんだいマジカルサクヤ。よけてばかりじゃ悪魔は倒せないよ?」

 俺は無言でキューノの尻尾をつかみ地面に向かって投げ捨てる。地面までは10メートルほどといったところか。無事ではすむまい。ざまぁみろ!

「パートナーである僕を投げ捨てるなんてどうかしてるよ」

 俺の肩の上でキューノが言う。うん。期待してなかったとはいえ何事もなく戻ってこられると凹む。

「あー凹むわー。凹みまくりだわー。つーかなんで俺がこんな目に……」

 さて、なんで男の俺が魔法少女として怪物と戦ってるのか。それは一時間ほどさかのぼる。

 俺が学校帰りにコンビニで週刊少年ジャ○プを立ち読みしていた時のことだ。

「やっぱ週刊誌はジ○ンプだわ。サ○デーも好きだけど」

「ねぇねぇ」

「お、この漫画最終回か。来週から何が始まるんだ?」

「ねぇ!」

「ほう。この作者の新作か。これは期待できそうだ」

「ちょっと無視しないでよ!」

 ジャンプを棚に戻した俺がコンビニから出ようとすると、目の前にネズミがいた。コンビニって食品も売ってるんだぞ? 衛生上どうなんだこれ? そんなことを思いながら素通りし、コンビニから出る。

「おいこら無視しないでって言ってるでしょ!」

 もしかしたらこの声は俺を呼んでいるのかもしれない。そう思って声のほうに振り向く。誰もいない。

「あれ? おかしいな」

「ここだよここ」

 声は地面のほうから聞こえてきた。俺が下を向くとネズミがいる。さっきのネズミだろう。

「……気のせいか」

「気のせいじゃないよ!」

 Oh……。どうやらこのネズミから声が聞こえているようだ。

「……なんか変な顔してるけど大丈夫かい?」

 またネズミから声がした。大丈夫じゃないかもしれない。おもに俺の頭が。

「ねぇ。ボクと契約して魔法少女になってよ」

 魔法少女ときた。俺の頭はどうなっちまったんだ!?

「返事ははいかイエスで答えてね?」

 さて、あまりの事態に混乱の極みにあった俺はここで思わずはい、と答えてしまったわけだ。混乱してやった。返事なら何でもよかった。今は猛烈に後悔している。

 次の瞬間、俺の視界が一瞬真っ白になった。

「な、なんだ!?」

 俺は思わず大声を上げあたりを見回す。

 気のせいか周りの人がみんな俺を奇異な目で見ている気がする。

 なんだぁ? 俺は訳が分からないまま下を向く。

 そしたらびっくり仰天! 天と地がひっくり返るほどに驚いた。なぜなら俺は桃色でフリルやリボンがたくさんついた、いわゆる魔法少女的な服を着ていたのだから。

「うおおおおおぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉぉぉっぉおおおお!!!!????」」

 俺は奇声を上げながら一目散にその場から走り去った。たぶんその時の俺は光速を超えてたね。だって見た感じ長速かったもん(当社比)。そしてその辺の路地裏へジャンピングダイブ。

 一目がないことを確認し、自分の服をもう一度見て見る。……うん。魔法少女的なアレだ。

「見間違いじゃなかったああああああぁぁぁぁぁ!? なんだこれ!? なんだこれえええええぇぇぇぇええぇ!?」

「やかましいなぁ。静かにできないのかい?」

「その声はさっきのネズミ! まさかお前が原因か!?」

 声のほうを向くとそこにはやっぱりネズミ。

「原因ってひどいいいようだなぁ。ボクは魔法少女になってくれって頼んだだけだよ? その頼みに君がはいって答えたんじゃないか」

「え?」

「え?」

 無言の時間が流れる。あれぇ? 俺、はいって答えたっけ? ←答えました。

「ボクはキューノ。魔法の国の妖精さ。よろしく頼むよ。魔法少女マジカルサクヤ」

 こうして俺は魔法少女になってしまった。そしたらいきなり目の前にあの怪物が表れて今に至るというわけだ。

 ちなみにこの怪物との戦闘中にキューノから多少の説明をしてもらった。その説明は要約すると以下の通り。

 魔法の国の悪魔がこの世界に事故で飛ばされてしまった。

 悪魔は魔法で魔法の国に送り返せる。

 しかし魔法の国の住人はこの世界では魔法が使えない。

 そこでこの世界の住人に魔法少女になってもらって代わりに魔法を使ってもらう。

 その際の魔力は妖精持ち。

 この場合、相性のいい相手としか契約できない。

 どうやら俺は(運悪く)キューノと相性が良かった。

 妖精と人間はお互いに一切の攻撃がきかない

 こんなところだ。

「ところで、なんで魔法少女なんだよ? 俺男なんだが?」

「何を当たり前のことを。魔法少女のほうがロマンがあるだろ?」

「死ねえええぇぇぇぇぇええぇぇぇ!」

 キューノの尻尾をつかみ壁に叩きつける。

「まったく、君は乱暴だなぁ」

「死ねよお前マジで死ねよ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」

「そんなことより早く悪魔を倒してよ。なんか律儀にボク達の会話が終わるの待ってくれてるよ?」

 怪物のほうを見てみるとそいつは棒立ちしていた。お、あくびした。怪物もあくびするのな。

 怪物が大きな瓦礫を手に取る。そして爪で瓦礫をひっかき始めた。そしてひっかいた面を俺のほうに向ける。そこには「まだですか?」と書いてあった。

「言葉通じんの!?」

「あたりまえじゃないか。悪魔をなんだと思ってるんだい?」

 恐るべし魔法の国。しかしあれだ。聞かれたからには返事しなければ。

「まだです」

 怪物はまた瓦礫に文字を書く。「終わったら知らせてください」

「畜生、怪物いいやつじゃねーか! どっかのネズミとは大違いだ!」

「ひどいネズミがいたものだね」

「テメェのことだよ!」

 そんなやり取りをしていると一つの疑問が頭に浮かんだ。

「……そういえば、なんで怪物は俺のこと襲ってきたんだ? いい奴っぽいのに」

「そりゃ本能さ。悪魔は魔法が食料だからね。こっちに来てから魔法を食べれなくておなかがすいてたんじゃないかな? 早くやっつけてあげよう!」

「ん? 食料なのになんでやっつける?」

「魔法による痛みが悪魔の食糧なんだ。つまり食料的ドMだね!」

「食料的ドM!?」

 なんかものすごい言葉が出てきたな。魔法の国の常識が俺には測りきれない。

「あ、そうそう全部終われば君も普通の人間に戻れるよ」

「マジで!?」

「マジマジ」

 そうか、悪魔を倒せば元に戻れるのか。

「希望が出てきたぞ! いよーっしやってやるぜ!」

「その意気だよプリティサクヤ!」

「その呼び方やめて!」

 怪物が瓦礫を見せる「終わりました?」

「あ、はい終わりました。よしいくぞ! って俺魔法の使い方知らないんだけど!?」

「簡単さ。技名を叫びながら攻撃すればいいのさ。技名は最初にマジカルとつければあとは自由! さぁやってみよう」

「よっしいくぜ! マ・ジ・カ・ル・キィィィィィィック」

 俺はそう叫んで悪魔に向かって飛び蹴り!

「あ、ちなみに魔法の使い方ってあれ嘘だから」

「なん……だと……?」

 俺がそんな声を上げているときに俺の足の裏が悪魔に激突。悪魔は光となって消え去った。

「あれ!? 消えてんじゃん! 魔法使えてんじゃん!」

「そりゃ使えるさ。自動発動だもの。そうじゃなきゃ大ジャンプして壁を走ったりなんてできないだろ常識的に考えて」

「よくもだましたああああ!! だましてくれたなあああああ!! お前最後までむかつくやつだなこの野郎!」

「最後? 何を言ってるんだい?」

「はぁ? もう怪物倒したじゃねーか。……まさか、普通の人間に戻れるってのも嘘か!?」

「それは本当さ。 …………悪魔は全部で108匹いるけどね」

「えっなにそれこわい」

「さぁ残り107匹。がんばっていこう!」

「だからまずはお前を殺させろおおおおおおお!!!!!!」

 俺の不幸はまだまだ続きそうだ。

 お読みいただきありがとうございます。

 今回はギャグ小説でした。個人的にはパロディいっぱいのギャグ小説というのは書いていて楽しいです。テンションが上がっていないとかけないのが玉に傷ですが。

 さて、魔法少女とは一体何を持って魔法少女というのでしょうね? 魔法を使う少女だと範囲が広すぎる上に、イロモノをカバーできませんし。

 私はそれが魔法少女である、とタイトルまたは作中で明言されているものだと思います。つまり明言されていれば男だろうと明らかに少女の適齢期を過ぎていようと魔法少女です。

 ……魔法少女って自称または他称の称号なのかもしれませんね。

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